「こうしたい」と「つくる」の間に 一級建築士事務所アーク・ライフのブログ

東京都町田市の一級建築士事務所アーク・ライフです。住まい手の「こうしたい」と「つくる」の間で要望を共有し一緒に考えます。

H鋼を使った引込柱

2016-02-10 15:38:07 | 現場・仕事

2006年に竣工した住宅の引込柱にH鋼を使用しました。
このときは引込点の高さ2.7m以上ということで、全長4.5m、サイズは150のものを使用し、溶融亜鉛メッキ処理しました。
引込用ラックをウェブに取付ているものをよく見ますが、電気設備業者の「引込線方向はラックに対して直交方向がよい」との意見を聞いて側面のフランジに取付けました。
このおかげで高さを幾分低く出来ています。
電線管を固定するためにダクターチャンネルをあらかじめ溶接してあります。

この引き込み柱を設計しながら、あちこちの引き込み柱をみたりしながらいろいろ考えました。
なんてことはない引込柱ですが、シンプルにできたと思います。
写真奥は隣の家です。


代々木上原駅のH鋼とダクターチャンネルの取り合いです。
ダクターチャンネルを溶接しないで取り付ています。
ビスを緩めればダクターチャンネルが取れます。
鉄道施設ということでメンテナンスを考慮しているのでしょうか。


細めの引き込み柱です。
地上高6mくらいでしょうか。
上端の屋根状の板を少し浮かせています。
塗装色を廻りと合わせています。



旧hhstyleの引込柱です。
ボックス断面で配線を中に通しているようです。
写真の具合か根元が太く、先が細くなっているように見えます。
角が丸くないので鋼板を溶接して組み立てているようです。


H鋼の上部に専用の変圧器を取り付けている事例です。H綱の上部についているのはパスというもので、電力会社と需要者側の境に取り付ける保護装置のようです。


引込用ラックをウェブに横方向で取付ている事例です。


これはH鋼でなく溝型鋼の事例です。

いずれも振り返ってみると、H鋼の引込柱はすぐそばの電柱・電線からの引き込みになっていて、20m~25mの距離を引き込んでいる事例は見た限りではありませんでした。
先日、25mの引き込みにH鋼で引込柱を使用したく構造設計者に検討してもらったところ、H鋼ではなく閉断面の部材を勧められました。
やはり、H鋼では断面的に厳しいのかな。

あと引込柱を一所懸命考えても電線の取り回しがうまくいかないともたつく感じがするので、取り回しを考えたつくりにする必要がありますね。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (くっきー)
2020-12-17 23:24:39
すっきりした引き込み電柱を探しててこのブログにたどり着きました。H鋼の電柱気になります。こちら。基礎はどのようになっていますでしょうか?教えていただけると幸いです。
引込柱の基礎について (高本)
2020-12-18 10:17:15
くっきーさん、コメントありがとうございます。

引込柱の基礎ですね。
この事例の場合、柱全長の1/6を地中に埋め込み、コンクリートで固めています。

引き込み線の長さや本数、引込柱の高さなどによって、どのような力がかかるかは異なり、埋め込み深さも違ってきますし、コンクリート基礎の形状なども変わってきます。引込柱にかかる力が大きくなってくると、基礎コンクリートと引込柱の一体性をどう確保するかなども課題になってきます。

引込柱に対してかかる力どのような力がかかるかなど設計上の考え方は「配電規程」という電線や高架線などのための技術資料を参考にしました。

このような資料を参考に、構造設計者と相談しながら安全ですっきりした引込柱を実現していただけたらと思います。

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