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「こうしたい」と「つくる」の間に 一級建築士事務所アーク・ライフのブログ

東京都町田市の一級建築士事務所アーク・ライフです。住まい手の「こうしたい」と「つくる」の間で要望を共有し一緒に考えます。

ケアマネさん向けの住宅改修の研修会が終わりました。

2008-02-29 21:15:20 | 住宅改修

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今年うるう年の2月が過ぎ、春がほんのすぐそこまでやってきています。

今年のケアマネジャー等向けの住宅改修の研修会は、3回目の2/18が無事修了し、ホッと肩の荷を下ろしたところです。
研修会の時期は、NPO法人町田すまいの会の研修担当として、市との打ち合わせや課題作り、研修会の企画、運営と大忙しです。普段の設計・監理の隙間を縫って、スタッフにはちょっと迷惑をかけながら実現しています。
NPOなので、人もお金も少ない中で、ベテランや熱意のある会員の協力で、経験と知恵を出し合い良い課題をと熱心に取り組みました。おかげさまで参加されたケアマネジャーさん達からは、勉強になった、見方が広がった、難しかったが楽しかった等と好評価を頂きました。そういうありがたい声を聞くと、苦労もなんのその、次はどういうところに注意しようと、又頑張る気が出てきます。Dscn4983

グループに分かれての事例演習のワークショップ

ケアマネジャーさんたちが慣れないプランニングに取り組みました。


階段手摺の特殊解

2007-05-25 18:37:01 | 住宅改修

高齢になると、筋力が衰えたり、膝が痛くなったり、腰が痛くなったり、してきます。そういう状況で、毎日階段を上り下りするのが、段々困難になってきます。居室を1階に移す事は大いに薦めたい事の一つです。

この方は、意志が強く、手と膝で四つんばいになりながら、階段の上り下りを行うので、その為の手摺をつけて欲しいという要望でした。

通常の高さの手摺では、手が届かず、一番上の段から身体を二階の床まで引き上げられず苦労されていました。

Dscn2666_この手摺は、 床から膝下くらいまでの手摺です。この手摺で身体を引き上げて二階の床までの移動が出来るようになりました。

Dscn2668_ 身体を二階の床に持ち上げてからは、横についている縦手すりで身体を起こして立上ります。

短い手摺が、動作を支え、その事で、自宅で暮らし続ける意欲を支えています。

Dscn2685_ もう一つ、此処の階段は、ムクの段板が積み上げられた様な階段で、蹴込みの部分は透けていました。段板には滑り止めが無く、滑りやすい危険な階段でした。大工さんに、ルーターという器械で、現場で溝を突いてもらいました。これで滑りにくくなりました。


ハンガーレールを使用して引き違い戸を設置する時

2007-05-04 20:48:17 | 住宅改修

本人の部屋と皆が集まる部屋を区画する時、ドアよりも、引戸の方が具合が良い。そして、引戸の場合、レールを使用するか、ノンレールにするかは歩行可能なのか、車椅子移動なのかによって選択肢が異なりますね。このケースは、床がループパイルの絨毯敷きなので、敷居をつけてレールにすると、ガタガタして移動しにくくなるので、ハンガーレールを使用して引違い戸を吊りました。

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正面から見ると、敷居やレールがあるかどうかは分かりません。

Dscn2604_ レールや敷居が無いので、スムースに出入りが出来ます。

_ ハンガーレールを見上げると、内外に木の板が取り付けてあります。これがないと、レールと戸の隙間から、光や音などがツーツーに抜けてしまいます。

新しいハンガーレールは、隙間が少なくなっていますが、それでも、安心は出来ません。ちょっとした工夫がその後の居心地にうんと影響します。

住宅改修はいつになっても気が抜けません。

 


住宅改修のアドバイスの視点3

2007-04-10 19:09:56 | 住宅改修

住宅改修のアドバイスで、住宅状況を改善しようとする時に、よくある住宅上の障害の除去は、多い順に

1.敷居のつまづき段差の撤去(開き戸と引戸と二種類あります)

  これは、とても簡単で効果のある段差の解消です。 暗くてもつまづかずに安心して行き来できるようになります。

 引戸の場合は、開き戸より工事範囲が広くなりますが、そんなに大変でなく出来ます。

2.床段差の解消(床のかさ上げと床のかさ下げと二種類あります)

 どちらにするかは、費用対効果のバランスで決めます。折角やるなら中途半端に段差を残さずに、完璧にフラットにしましょう。

※段差解消をしようとして、他の場所に新しい段差を作る事は避けましょう。

3.段差を解消しきれない場所は、段差の緩和を行います。

 住まいの中には、二ヶ所あって、

一つは玄関です。

 これは、私たちが住まいの中では、靴を脱ぎ、素足などで生活する日本の住宅の特徴でもあります。

 上がり框の段差が24センチくらいあることが多いのですが、20センチを越えたら踏み台や式台を設置して、段差を半分にしたいものです。

 もう一つは、浴室です。

15センチくらい下がることが多いのです。

 段差解消できれば一番良いのですが、マンションなどで無理ならば、すのこを置く事があります。福祉用具の購入で対応が出来ますが、すのこの下に付く汚れをちゃんと掃除しなければならず、清潔を維持するのに手間のかかる事を認識する必要があります。

 又、住宅は、本人の動きだけでなく、家族も利用するものですから、家族にも使い良いか検討する必要があります。

 誰にも使い良くなって、勿論本人にも使い良いというのがベストですね。


住宅改修のアドバイスの視点2

2007-03-22 11:16:24 | 住宅改修

住宅改修のアドバイスを行うときに、

1.先ず身体状況を確認し、出来る事、出来ない事(出来にくい事)の程度等を評価します。

この時に、医療系(リハビリ系)のアドバイザーがいれば、頼もしい事です。私たちの市には、作業療法士、理学療法士のアドバイザーがいるので、利用者には有難い事です。

身体状況で多いのは、

ア)脳梗塞や脳卒中の後遺症で、身体の半身に麻痺が残った  

イ)パーキンソン病(症候群含む)等で、移動に助けや援助を必要とするようになった

ウ)骨粗しょう症などの影響で、膝関節症・腰痛等、移動や立居振舞いに苦痛がある

エ)高齢化による筋力低下

等です。それぞれで、配慮するべき住宅改修の方法に違いがあります。

又、身体動作を確認する時に、例えば、トイレでの動作だけを見るのでなく、そこまでの行き来(特に夜間)が安全に出来るかという事を見る必要があります。生活全体の中でのその行為の位置づけも考慮したい事です。そして、本人だけが使い良ければ良いのではなく、家族にも使い良いかどうかも考えたい事です。