「こうしたい」と「つくる」の間に 一級建築士事務所アーク・ライフのブログ

東京都町田市の一級建築士事務所アーク・ライフです。住まい手の「こうしたい」と「つくる」の間で要望を共有し一緒に考えます。

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2階に設けたエアコン一台で住宅全体を除湿

2021-07-02 10:03:48 | お知らせ
断熱耐震改修したお客さんの家に追加工事の打合せで訪問してきました。

ついでに先日受けたオンライン講習で習ったことを早速活用すべく、エアコンの吸込みと吹き出し口をケストレルで測定してきました。

あいにくの曇り空で外気温も21℃程度と除湿には不利な条件(?)で、

給気口のすぐそばの空気は21.2℃-87.6%(≒14g/kgDA)
吸い込み口まわりの空気は21.3℃-86.6%(≒14g/kgDA)
吹き出し空気は12.7℃-97.6%(≒9g/kgDA)でした。

エアコン吹き出し口からの気流の風速は2m/s程度だったので、エアコンからの吹き出し風量は340㎥/h程度と概算しました。

空気線図で見るとエアコン入り口、出口の空気の比エンタルピの差は19kJ/kgDA

上記のデータを用いてエアコンの働きぶりを以下のように計算しました。

340㎥/h÷0.83㎥/kgDA≒410kgDA/h
19kJ/kgDA×410kgDA/h=7,790kJ/h
7,790kJ/h≒2,160W

容量2.2kWのエアコンなので、ほぼ能力一杯に働いてくれているということかと思います。

消費電力は200W程度だったのでCOP2160/200=10.8
→条件によると思いますが、こんなにこのCOPが高くなることがあるんですかね。

このエアコンが置いてあるのは2階の納戸で、1階の居間は23℃-60%(≒10.65g/kgDA)でした。
2階の納戸と1階の居間の間には扉はありませんが、吹き抜けのような大空間でつながっているわけではありません。

梅雨時期もエアコンの配置と運転方法で、全館空調等特殊な方法を用いなくても家全体の絶対湿度を抑えらていると思います。
もう少し調整してより絶対湿度が下げられないか工夫してみます。
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茨城の断熱改修調査2回目

2021-04-13 00:05:12 | お知らせ


茨城県で築40年の木造平屋住宅の断熱改修のための建物調査を行っています。
平屋で小屋裏と床下が大きいので調査は2回に分けて行いましたが、昨日はその2回目でした。

断熱改修では、断熱材と気密シートを連続してつくる必要があり、そのために町田の断熱改修では建物の外側で気密シートと断熱材を連続させる外張り断熱気密改修を行いました。その結果、気密性能を表わす相当隙間面積は0.5、断熱性能を表わす外皮平均熱還流率は0.3と改修としては十分な性能が確保でき、この冬も快適で省エネに暮らしていただくことができています。

調査の目的の一つは、既存の断熱と気密の弱点を把握し、どうしたら断熱材と気密シートを連続させられるかを確認することです。
今回の木造平屋住宅は重厚な瓦屋根の立派な農家住宅なので、それを生かしたまま断熱改修をしたいと考えています。外張り断熱気密改修では屋根の仕上げを全て取り外し、新たな仕上げて覆わなくてはいけなくなりますので、現在の瓦屋根は生かせなくなります。また、小屋組みも丸太梁が幾重にも重なるような複雑なもので、屋根面の直下に断熱材を設けると丸太梁などで欠損が大きくなり、隙間なく施工するのも難しくなってしまいます。



また、南側には広縁があり、広縁にかかっている屋根と大屋根が重なりあっているので、施工の難易度があがりそうです。
そのような状況でも、現況をしっかり把握し検討するため調査では床下と小屋裏等に潜って状況確認するのがマストだと考えています。



今回の調査のメインは小屋裏と床下の確認でした。
前回、小屋裏の梁のレベルが把握しにくく混乱したので、今回はレーザーレベルで確認したらスッキリ把握できました。手持の出力の小さいレーザーでも、暗闇の中なので全く問題なしでした。
小屋裏も床下も隙間から外の明かりが見えるのは昔の建物ならではです。



床下は盛土をして地盤を高くしてあるので、湿気の影響はそれほどありませんでした。広縁の部分は基礎が低くなっていたので、断熱ラインをどう作るかが一つのポイントになりそうです。
基礎も当時としてはしっかり作ってある印象で、一安心でした。

さあ、調査結果をまとめて、方針検討のための作業に入ります。
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断熱耐震改修した住宅の室内環境のまとめ(12月~2月)

2021-03-10 10:34:07 | お知らせ
3月に入ったので、断熱耐震改修して11月末に引渡し済みのお住まいのデータをまとめることにしました。
netatmoを設置してデータを取り始めた12月5日から2月28日までの86日間の室温、湿度、CO2濃度をまとめます。
特にCO2濃度を確認することは、今回採用した、ファンやモーター、モーターを動かす電力を使用しないパッシブ換気が有効に働いているかを確認する意味で重要です。

パッシブ換気は寒冷地で室内外の温度差を動力源に利用する換気方法なので、温暖地と言われる東京では不向きとされることもありました。
しかしながら、室内外の温度差や様々な条件で検討するとそれなりに換気してくれそうなことがわかりました。
また、岐阜や関東を中心に取り組む事例に勇気づけられたこともあり、そしてなによりも複雑な部材を必要とせず、メンテナンス費用もそれほどかからないことから今回の断熱耐震改修した住宅で採用させてもらうことにしました。
事前の検討では有効に働くとわかっていましたが、実際にどうだったか確認しなくてはいけません。
その結果がこちらのグラフになります。



グラフによると、外気温は最低気温-4.8℃に下がるときもありましたが、室温はおおむね20℃、湿度は50%程度を維持していました。
また、CO2濃度も一時的に1000ppmを超えることがありましたが、ほとんどが1000ppm以下に納まっていました。

CO2濃度は換気が有効に働いているかを確認するための指標になり、ビルなどに適用される建築物環境衛生管理基準ではCO2の濃度を1000ppm以下にすることとされています。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei10/

ちなみに学校の教室は冬は締め切りになることが多く、2000ppmを超えるような値が観測されることもあるようです。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/shuppan/04062201/032.htm

温暖地には不向きと言われたパッシブ換気は、東京でも有効に働いていることが確認できました。

このグラフだけではわかりにくいので、室温とCO2濃度がどれくらいの累積時間になるかをまとめたグラフもつくりました。



このグラフは室温の累積時間をまとめたもので、普段どれくらいの室温で暮らしていたかを確認するためのものです。
このグラフから86日間の観測期間の中で、室温18℃未満になった時間帯は0.5%しかなく、残りの99.5%が18℃以上でした。また18℃以上23℃未満の時間帯は95.5%で、室温は18℃から23℃未満の範囲で緩やかな変動をしていて、どの時間帯もおだやかな温度で暮らしていることがわかります。



このグラフはCO2濃度の累積時間をまとめたもので、どれくらいのCO2濃度が多いかを確認するためのものです。
このグラフから86日間の観測期間の中で、CO2濃度が1000ppmを超えたのは5.2%しかなく、のこりの94.8%が1000ppm以下でした。ほとんどが450~850ppmの間で、温暖地ながらパッシブ換気が有効に働いていることが確認できました。
パッシブ換気は室内外の温度差による重力換気が原動力なので、これからの季節はもちろん働かなくなり、換気量が減っていきますが、そのことは織り込み済みです。換気量が小さくなってきた段階でバックアップ用に設けた換気扇を運転することになります。

この冬の観測を通してパッシブ換気の有効性が確認ができたので、このメリットをこれからの建て主様にもぜひ提供出来たらと考えています。

パッシブ換気の技術を研究し、体系化して紹介している北海道立総合研究機構 建築研究本部北方建築総合研究所(北総研)の資料
https://www.hro.or.jp/list/building/koho/pdf/gijutu/passive.pdf
https://www.hro.or.jp/list/building/koho/pdf/gijutu/passive_manual.pdf

北海道でパッシブ換気に取り組んでいる建築家、山本亜耕さんによる解説記事
今回の断熱耐震改修にあたり沢山のご指導をいただきました。
https://ako-re.blogspot.com/2018/10/blog-post.html

岐阜県でパッシブ換気に取り組んでいる凰建設さんの紹介記事
分かりやすくよくまとまっています。
https://www.ohtori.net/k-blog/%E3%83%91%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%96%E6%8F%9B%E6%B0%97%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%AA%E3%81%AB%EF%BC%9F%E3%83%87%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%84%E5%A4%8F%E3%81%AE%E9%85%8D%E6%85%AE%E3%81%AF/

関東を中心にパッシブ換気に取り組んでいるパッシブ技術研究会のwebサイト
パッシブ換気に欠かせない排気部分の部材を扱っています。
https://www.passive-gijutsu.com/
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断熱耐震改修の効果、先日(2/13)の地震で発揮

2021-02-23 02:00:32 | お知らせ
少し前の話になりますが、先日2/13夜の福島県沖地震で町田市も震度3~4を観測しました。

その次の日、断熱耐震改修をしたお客さんから、以前とは違って地震でもほとんど揺れなかったと喜びのメールが届きました。日々の暖かさでは断熱改修の効果を実感していただいていましたが、耐震改修でも効果を実感していただけたようでとてもうれしく思いました。

町田の断熱耐震改修では、元の柱や梁の外側から建物全体について断熱気密改修を行う外張り断熱気密改修を行いました。その際、壁も屋根も既存の構造の外側を構造用合板で補強しています。その補強は部分的ではなく、壁と屋根を全面的に行い、壁と屋根のつなぎ目についても一体性を保つように配慮しました。その結果、構造用合板ですっぽりくるまれるように構造が補強され、さながら建物をモノコック構造のようにすることができました。


屋根に構造用合板張りして水平面を固めた様子


外壁前面に構造用合板張りして耐震補強した様子
その後、気密シート張りをしています

※地震そのものは木造住宅を揺らしやすいユッサユッサという揺れ方ではなく、カタカタというような短い波長のものだったと報道されています。

大掛かりになりがちで費用も比較的かかる家全体の外張り断熱気密改修ですが、断熱だけでなく耐震性も充分に向上させることができる方法だと実感できました。
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町田の断熱耐震改修工事 気密測定をしました

2020-10-27 00:10:17 | お知らせ


町田の断熱耐震改修工事の現場では、10月初めに気密測定を行いました。
気密測定では、このようなバズーカ状になったファンを窓開口に設置して室内の空気を吸出して室内の気圧を外よりも低くし、負圧状態にしてその状態がどの程度保たれるかを測定します。
結果はC値0.3、良好な値でほっと一安心しました。



C値というのは、建物に存在する隙間の量を示す値で数字が小さいほど隙間の量が少なく、大きいほど隙間の量が多いことを表します。
0.3は新築でも高気密と言えるレベルで、断熱改修でこの値が出たことに気密測定技能者も驚いていました。
この値を実際の隙間の量に直すと建物全体の隙間を集めても41平方センチ、小銭入れくらいの面積にしかなりません。

この程度の気密性能が確保できれば、隙間風で室内の保温性を損ねず、壁の中で内部結露せず、改修した建物が長期間健全に保たれ、換気を有効に働かせることができます。
断熱と気密をしっかりさせることで、換気と冷暖房有効に働き、健全で快適な室内空間を実現することができるのです。

この結果は築50年の住宅の気密性能を確実に向上させる手法を教えていただいた北海道の山本亜耕さんと、現場見学をさせていただいたM建設の所長と棟梁のみなさんのおかげです。
また、この現場で隙間だらけの築50年の住宅を室内の意匠を保ちながら丁寧に工事して気密性を向上させたテクトハウジングのS棟梁、K棟梁の力量はお見事としか言いようがありません。



今回の改修では、窓はすべて新しい樹脂窓としていますが引違窓がこのような掃き出し窓含めて全部で9窓あります。



気密測定をした後、参考に引違窓の室内側にポリエチレンシートを張った状態で再度負圧状態にしてみました。
室内を負圧状態にすると、引違窓にロックをかけた状態でもサッシの隙間から通気して、室内側に張ったシートがパンパンに膨らみます。
このような隙間の多い引違窓を使用しながらC値0.3という結果が出せたということからも、大工さんたちの頑張りがわかります。

7月から始まった断熱耐震改修工事も気密測定で一旦の区切りがつきました。
これから11月末の引き渡しに向けてもう少し頑張ります。
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