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「こうしたい」と「つくる」の間に 一級建築士事務所アーク・ライフのブログ

東京都町田市の一級建築士事務所アーク・ライフです。住まい手の「こうしたい」と「つくる」の間で要望を共有し一緒に考えます。

北海道に断熱耐震改修事例の視察に行ってきました

2019-06-07 18:40:46 | 町田の家 耐震断熱改修 2018
築50年の木造住宅の断熱耐震改修工事の工事費を工務店さんに見積もってもらっています。
その作業のため、北海道の断熱耐震改修工事の現場を視察に行くことになりました。

設計者としては、北海道の知見をベースにした高断熱耐震改修の図面を完成させて安心していたのですが、実際に工事をする立場としては、工期、手間のかかり方、雨養生などいろんなことが気になるもの。工務店さんとしては見積金額も安すぎてもいけないし、高すぎてもよくない、どうやったらお客さんに喜んでもらえる工事ができるかの勘所を掴むためには現地を見るのが一番ということでした。

そこで、北海道で高断熱住宅の新築や改修工事に実績のある建築家、山本亜耕さんに現場を見せていただけないかお願いをしたところ、快く受け入れてくださるとのことで北海道に行ってきました。

視察メンバーは町田の大工工務店、テクトハウジングの2代目、佐藤棟梁と私。仕事を早めに終えてから夜発の飛行機で新千歳空港へ飛び、北海道泊。次の朝から一日視察して、その日の夜に東京に戻るという行程でした。



拝見したのは山本亜耕さん設計、M建設さま施工の桂岡の家、
H建設様施工の野幌の家、
木材製品の加工販売を手広く扱い、木製高断熱玄関ドアなども製作している新宮商行の銭函工場などです。



断熱耐震改修工事進行中の桂岡の家では、外部からの気密施工、断熱施工により性能を出す方法について実物で確認できました。断熱改修といいながら室内から部分的に断熱材を詰めたり、窓だけ、外壁だけ、天井だけのように部位毎に断熱材を施工してしまうと、断熱改修のメリットである室内の暖かさと建物の耐久性の向上等が得られないばかりか、結露が集中してカビなどが生じたりといった害が発生してしまいます。そのようなことが無いように、断熱するのであれば外部からすっぽりと連続的に気密シートと断熱材で覆い、弱点のないようにすることが大原則です。その大原則を守りつつどうすれば無駄のなく住む方の幸せに繋げられるかを学ぶことができました。



また、現場所長や大工棟梁達と現場の進行や実際の作業、図面に描ききれないことなどについて色々お話しを聞かせていただきました。お話の中で、大工棟梁の率直な意見でハッとさせられる一幕も。図面、描きすぎないようにします(^^;



野幌の家でも大工棟梁に定番の材料を用いて性能を出す方法、窓周りの納めや多能工的な働きについても教えていただきました。

新宮商行銭函工場では、工夫を凝らした高断熱木製玄関ドアや様々な加工品を見て、北海道の底力とそれを発掘して広げる大事さを感じました。また工場外壁の風雨にさらされた板壁が数十年使用に耐えていることも伺い、板張り外壁の使用に向けて自信が持てました。




その他進行中の亜耕さんの現場を複数見、事務所でレクチャーを受け、頭がパンパンになって行程終了。新千歳空港で佐藤棟梁とお寿司で軽くお疲れさん会をして帰途につきました。

皆さん、オープンに教えてくださり、是非東京の町田市でも情報共有しながらいい仕事をしてフィードバックしたいと佐藤棟梁と話しました。

進行中の現場を見ることを快くお許しいただいた建主様、
大変お忙しい中、受け入れてくださった山本亜耕さん、
M建設Z所長、S、K両棟梁、
H建設U棟梁、
新宮商行Tさま、Iさま
皆さまありがとうございました。

町田の家断熱耐震改修2018_詳細図打合せ

2019-05-30 16:37:54 | 町田の家 耐震断熱改修 2018


工事費見積もり中の町田の家断熱耐震改修2018。

今日は工務店さんの見積もりの進行状況に合わせ、私が作成した詳細図を元に打合せ。外壁や屋根、窓廻りなどの細かい部分について打合せます。

改修工事では様々な不確定要素があり、現場が始まるまで分からないこともありますが、基本的な方針をすり合わせ、必要な材料と手間を準備してもらうために計画や見積もり段階から細かい図面が必要です。もちろん、設計者の一方的な考えだけでは見落としもあるので、その見落としを防ぎ実際に実現可能な図面を工事契約時までに準備するために、このような打合せを何度か行い設計者と施工者が知恵を出し合います。

特に温暖地といわれる東京都町田市では、壁の中に勝手に水蒸気や空気が出入りしないような気密や、建物内の温度を快適に保つための断熱についての技術は私達設計者も含めて一般的になっているとは言えません。そのために、北海道の建築家、山本亜耕さんに沢山のアドバイスを頂きながら、昨年から何度か打合せを行い、2月には窓廻りと外壁断熱を実際に施工するワークショップも行って準備を進めてきました。


2月7日のワークショップ

この町田の家断熱耐震改修2018は、築50年の木造住宅をあと30年は持たせたいという住まい手の要望から始まったものです。その要望にこたえるために耐震化と同時に高断熱化を提案したところ、喜んでいただき計画がスタートしました。

温暖地と言われる東京ですが、ヒートショックで救急搬送される方の数は全国4位と、冬の住宅内の寒さが命の危険をもたらしています。一方寒冷地ながら高断熱住宅の普及している北海道、青森の搬送者数は全国最少クラス。温暖地こそ住宅の断熱化が必要と考え、これからも新築、改修問わず高断熱住宅のづくりに取り組みたいです。