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デマ・偏見・盲点 2: 経済とんでも話 2

2013年06月12日 | 連載中 デマ・偏見・盲点


今回は、画期的な理論の危うさを見ます。

「円と米国ドルの通貨量の比で為替レートは決まる」について

これは流行のリフレ派論客の発言です。
彼は円安に持って行くのは超簡単で、紙幣を刷れば良いだけだ。
こんなことすらわからない人々が政治をやっていると、嘆く。

非常にシンプルで素晴らしい・・・。

あるブログに、「為替が通貨量で決まることを明言した先生は素晴らしい!!」とあった。
私の背筋に冷たいものが走った。

そもそも通貨量の比はどうして決まるのでしょうか?

両国の国土や人口の比率でしょうか?

かつて、高インフレと高失業率同時進行(スタグフレーション)を経験し、世界の中央銀行は経済成長に応じて通貨供給量をコントロールしてきました。
さらに古く、欧米諸国は自国の貿易を有利するために通貨安競争に陥り、世界経済を失速させたことがあります。
さらにややこしいのは、相場の期待値(アニマルスピリット)が多くを左右するのです。




今の為替市場は、1997年のタイ・バーツ暴落のように、1ヘッジファンドの空売りで劇的に変化してしまうのです。
その張本人のジョージ・ソロスは言います。
「誰かがタイ政府の運営不備に気がついてやるだろうから、私が最初にやっただけさ。」

結局、為替レートは各国の政府、中央銀行、投機家、企業らがしのぎを削り、悪戦苦闘した結果なのです。

例えるなら、二つある水タンクの大きさの差ではなく、連結している小さなバルブの調整で水量は決まるようなものなのです。




単純、断定、誇張する先生方には注意が必要です。

それは、肥満の人に、「あなたは中性脂肪が平均より20%多いだけだよ」と指摘しているに過ぎないなのです。
また、その著書内の実績推移表に記載がない年月のデーターにこそ、不都合な真実があります。

私達は、著者の意図や、信頼性を疑いながら理解すべきです。






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