問わず語りの...

流れに任せて

映画『LAMB/ラム』

2023-01-18 04:10:21 | 映画

 

 

 

 

カンヌ国際映画祭「ある視点」部門受賞作。

 

 

これ、観る人によって感想が全然違うだろうね。まあだから「ある視点」ということか。

 

 

北欧の峻険な山々に囲まれた平原に、ポツンと建つ羊農家で二人きりで暮らす夫婦の、慎ましい日常生活に入り込んでくる

 

異形の

 

尋常ならざるもの。

 

 

二人は失った「幸せ」を取り戻そうと、この尋常ならざるものを、生活の中に受け入れていくのだが…。

 

 

詳しい説明は一切なく、映像だけで見せていく作り方は、説明して欲しいタイプの観客にとっては苦痛だと思う。ストーリーには特にメリハリもなく淡々と進んでいき、ただこの夫婦の、特に奥さんの「静かなる狂気」が際立つ構成。

 

どう解釈したらいいか、わからないという方もおられると思います。私としては、それまでの生活でも十分に幸せだったのに、非日常なものに手を染めてしまったがために、日常の幸せをも失ってしまう悲劇、かなと。

 

 

現代の民話というか、寓話みたいな。

 

 

 

ストーリーは正直雑だなと思います。でも映像が素晴らしい。

 

 

冒頭の、濃い霧の中をカメラが進んでいくと、なにか黒い塊のようなものが見えてきて、近づくと馬の群れだとわかる。

 

 

この馬の群れが、カメラ(何者かの視線)に気づいて一斉に方向を変えて去っていく。

 

 

さらにカメラが進んでいき、羊舎に近づく。羊舎の扉が開く音がして、中にいた羊たちが一斉に扉の方向を向き、一点を見つめ続ける不気味さ!

 

 

動物たちの演技が素晴らしいんですよ。特に羊たち。あれ全部本物なのだろうか?メカニカルとかCGも使ってるのかな?とにかくね、羊たちの「感情」が見えてくるような演出になっているところが凄い!

 

 

それを観るだけでも十分な価値はあるなあ。いやホント。

 

 

 

理屈ではなく画で観せていく映画。

 

 

でもあのラスト、あれはどうかなあ…。

 

 

衝撃的と言えば衝撃的ではあるけど、まあ、ある意味苦笑というか失笑というか…。

 

 

でも因果応報という観点から見れば、なるほどなという展開でもあり、

 

 

なかなか、一筋縄ではいかない映画、ではあります。

 

 

特にお勧めはしません。なにかちょっと「不思議」な映画を観たいという方

 

 

感性の妙な部分を揺さぶられたい、という方は

 

 

どうぞご覧あれ。

コメント (2)
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