蝸牛の歩み

「お話」を作ってみたくなりました。理由はそれだけです。やってみたら結構面白く、「やりたいこと」の一つになっています。

天からの手紙

2016-01-26 14:35:25 | 日記
 雪は、「しんしん」と降るものだと思っていた。
 しかし、気象の異常現象は、雪の降り方を変えてしまった。
 雪は「ぽそっ ぽそっ」と降るものとなった。一つ一つの雪の大きさはテニスボールほどになった。ところがよくできたモノで、密度は恐ろしく粗くなり、ひらひらと舞い降りてきて、掌の上で、さらっと崩れるようになった。新雪の上に降ると、ぽそっ ぽそっという音がするようになった。
 そして、北の国では、「ぱりん ぱりん」と降るようになった。雪の結晶の美しさについては理科の教科書で知り、その後『北越雪譜』を見たりして江戸時代から知られ、皿や着物のデザインにまで取り入れられていることを知った。
 その雪の結晶が、30cm位の大きさで降って来るようになった。幸い、人の頭にあたってもすぐに割れるくらいのもろさだし、木の枝にあたると、ぱりん ぱりんと言う音がする。
 「しんしん」と降る雪を体験しようと思ったら、沖縄まで行かなければならなくなった。
 「雪は天からの手紙」と言ったのは中谷宇吉郎。差出人は、今何を考えているんだろう。