蝸牛の歩み

「お話」を作ってみたくなりました。理由はそれだけです。やってみたら結構面白く、「やりたいこと」の一つになっています。

トイレ

2016-10-03 00:28:10 | 日記
 最近、どうも、体調が悪い。で、トイレに入った。前からも後ろからも出たのですっきりして、トイレットペーパーに手を伸ばした途端に、前のドアがバタンと倒れた。驚く暇もなく、左右のドアも倒れ、後ろのドアも倒れた。前のドアの前には廊下がある。しかし、あと三方のドアの向こうには隣室があり、後ろのドアに至っては隣家があるはずだ。
 それが何にもない。そのうち、床がすっぽり抜けて落下していった。
 私は便器に腰かけたままで、宇宙空間にいた。
 地球が見える。土星の輪も見える。
 宇宙空間にいるのなら、とっくの昔に死んでいるはずなんだが、何ともない。便器に腰かけたままで、アラビア半島の上を通りすぎた。地球の周りを回っているようだ。
 いつまでこの状態が続くのか。全然わからない。トイレットペーパーもない。ウォシュレットのボタンもない。この状態のままで漂い続けていて、誰か、あるいは何者かに遭遇したらどうしよう。ズボンの後ろポケットにティッシュがあった。それでとりあえず拭いた。下着を上げ、ズボンを上げると、人心地がついた。
 こんな体験をした人っているのかなぁとふと考えた。時間がつぶせそうだ。