蝸牛の歩み

「お話」を作ってみたくなりました。理由はそれだけです。やってみたら結構面白く、「やりたいこと」の一つになっています。

政治の言葉

2016-01-05 15:37:35 | 日記
 1939年1月4日に近衛文麿内閣が総辞職、5日に平沼騏一郎が第35代内閣総理大臣に就任している。帝国大学法科を卒業したのち、司法界で出世していった彼は、指紋による前科登録を導入している。また1910年の大逆事件の際は検事として幸徳らに死刑を求刑、その後も昇進し続けるが、天皇機関説排撃事件などによって元老の西園寺に嫌われ、首相にも枢密院議長にもなれなかった。
そこで西園寺打倒のために立憲政友会を潰すための国策捜査(帝人事件)を行わせたが、証拠収集のあまりの杜撰さによって公判では全員事実無根という失態を演じることとなる。
 その後、西園寺が高齢のために引退するのを機として親英米派と妥協、ようやく首相の座を得ることとなる。
 ところが、8月20日にノモンハンで日本軍が大敗、さらに8月23日に独ソ不可侵条約が締結されるに至って、かの有名な「欧州の天地は複雑怪奇」という声明を発して8月28日辞職している。
 確かに、「欧州の天地は複雑怪奇」であった。

 コミンテルンのラッパ手は、諸政府、諸国民に対して反ヒトラー十字軍に参加するよう前々からラッパを高鳴らせていたが、モロトフ、リッベントロップが1939年の条約に調印するや否や、コミンテルンはこの十字軍を撤回した。反ファシズムのあらゆる戦略と戦術、営々としてつくりあげられたそのあらゆる論証とスローガンは一片の反故と化した。・・・今やこう主張された。交戦陣営はともに帝国主義的目的を追求し、両者の間に選ぶところはない。労働階級は、戦争に抵抗し、平和のため闘うよう求められた。『スターリン』(ドイッチャー みすず書房 p129)

 政治の世界で、「言葉」「約束」とはなんだろうか?
 中曽根元首相は、消費税は福祉に使うと約束し、「この顔がウソをつく顔に見えますか?」と言って嘘をついた。
 安倍首相は、「安全保障関連法制」と公言した。彼は、「安全」という言葉を使い、「平和」という言葉も使っている。
 シェークスピアは、言っている。『ヴェニスの商人』第一幕第三場で。
 「悪魔も手前勝手な目的のために聖書を引用する」(The devil can cite Scripture for his purpose)『シェイクスピア名言集』(小田島雄志 岩波ジュニア新書 p101)
 橋下のように、過去の自分の発言との整合性など全く考慮しない天性の虚言症の人間は「政治屋」には最適である。そして、安倍と橋下とは「盟友」である。私も嘘はつくが、彼らの嘘には遠く及ばない。