あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

白鳥は かなしからずや

2017-07-12 03:29:58 | 日記
白鳥は かなしからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ

若山牧水





短歌鑑賞文





ただただ飛んでいる。
宛てもなく、死をも怖れず、何も想うこともなく、嘆きもとうに、過ぎ去りし、誰かは振り返るか?いな、そこに誰か居ようか?いな。
何処を飛びゆくのか、もう考えはしないであろう。
白鳥(しらとり)は何処までも、何処までも、ただ飛びゆく。
悲しまないでいられようか。
白鳥の目にもはや、何の色も映しはしないであろう。
何ものも、もう、掴まえることはできないであろう。
その色に、なんの意味があろうか。
もう何処かに行く必要もないのである。
白鳥はああして、ただ飛びゆき、何ものも待たない。
かなしからずや。
かなしからずや。
悲しくないはずがあろうか。
もう何も、あれを染められないのだ。