映画『麦秋』1951(昭和26年)小津安二郎監督
wikipedia『麦秋』(ばくしゅう)は、小津安二郎監督による1951年・松竹大船撮影所製作の日本映画。日本では同年10月3日に公開された。
タイトルの「麦秋」とは、麦の収穫期で季節的には初夏に当たる時期を指す。
小津の監督作品において、原節子が「紀子」という名の役(同一人物ではない)を3作品にわたって演じた、いわゆる「紀子三部作」の2本目にあたる作品である。1949年の『晩春』に引き続き、父と娘の関係や娘の結婚問題を主なテーマにしているが、本作ではそれがより多彩な人間関係の中で展開されている。
これで小津監督のいわゆる「紀子三部作」(『晩春』『麦秋』『東京物語』)をすべて見たことになる。
歳をとり小津作品のよさも少しはわかったような気がする。海外での高い評価もわかる。
しかし一方で、日本人にしかわからない、と思える家族や隣人との複雑な心の機微など、はたして外国人はどう理解するのだろうか。いや、現在の日本人の中にこそ作品に描かれた人物にのめり込めない人が多いのでは?などの思いも残っている。
原節子(間宮紀子)の兄(間宮康一)は笠智衆で、兄の妻は(三宅邦子)
父(周吉)は菅井一郎、母は東山千栄子。キネマ旬報ベスト・テン第1位
三部作、それに加え「秋日和」「彼岸花」「秋刀魚の味」など小津作品はテーマ(娘の結婚)も、役名も配役も、似ていて混同しそうだ。
東山千栄子のセリフ(尾道弁か)と演技がドラマを引きしめている。見終わって、一つ一つのシーンが蘇ってくるような絵作りに感心してしまう。
小津は本作で「無常や輪廻を描きたかった」作り込んだカメラワークが意味深だ。
紀子が謙吉を結婚相手と決める過程とその後はほとんど思い出せない。
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検索の過程でしった。
原節子は「実は小津作品を代表作とされることが不満で、インタビューで自分の代表作について聞かれても、かたくなに小津映画は挙げ」なかったということを本で知った。原節子の真実 (新潮文庫)2019
原節子の人生はうすうすは知っていたが、人気のわりにあまりにも平凡な、しかも似たような役柄が多いことに少し違和感を感じていた。
原は口癖のように「細川ガラシャを演じたい」と言っていたそうだ。本の表紙の写真では、映画でみる表情とはちがう、ガラシャようにの理知的で意思の強そうな美貌だ。原があこがれていたというイングリッド・バーグマンのような”孤独、品位、高い精神性”を感じさせる表情だ。
原節子の突然の映画界引退は”昭和史の謎”とも言われれる。彼女の人生そのもので昭和史の一面が語れるのではないかと思えるほどだ。さまざまなエピソードと写真を眺めていて、そう思う。
映画もおもしろいが原節子の人生もそういう意味で非常に興味がわいてくる。
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いよいよ、もう一度何回か目の、三部作最後の『東京物語』を見ます。
原節子の真実 (新潮文庫) – 2019/1/27
石井 妙子 (著)
5つ星のうち4.4 125個の評価
麦秋
Early Summer
原節子, 淡島千景, 志賀眞津子, 井川邦子
監督 小津安二郎
脚本 野田高梧
小津安二郎
製作 山本武
出演者 原節子
笠智衆
淡島千景
三宅邦子
菅井一郎
東山千栄子
杉村春子
二本柳寛
佐野周二
音楽 伊藤宣二
撮影 厚田雄春
編集 浜村義康
製作会社 松竹大船撮影所
配給 松竹
公開 1951年10月3日
上映時間 124分
配給収入 7597万円