『図説 日本民俗学』 (単行本) 福田 アジオ (編集), 上野 和男 (編集), 倉石 忠彦 (編集), 古家 信平 (編集), 高桑 守史 (編集)
単行本: 276ページ
出版社: 吉川弘文館 (2009/10)
発売日: 2009/10
1908年、柳田国男や佐々木喜善(きぜん)によって本格化し、「野」の学問として成長してきた日本の民俗学。
それから50年を経た1958年、大学での専門教育が開始され、学術研究のスタイルや、それを理解するための教育環境も整った。
ところが、いまや、民俗学を研究し教育する教師の多くが、1958年以降の生まれであり、日本社会が都市化していくなか、彼らが自己の体験として、生きた民俗に触れる機会は失われていき、具体的な自己の体験や見聞をもとに己の言葉で、民俗を語ることができなくなりつつある。
日常的経験として民俗をを知らない研究者が民俗学の講義を担当する事態となったのである。
本書は、こうした事態をうけ、若い研究者が、日本のごく当たり前の民俗を豊富な写真とや図版によって、先人の書物や、大学での講義内容に示された民俗について具体的なイメージを得るための座右の書として刊行された。
1ページに2~5枚の写真を中心とした図版と説明文を読みながら、時空を旅する気分になれる。カラーであればなおよい。
奄美関係では、民家の棟上げに屋根の上に弓をたてて魔を払う奄美大島の建築儀式の写真その他。
大部分の写真がが日本各地で、ごく普通に見られる民俗であり、民俗学が珍奇な事象を取り扱う学問であるという誤解を拭うための入門書でもある。
奄美で見られる民俗も日本各地で(とくに西日本で)意外にひろく見られるものが多いということに気づかされた。
本書の目次は
Ⅰ=ヒト
Ⅱ=イエ
Ⅲ=ムラ
Ⅳ=カミ
から成り
最後に
特論=南島 がとりあげられ、10ページがあてられている。
(1) ヒト
(2)イエ
(3)ムラ
(4)カミ
で構成され、沖縄の民俗を中心に奄美にも若干言及されている。