東北アルパインスキー日誌 ブログ

東北南部の山での山スキー、山歩き、山釣りなどと共に、田舎暮らしなどの話を交えながら綴っています。

スノーモービル乗り入れ問題協議 朝日山地巡視員会議

2007年12月09日 | スノーモービル問題

12月9日(日)の山形新聞に、月山のスノーモービル乗り入れ問題についての記事が掲載されていた。内容は朝日山地森林生態系保護地域で活動している巡視員の会議が8日開かれ、懸案になっている月山周辺のスノーモービル乗り入れ問題について協議されたとあった。この会議は朝日庄内森林環境保全ふれあいセンターの主催ですが、かねてから「自然を守るスノーモビラーの会」からの申し入れを受け、愛好団体の「月山ルール」提案を聞くのが目的だった様です。この「月山ルール」とは時間や台数制限を設けた上で、一部の保護地区に乗り入れできる「月山特別ルール」を提案した内容です。

 今後17日に住民と反対派からの聞き取りを行った上、方向性を打ち出す手順となっている様です。しかしここで気になるのが反対派の方々。紙面にはスノートレッキング団体、旅館店主、住民と有るが、山岳関係者とか山スキーヤー、テレマーカー、スノーボーダーなどはどれだけ含まれているのでしょうか?私達は山でモビラーの方々と遭遇・目撃したり、またはトラックベルト跡を歩いたりするケースがあり、感情的には最も対立する関係に有り、関心の有る方も少なくないと思います。不幸な事はお互いに魅力的な雪の斜面を共有する事です。

乗り入れ規制については既に必要な時期に来たと思いますが、法的な強制力を伴わない規制でも、その実施については慎重な議論が必要だと思います。野生動物や植生へ与える影響を懸念する事は勿論ですが、私達にとって冬山登山あるいは山スキー等は、永い歴史と伝統を持った誇り高き文化であり、常に厳しい大自然と共に歩んで来たと言う自負が有ります。特に朝日連峰・月山の様なの厳しい環境でも決して大自然を侮る事無く、山では謙虚に遊ばさせて貰っているという姿勢で有りたいと思っています。山頂は決して征服出来るものではなく、つかの間の好天時に微笑んでいるに過ぎません。

私達は決して山の中での既得権を主張するものでは無く、この無慈悲な大自然の力と人間の無力さを直視し、共に同じフィールドで活動する者として認識して頂きたいと思います。決して強大な機械力を過信する事無く、山に対しては謙虚であって欲しいのです。

しかし、残念ながらスノーモビラーに特に人気の鳥海山の東面などでは、有ろう事か山頂まで駆け上がる現実を目にし、場所によっては地元の愛好団体の自主規制及びパトロール等の努力にもかかわらず、決定打では無い様にも思えました。なぜならばモビラーは地元の方々とは限らず、仙台を初め関東・首都圏の方も訪れているからです。ここまで来れば何らかの規制も止む無しと考えざるを得ません。そして重要な事は地元では勿論、全国的に率先して発信しながら啓蒙活動を行い、スノーモビラーの方々に理解と協力を求める事だと思います。

岳連加盟の山岳会等とは異なり、私達のような未組織のスキーヤーはこの様な場で意見を述べる機会が無いのが残念ですが、実際月山などで活動しているのは未組織の方々が大半、または岳連には未加盟の山岳会などというケースも有る。特に長年月山周辺で活動してきた山スキーヤーには一際関心も高く、各自いろんな考え・意見が有ると思います。今後どういう結論が出るのか興味深い所ですが、出来ればその辺にも配慮して頂けたらと思いました。

※ 12月9日 山形新聞 朝刊 

http://www.yamagata-np.jp/newhp/kiji_2/200712/08/news20071208_0118.php

※ 朝日山地森林生態系保護地域管理委員会概要

http://www.fureai-kokuyurin.jp/

http://www.fureai-kokuyurin.jp/shiryo3-2.pdf

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行政と愛好者ら初の話し合い 月山周辺のスノーモービル問題

2007年07月29日 | スノーモービル問題
               2007.04.15 鳥海山 御田ヶ原コースにて

27日(金)の新聞報道で山形県の行政側が、スノーモービル愛好者の団体との話し合いを持ったとあった。この話し合いはスノーモービル愛好者の団体からの申し入れで行われ、行政側がこれに応じた事に興味深いものが有ります。

このスノーモービル問題に最近関心が集まり、当事者から前向きな姿勢が動きが出てきた事は前進とも思えます。また行政側が森林生態系保護などの観点から引き続き乗り入れ自粛を求めた事に、当然の回答を出したという印象も持ちました。

今後も行政側で愛好者との話し合いを重ねていく方針の様ですが、ここで一つ注文を出しておきたいのです。この問題に関心を持ち、あるいは利害関係を持っているのはスノーモービル愛好者の皆さんだけでは有りません。山スキーヤー・冬山登山者はもちろん、狩猟をする人あるいは林業関係・地域で生活の足として利用している方、市町村の山岳遭難救助を担っている方々など、様々な方が関係していると思われます。

もしある特定の団体だけとの話し合いで今後の基本方針が決まってしまうと、誰でもが納得できる結論を出すのは難しいでしょう。出来れば話し合いは行政主導で行い、参加者の間口をもっと広げて欲しいのです。例えば狩猟団体あるいは地域のリーダーの方々・山スキー&冬山を積極的に展開する山岳団体・バックカントリーツアーを行うガイドあるいはスクール、旅館・ペンションのオーナー、山岳救助に携わる方々など。それぞれの目的が異なり、立場が違ったりするのでより多くの議論が期待出来るともいえます。少なくとも行政側には現場で携わる当事者の意見に耳を傾けて欲しいと思います。

ただもっと個人的に興味あるのは、鳥海山東面エリアについて、「秋田県の行政側ではどう考えているんですか?」と言う事なんですけどね・・・。

7月27日(金)山形新聞の報道記事
http://www.yamagata-np.jp/newhp/kiji_2/200707/27/news20070727_0385.php


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鳥海山・月山・朝日連峰周辺のスノーモービル規制問題 No.5 

2007年04月18日 | スノーモービル問題
7. まとめ

 ここまでダラダラと長くてまとまりの無い文面となってしまいましたが、ここで少しまとめとしたいと思います。
その前に秋田県庁の自然保護課に「特別地域1~3種」についての質問をしましたが、その回答を記しておきます。

【特別地域1~3種の規制の運用について】

 まず、自然公園の地域区分と規制内容についてのおさらいですが・・・。

地域区分 地域の説明 規制内容
特別地域 特別保護地域 原生自然が残る地域など、特に厳重に自然景観を維持する必要がある地域。
許可制
(開発不可)
第1種 特別保護区に準じて、現在の自然景観を極力維持する必要のある地域。
第2種 良好な自然状態を維持している地域で、農林・漁業との調和を図りながら自然景観の保護に努めることが必要な地域。 許可制
第3種 特別地域の中では自然景観を維持する必要性が比較的低い地域で、通常の農林・漁業については認められる。
普通地域 特別地域と一体的に景観の保護を図ることが必要な地域。 事前届出制

 ※ 特別地域、特別保護地区内における行為については、知事か(叉は環境大臣)の許可が必要です。


■自然公園法の第3節 保護及び利用 (特別地域) 第13条には次のような規定が有ります。

特別保護地区・第1~3種特別地域では、許可制による行為規制があります。

十四  道路、広場、田、畑、牧場及び宅地以外の地域のうち環境大臣が指定する区域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。

 法律の上では特別保護地域、特別地域1~3種であろうが規制の対象となっています。
ただし、この法律がそのまま発動されることは無く、この運用については各都道府県の判断に任されています。つまり、特別地域内での規制が必要と判断された場合、関係団体との慎重な協議を行い、指定地区を設けて規制を行うという手順になっています。

 なお、現在秋田県でこの指定地域があるのは、唯一森吉山の山頂付近のみです。また、この関係団体というのは、秋田県の場合、林野庁の森林管理局などが主導的立場にあるようです。県の担当者に今後規制などの予定はあるかどうかを聞いた所、現時点でその様な動きは無く、現在スノモービルの愛好団体の自主規制を尊重しているようです。
※自然公園の地域区分と規制内容についての資料・MAPは、山形県庁みどり自然課に問い合わせをすると良いでしょう。

【山スキーヤーの言い分】

 ここで山スキーヤーの言い分といっても、ここではモビラーの方々にただ単に不平・不満を言うつもりは有りません。冬山で同じフィールドに立ってしまったモビラーの方々に、「冬山は山屋・スキーヤーだけの領域」などと言う事も出来ません。なぜならば冬の平原や林道ををただ走るよりも、より高い山岳地帯のほうが素晴らしいだろうし、技術的にも高度のものが要求されるでしょう。例えば鳥海山の広大な裾野を走っていれば、より高い山頂方面に気持ちは向かうのも当然でしょう。そういう意味では山屋・山スキーヤーも同じ土俵で活動する大自然の愛好者です。

 しかし、法律的にはなんら規制が無いとは言え、ここで何をやっても許され、何でも自己責任の問題で解決される訳では有りません。林道から上部のフィールドには熊、キツネ、ウサギ、テン、或いは絶滅保護動物のイヌワシ、熊鷹など多くの動物が生息しています。この文明の利器に不慣れな物のストレスは大きく、また厳しい環境下で生き延びる高山の植生にも良いはずは有りません。

確かにスノーモービルの有り余るパワーを持ってすれば、我々が10時間位かかって山頂に立ったところを、たった1~2時間で到達することも可能でしょう。でも、こんなに好条件で到達できる所は広大な山岳地帯のごく一部であり、殆ど多くの場合は到達不可能範囲にあり、この様な場所は例外的と言うことが出来ます。殆どの場合、山屋・スキーヤーは辛く汗にまみれ、場合によっては危険を承知に上での登山行為が不可欠で、その結果、我々は山から多くを学んで来ました。我々山屋・山スキーヤーは長い歴史の中での知識・経験そして技術と体力に磨きをかけ、ようやく条件恵まれた日に初めて山頂に立つことが出来たのです。

 たとえ登った事の結果は同じとしても、山屋の感覚としてはむしろ登る為のプロセスの方が重要で、いきなり厳冬期の山に土足で上がり込む様な行為を見過ごすことは出来ないのです。つまり、一般国道をお気軽にツーリングする感覚で、林道を外れた冬の山岳フィールドに不用意に進入して欲しく有りません。この様に快適に走行できるのは厳しい冬の一時期、それもほんのひと時で、いざタイミングを失って逃げ遅れた時、自然は容赦なく牙を剥いて人間に襲い掛かってきます。この様な山岳地帯を走行する場合、山に対しては謙虚であり畏敬の念を持って接して欲しいし、決して大自然の恐ろしさを侮って欲しく有りません。そしてモラルを持ったモビラーの方々であって欲しいのです。


【今後に期待する事】

 この問題を云々する前に、まず多くの山屋・山スキーヤーの方々にこの事態を知って頂く事が重要です。我々が知らないだけで、山モビラーの方々は遥かに行動力(悪い意味で)を発揮し、なんら制約の無い素晴らしい世界を謳歌しているのです。確かに山で彼らと遭遇するのは一部の山屋・山スキーヤーだけで、あまり認知されることも無く今のところ無く実害も多く有りません。事実、被害者意識を持っているのは、一部の山スキヤー位しかいないのが実情です。ただ、この状態が放置されたままになると、益々多くの山モビラーが山頂を目指す事態になり、まったく歯止めが利かない無法・無秩序状況となる事が懸念されます。

 まずはいずれかの自主規制に期待する事になるでしょう。実効性の有る方法なら我々も尊重すべきで歓迎しなければなりません。しかしそれでも歯止めがかからない時、その時は我々の何がしかの行動が必要となるでしょう。ただし、山スキーヤーの実害といっても、それは単なる我々のわがままで一般的な支持は当てに出来ません。あくまでも環境保護という錦の御旗をかざす事により、多く一般的方々のな理解と賛同者を求め、徐々に圧力をかけて沈静化させる方向が良いのではと思います。

 さんざん山で遊ばせてもらっていながら、私を含めた山屋・山スキーヤーは意外と環境問題には比較的関心が薄い様です。環境の悪化で突然魚が釣れなくなったり、突然の入渓禁止で失望するする渓流釣りの方々と違い、林道建設問題とかブナ林の伐採問題などではあまり実害が無く、先頭に立って反対運動をする山屋・山スキーヤーの話はあまり聞いた事は有りません。この手の反対運動が必ずしも賛同できるものとも限りませんが、我々は少なくとも環境問題には鈍感だと言うことはいえるでしょう。

 北海道ではこのスノーモービル問題が深刻化し、10年以上前から多くの論議がなされ、結果、警察を巻き込んだ幅広い規制の強化と言う事態に至っているようです。東北では今頃のなって初めて問題化した状況で、まだまだコンセンサスが得られないという事が現実です。今後この問題に関心を持つ方が少しでも多くなる事を期待します。

 平成19年4月15日


【スノーモービル問題関係のリンク】

蔵王及び栗駒国定公園特別保護地区内で,スノーモービル等の規制について。

http://www.pref.miyagi.jp/sizenhogo/sizen/kouen/snowmobile/snowmobile.htm  New

 河北新報 KOL NET  2007年 4月13日
 http://www.kahoku.co.jp/news/2007/04/20070413t53033.htm  New

 スノーモービル対策ネットワーク(北海道・多くの問題点を総括)
 http://www.geocities.co.jp/NatureLand/2539/
 
 八甲田(規制・報道)
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2003/0201/nto0201_21.html
 
 十和田(被害・報道)
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2002/0407/nto0407_17.html
 
 妙高(規制)
http://www.big.or.jp/~arimochi/info.02.05.15.29.html
 
 支笏洞爺(規制区域地図)
http://www.ra.sakura.ne.jp/~kamii/regulation-1/map/tarumae.html
 
 大雪山(規制・報道)
http://www.tokachi.co.jp/kachi/0102/02_09.htm

 私はスノーモービルが嫌いだ
http://www.interq.or.jp/ski/hasegasj/xyzak11.htm
 

スノーモービル関連ニュース(駒止湿原、妙高等)

    **********************************

 パラダイス(楽しみ方・行動写真例) 必見!
 
http://members.stvnet.home.ne.jp/seizaka/snow.htm
http://members.stvnet.home.ne.jp/snowmobileparadise/030406/0406_2.htm  「今日は、久し振りのパウダーだ!」「バーンバン、どこでも行っちゃうよ!」
 
 西蔵王パラダイス(モービルランド・マナー等)
http://www.hyoku.com/snowmobilu/3/3page.html
 
  スノーモービルの達人(乗れる所)
http://www1.ocn.ne.jp/~tatsujin/snowmobile/where/land.htm
http://www1.ocn.ne.jp/~tatsujin/snowmobile/index.html
 
※スノーモビル対策ネットワークサイト様より引用。



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鳥海山・月山・朝日連峰周辺のスノーモービル規制問題 No.4 

2007年04月02日 | スノーモービル問題
6. 自主規制とその取り組みについて
 
 法的な規制がこの状況で寂しい限りで頼りない状況だが、この問題に対してどの様な対策が試みられているのでしょうか?平成17年の4月の鳥海山の上ノ台コースと、今年3月に猿倉コースを訪れた際、地元スノーモービルの愛好者団体の方と3度会って立ち話をする機会が有りました。この団体は鳥海さんの東面周辺について自主規制を敷き、定期的なパトロールを行っているという事でした。また、山形県の緑自然課に問い合わせをした時、山形県では鳥海山と月山・朝日連峰については、独自の自主規制を行っている事を知りました。

【鳥海山東面の自主規制について】
 
今年の3月4日だったが、鳥海山の猿倉口から尾根上を上がって行くと「にろく小屋」が有った。尾根上にぽつんと立つ個人まりとした小奇麗な小屋だったが、その小屋の入り口には控えめにぶら下げられた小さな看板が有った。

 その看板には、「鳥海山スノーモービル走行エリア」と書かれており、東面エリアのマップに自主規制されている範囲を示すものだった。少し解り難いマップだったが、唐獅子小屋~七ッ釜小屋~飯ヶ森を結ぶラインの表示が有り、そこから上部は乗り入れを控えて欲しい旨の内容となっている。

 そしてそのエリア内でも、七ッ釜小屋から下の猿倉口コース~祓川祓川コースを囲む三角地帯(MAPで黄色の部分)は進入禁止となっている。おそらく山スキーヤーとバッティングする地域と思われます。

 この看板には設置した団体の名称が記載されていないが、この後七ッ釜小屋で会った自主パトロールの方の物だろう。2年前の4月に唐獅子小屋で会ったモビラーは鳥海町スノーモービル協会(現在は市町村合併で名称が代わっていると思われます)で、共にパトロールを行っている方々だった。

 しかしこの時、祓川方面から七高山に駆け上がるスノーモービルを目撃したが、話を聞いてみると彼らは地元のモビラーではなく不明だと言う。この前七ッ釜小屋であった方に聞いてみると、最近は首都圏からのモビラーも時々訪れており、天気の良い日には自主パトロールを行い、自主規制を知らないモビラーを対象に注意を喚起している模様です。

 ただ、この自主規制自体は山スキーヤーにとって歓迎すべき物だが、あくまでモビラーの視点に立った決め事であって、本当にこの規制区域が妥当なのだろうかとの疑問がある。もし多くの山スキーヤーがこの状況を目にしたら、許容できる人はいったいどれだけいるのか?また、この自主規制はどれだけ多くのモビラーに告知がされているのか?という疑問が残ります。そして最も大きな疑問は、秋田県側ではどうして特別保護区が無いのか?もし設ける必然性が無いのならば、環境保護の観点から条例などの制定を考慮する必要性は無いのか?と言う事に尽きます。

【山形県側での鳥海山の規制について】

 山形県の緑自然課に問い合わせを行ったところ、県及び森林を管理する関係団体が自主規制を求め、鳥海山・月山・朝日連峰の各所に看板を設置した事を知った。

 鳥海山については「鳥海国定公園スノーモービル自主規制区」とされ、鳳来山~月山森~七高山~奥山林道を囲む、南面の広範囲が指定されている。

 このエリアはイヌワシの行動域とされ、湯ノ台に設置されている日本では唯一の猛禽類保護センターの管理下に有る。手元の資料では詳細が解らないが、山形県の緑自然課そのほか環境省の保護官事務所などが規制を加えたものと思われます。
 
 MAPにはスノーモービルの主要走行ルートが示されている通り、滝ノ小屋から月山森方面への乗り入れが規制されている。また、東面の奥山林道周辺から上部も同様であり、林道の入り口付近には看板が設置されている様です。

【月山・朝日連峰の規制について】

 月山・朝日連峰については、3月18日の山形新聞に自主規制についての記事が掲載されています。内容は、鶴岡市や西川町にまたがる森林に影響を及ぼしているとも割れるスノーモービルの乗り入れを自主規制してもらおうと、森林を管理する関係団体が17日、西川町志津の国道112号月山第1トンネル駐車場に看板を設置したと有ります。

 その関係団体とは、①朝日山地森林生態系保護地域管理委員会 ②東北森林管理局 ③環境省羽黒自然保護官事務所 ④山形県みどり自然課 となっています。

 以上2件に(ついては詳細は不明ですが、条例などのような強制力・罰則は無く、お願い事項として自主規制を求める趣旨と思われます。この点は秋田県側のスノーモービル愛好団体の場合と異なり、第3者側の公的機関からの要請という事で大きな意味が有り、しかもエリアも広範囲にわたっており、山スキーヤーとしては特に注目したいと思います。  続く。



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鳥海山・月山・朝日連峰周辺のスノーモービル規制問題 No.3 New

2007年04月01日 | スノーモービル問題
日本スノーモービル安全普及協会 「国立公園、国定公園エリアマップ」より転載

http://www.jssa-smb.org/nationalparks/index.html

5. スノーモービルの乗り入れ規制とその実態。
 
 東北に限らず、全国各地でこれだけ増加の一方を辿る「山モビラー?」だが、その乗り入れに対してどの様な規制が敷かれているのか?それを知るには、まず自然公園法についての基礎知識が必要です。 「自然公園法」のなかには、「自然公園特別保護地域」という規定が有りますが、その特別保護区とは例えば次のとうりです。

【特別保護区とは】 

 国立公園と国定公園では、各種行為が規制される特別地域の中でも特にすぐれた景観を保護する為、山形県内7ヶ所の特別保護区が指定されています。特別保護区は、それそれの自然を公園を特徴付ける、優れたしかしながら壊れやすい景観や生態系を有しています。こうした景観を未来に残す為に、特別保護区では特別地域での規制に加えてさらに厳重な規制が行われており、この地域における自然環境が人為による変更を招かない様保全が図られていますまた、平成18年1月から、新たな規制が加わりました。

【特別保護区はどこにある】

 山形県全図公園区域には国立公園、国定公園のの山頂部に朱色の区域が有ります。この区域が特別保護区です。特別保護区の利用については、自然環境を守る為に色々な禁止事項が有ります。

【特別保護区でしてはならない事】

1. 工作物の新知己、改築、増築。 2. 木竹の伐採 3. 鉱物の採取、土石の採取水 4. 河川、湖沼の水量の増減 5. 広告物の設置、表示 6. 水面の埋め立て、干拓 7. 土地の開墾、干拓 8. 工作物の色彩の変更 9. 木竹の損傷 10. 木竹の植栽 11. 家畜の放牧 12. 野外での物の集積、貯蔵 13. 火入れ、焚き火 14. 植物採取、損傷、落葉、落ち枝の採取 15. 動物の捕獲、殺傷、動物の卵の採取、損傷 16. 道路、広場以外での車馬、動力船の使用、航空機の着陸、 (スノーモービル等の走行も出来ません。加えて車馬の乗り入れ規制区域も走行は出来ません。) 17. 木竹以外の植物の植栽、植物の種子を蒔くこと。(平成18年1月から) 18. 動物を放つこと。(平成18年1月から) (ペットにはリードを付ける、あるいはキャリーバックを用いるなどして下さい。なお、山形県動物の保護および管理に関する条例により、飼い犬を運動させる際には、鎖等で確実に保持する事が義務付けられています。)

 ※ 以上、山形県自然公園等保全整備促進協議会 「自然公園へ行こう」より引用。

【違反した者に対する罰則は?】

「自然環境保全地域内」に許可無くスノーモビルなどを乗り入れると,自然公園法,自然環境保全法により,6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が課せられます。

 ここで言う特別保護地域ですが、一般的にはMAPなどが手に入り難く、今回は山形県の緑自然課にお願いし、MAPと共に参考資料を送って頂きました。残念ながら山形県のHPには掲載されていませんが、スノーモービルメーカーの業界団体である、日本スノーモービル安全普及協会に「国立公園、国定公園エリアマップ」に全国の規制区域が掲載されています。
 
 例えば上記のような規制区域が設定されています。

 しかし良く見ててみると、 法的に規制が加えられているのは山頂付近の一部で、通常我々山スキーヤーが活動している地域の内のほんの狭い範囲でしかありません。これだけの限ら範囲のみで本当に効果があるのか?またはモビラーに十分な告知がなされているのだろうか? 
 もしこのマップを見たモビラーにとってはどう映るのか?もしかすると鳥海山山頂の一部を覗けば「何処でもオー^プンで、殆ど規制を受けない素晴らしい無限のフィールドが広がっている」、「こんな素晴らしいフィールドがまだ東北に残されていたのか?」と考えるするのではないのか?つまり規制を強化するのが目的の筈が、逆に勢いを増長する結果になるのではないのかと心配します。規制から外れれば何をやってもかまわないと思われては困るのです。

【実際の効果と現状は?その問題点は?】

 ここで良く考慮し無ければならないのは、法律の運用とその効果。そこで次のような問題点が浮かび上がってきます。

① 自然公園法、自然環境保全法は当然ながら現行犯逮捕しか出来ない。

 つまりこの違反者を取り締まる場合、実質的には現行犯逮捕によらなければなりません。逮捕特権を持っている警察官による逮捕が前提で、自然監視員、行政の環境保護の担当者は当然その特権は無く、出来るのは注意を喚起する事くらいでしょう。また、この種の法律は常習犯を取り締まる事を目的とし、その為には多くの証拠を基にした証明が必要となるでしょう。実際この法律による逮捕者は私の知る限り無く、実質的にはザル法と言わざるを得ません。

② 各都道府県によってその対応は温度差が有り、規制の範囲、対応の姿勢にはばらつきが有る。

 例えば鳥海山の例で見ると、特別保護区は全て山形県の領域であり、秋田県側東面の祓川、大清水などの人気のエリアは特別保護区の指定は無い。あれ程全国各地から山スキーヤーがやって来るメジャーなエリアだが、山頂付近まで法律的にはまったく野放しの状態なのである。秋田県庁の自然保護課に問い合わせた所、秋田県内には驚いた事に特別保護地域は存在しないという事だった。
 例外的に森吉山には条例で規制している地域(イヌワシの生息保護地域と思われる)はあるが、それ以外はまったく規制されていない。 続く

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鳥海山・月山・朝日連峰周辺のスノーモービル規制問題 No.2

2007年03月30日 | スノーモービル問題
3. 山スキーヤーとモビラーの共存関係は?

 山スキーヤーとスノーモービルの愛好家(以下 モビラー)との接点は、私の範囲内では以外に少なく、僅かに鳥海山で2度出会っただけだ。もちろんゲレンデを整備するスタッフとか、蔵王の馬の背の稜線で標識などの整備をしているケースを除いてである。また、朝日連峰で5月の連休のころ、熊打ちをする為の狩猟目的の方々、山仕事の為の方々も同様です。

 確かに現状では私達の行動中に遭遇することは少なく、たまに出会っても私達の行動を妨げたり、またトラブルに発展すると言うケースは無かった。そういう意味では、彼らも山スキーヤーとあえてバッティングするコース、時期を避けたりしているとい可能性も有り、必ずしも相互に敵対的な関係と言う雰囲気は無い。しかし悲劇的なことは、モビラーの誉る白い無限の斜面と、山スキーヤーが垂涎の的とする美しい斜面が同じ対象だと言うことだ。

 山スキーヤーとモビラーの境界線、あるいは能力の限界点は何処にあるかと考えると、最近の東北の山々では残念ながら殆ど差が無い。もちろん急峻な尾根・谷筋の連続する飯豊・朝日のようなエリアは別にしての話だが、広大な裾野の広がる鳥海山や、素晴らしいブナ林の広がる月山・赤見堂周辺、たおやかな山並みの広がる蔵王・吾妻連峰などは同じ事が言える。むしろ、鳥海山の山頂まで一気にスノーモービルが駆け上がる様に、強力なパワーを持つ機械力には人間の力などは敵う筈も無く、同じ土俵なら遥かに我々を凌駕している事を認めざるを得ない。何しろ我々が6時間半かけて辿りついた七ッ釜小屋に、モビラー達は僅か30分で到着したと言う事だから。

 この現実を考えると、山スキーヤーが持つ古典的な価値観・スタイルと、彼らが行動しているそれとはあまりにも大きな隔たりが有り、お互い共通の価値観など見出せない様にも思える。共通の価値観の無い所にお互いのルール作りなどという発想も無く、ただ反目して感情的に走ると言う可能性もある。そういう意味だけでの解決は困難と思われる。その結果、解決の糸口としては例えば公的な機関、または環境保護団体や登山ガイドの組織団体など、多くの関係者を交えた意見の交換を行い、中立的な立場に立ったコンセンサス造りが必要になると思います。ただ、これ以前に多くの関係者が関心を持つと言う事が重要であり、我々山スキーヤーの務めとしては、少しでも現場での事例を報告してもらい、重要なデータ作りをする必要があると思います。要するに、山スキーヤーはこんなに迷惑していると言う事を数多く発信する事です。

4. スノーモービル利用者の複雑な関係。

 スノーモービルの問題を取り上げる場合、山に乗り入れる方の全て対して同じ論調で言えない事情も有ります。例えば、山仕事やダム・水門の管理、狩猟目的で利用する方、冬季は車の通行が困難になり、生活の手段として利用する方など。叉は遭難事故が起こった際には救助の目的で迅速に現場に駆けつける救助隊、災害・豪雪などでレスキュー活動をされる方など、様々な利用の形態が有る。生活に根ざした方々にとっては時には生命線であり、叉は先祖伝来の伝統的文化でも有り、場合によっては既得権だって考えられます。その為、一律な規制で問題が解決するとは限らず、それぞれの諸事情を考慮した上での協議が必要な訳で、これは決して容易な事でもないと思います。

 実際問題として、我々山屋、山スキーヤーでさえ遭難するとすると逆にお世話になったり、叉は望まなくてもアプローチで結果的にトレースに助けられたりします。また以外だったのは、モビラーの中には山スキーヤーも含まれているケースも有り、スノーモービルにピックアップしてもらって滑りを楽しむ人もいるらしい。こうなると話はやや複雑で、山屋・山スキーヤーでさえ全てが反対の立場とは限らない。実を言うとこの自分も大朝日岳を目指した時、アプローチの林道歩きを敬遠し、チャーターしたスノーモービルをちゃっかり利用した事もある。こういう現実問題を整理した上、お互いの立場を尊重しながら話を進める必要が有りそうです。  続く

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鳥海山・月山・朝日連峰周辺のスノーモービル規制問題 No.1 

2007年03月29日 | スノーモービル問題

             猿倉口コース上部のスノーモービルのトレース

1. スノーモービルとの遭遇

 3月4日 鳥海山の猿倉口から七ッ釜小屋を経由し、七高山に登頂してフォレスタ鳥海から往復したが、ここでスノーモービルのトレースの有様に愕然としてしまった。以前から話には聞いていたものの、普段我々山スキー・ボーダーが慣れ親しんでいる鳥海山の無垢の斜面が、キャタピラの跡によって荒らされ、実に無残な光景となっていたのだった。

 そういえば2005年の4月10日、上ノ台コースを辿って七高山を往復した時、祓川方面からスノーモービルのグループが上って行き、驚いたことに7~8台のマシンが七高山まで駆け上がる光景を目にした。まさかこんな所までとは予想もせず、驚きと同時に呆れ、そして落胆してしまった。獅子小屋からはだいぶ距離はあったが、フルスロットルのエンジン音は鳥海山東面の全般に響き渡り、厳かな冬の大自然の静寂をぶち壊しにしていた。

 我々もすっかり驚いてしまったが、それ以上にこの時期にも生息するカモシカ、野ウサギ、テン、そして冬眠中の熊などにはどんなストレスを与えているだろうか?この暖冬の年の露出した植生に与える影響は無いのだろうか?普段はあまり関心のなかった自然環境への疑問だが、その当事者となってみると関心を持たざるを得ない。

 また、今シーズンの1月21日(日)、大井沢から赤見堂を目指した時、北側の鍋森山の山頂付近にスノーモービルのグループを確認した。おそらく月山第1トンネル付近から鍋森山山頂を目指したものと思われるが、かなり距離があるとはいえ、あの好きになれない2サイクルのエンジン音がこだましていた。私はまだ未確認だが、これ以外にも湯殿山の南面周辺も同様なことになっている様だ。

2. 遅れてやってきた山スキーヤー 

 このスノーモービルの乗り入れについて、最も影響を受けまた関心を持ざるを得ないのは山屋さんたち、とりわけおいしそうな無限の斜面を共有する山スキーヤー・スノーボーダーだろう。特に春スキーでは全国的に名の知れた鳥海山・月山は、この時期は長い歴史を持つ山スキーヤーにとって殿堂であり、誉れのスキーエリアであった筈だ。しかし昨今そんな事とは無関係に、我々以上に行動範囲を広げ、厳冬期の厳しい時期にも関わらず活動しているのは、パワー溢れる機械力を駆使したスノーモービルの軍団だった。

 山スキーヤーの多くは3月後半から5月にかけて活動する方が多いが、スノーモービルのグループは天候が許せば厳冬期でも活動している。今年のような暖冬の年なら、12月から鳥海山の七ッ釜小屋周辺に出没し、好天の時は殆ど毎週のようにキャタピラの跡を刻んでいる様です。すなわち、山スキーヤーのあまり訪れない12月~4月頃が最盛期で、その間は殆ど貸切状態といっても良い状況なのです。
 
 もしかするとスノーモービルの方々は山スキーヤーをのバッティングを避け、あえてこの時期を選んでいるのかもしれないが、もしそうであるならば、いつの間にか山スキーヤーとの住み分けが形成され、ある意味での既得権を享受しているとも言える。つまり、山スキーヤーがまったく知らぬ間にこの時期の勢力地図が形成され、いつの間にか我々は後追いのグループとなり、彼らが圧倒的な存在になったとも見えてくる。ただ、この時期で山スキーヤーがスノーモービルの一団と遭遇する事は少なく、今の所実質的にトラブルになったり敵対意識をあらわにする事は少ないが・・・。

 しかし我々が反省しなければならないには、多くの方がこの最近の現状を知らない事と、この問題に関してスノーモービル愛好家以上に不勉強で、また無関心であった事だと思う。なぜならば、この国立公園または国定公園に関して、いったいどの様な法的規制が有り、なぜこの様な現状がまかり通っているのかについて、基本的な知識さえ持ち合わせていない方が多いからです。その為、ただ感情的に反対を唱える前に、少しでも多くの状況を確認して現状の認識を深め、我々山スキーヤーとしての基本的なスタンスを固めることが必要になってくる。それと、多くの山スキーヤーに関心を持ってもらい、スノーモービル愛好家を含めての、積極的な意見の交換が必要になってきたとも思います。  続く。



    
コメント (2)
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