マーラーの音楽は不思議だ。管弦楽とは?交響曲とは?と考えるが、
ソナタ形式の枠組みもあてはまらないようで、実はマーラーをきいていると、ベートーヴェン
の交響曲がわかったりする。
上の絵は、私の大好きなクリムトの『音楽Ⅰ』だが、マーラーの音楽は、クリムトの絵
に似ていると思う。実際2人は、ウィーンで仲のよい友人だったのだ。
マーラーはグスタフ・マーラー(1860~1911)、クリムトはグスタフ・クリムト(1890~1909)
で名前が同じ、亡くなったのも、マーラーは喉が連鎖球菌にやられたのが原因、クリムトは突
然脳卒中でらしいが、同じ頃に人生を閉じた。
クリムトの官能的な絵は、マーラーの音楽にとてもよく似ている。
クリムトは、1902年の分離派大展覧会のとき、ベートーヴェンのフリーズを作り、
開幕のときに、第9のテーマを、トロンボーンの合奏にするようマーラーに説得したらしい。
おもしろいなあ。
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クリムトの伝記に
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/96/66473d0b18a5eaaa2749dea1ef2f9bc7.jpg)
「世紀末と呼ばれた時代を、その時代が準備した深い無意識、それはクリムト
の深い感受性がかぎつけた 」というくだりがあったが、今回の定期のプログラムに
は、響 敏也さんが、「マーラーは自然の景色を音楽に閉じ込めた」という文と,
「マーラーと夏目漱石が似ている」とも書かれていた。これも納得できる。
上の写真は1907年、マーラーが47歳のときのもの。何気ない表情が素敵。
マーラーというと、私は大好きなビスコンティの映画『ベニスに死す』
のマーラー像のイメージが強いのだが、実物の方がずっと素敵。
しかし、マーラーの音楽には、なぜあの様なトランペットが鳴り響き、軍隊の音が
多いのだろうか。
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伝記によるとマーラーはボヘミア、現在のチェコのユダヤ人の家系で、少年時代の
マーラーは家の近くのオーストリアの兵営からきこえてくる軍隊の音をいつもきいていた。
その住民はチェコ語とドイツ語を話す確立が、半々で、
3番の交響曲の最初のモチーフは不思議だなあと思っていたら、ソにシャープが
ないのは、その町で歌われていたボヘミアの民謡か、ユダヤ教の礼拝のエコーらしい。
でも、マーラーの音楽が、当時の人々に理解されるのにすごく時間がかかった、という
事実は、彼の音楽の中に、阻害感や虚無感、瞑想的なもの、それと正反対な攻撃的、
情熱的な要素が入り混じっているからだろう。
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今回井上さんが、OEKと新日で3番を演奏してくださるので、
フランクフルトラジオシンフォニーの全曲、15枚組のCDを買い、きいていた。これはジャケット
が全部クリムトの絵
(上は1903年にマーラーが指揮したアムステルダムのコンセルトへボ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_en.gif)
ウのアール・ヌーヴォー風のプログラムの表紙。美しい!)
井上さんのロイヤル・フィルとの4番、6番も買った(あとは高くて買えません!)
すごくいいです。
スコアを見るのも大好きなので、マラ3のポケットスコアも、手に入りうれしかった。
以前ヤマハの講師をしていた時に、生徒さんの発表会は、エレクトーンとシンセ何台か
で、クラシックの曲を演奏するというもので、12人の1クラスで、ショスタコーヴィチの5番
の4楽章をやったことがあった。
たった12人にパートを振り分け、弦や金管や木管に分けるのが、バランスが悪く、何度も泣
きながら書き換えて、本番はそういう音が出てきてすごくいい演奏になった。
次の年は、20人くらいで、「フィンランディア」やったなあ。これは楽しかった。
あとエレクトーンで1人で、右手と左手とベースでスコアを振り分けて、ベースにティンパ
ニーなどもってこれるので、’1人シンフォニー’ができ、このアレンジの作業はは大好き
でいつもやっていた。
バルトークの「管弦楽のための協奏曲」とか大会で弾いてたなあ。楽譜作りも凝りまくって
楽しかった。
それで、今回久しぶりにスコアを見ながら、マーラーをきき楽しんでいた。
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でもここでも難あり(笑)せっかくスコアをみてきいていっても、本番の時は、実際の音の
ほうが楽しいので、きいているときは、楽譜はすべて忘れてしまいます(笑)
今回のマーラーは、時間も忘れるくらい存分に実感し、心酔しました。
総勢234人のオケと合唱のメンバーを、1時間20分、休みなしに振るのって、
どれほどの集中力なんでしょう。
この壮大な音を、定期で実現してくださった井上さんに、本当に感謝します。
昨日は富山公演でしたね。金沢と富山で、3番がきけたことは、私たちは本当に幸せだった
と思います。
富山との合同企画も、すごくいいと思います。
しょっちゅう東京へいけない私たちのために、北陸で是非マーラー、ショスタコーヴィチ、
ブルックナーやってください!
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