ピアノと海と花との生活 Ⅱ

~創造する芸術~

グスタフ・マーラー

2009-12-01 | 音楽

 

    

      マーラーの音楽は不思議だ。管弦楽とは?交響曲とは?と考えるが、

      ソナタ形式の枠組みもあてはまらないようで、実はマーラーをきいていると、ベートーヴェン
 
      の交響曲がわかったりする。
 
       上の絵は、私の大好きなクリムトの『音楽Ⅰ』だが、マーラーの音楽は、クリムトの絵
 
      に似ていると思う。実際2人は、ウィーンで仲のよい友人だったのだ。
 
      マーラーはグスタフ・マーラー(1860~1911)、クリムトはグスタフ・クリムト(1890~1909)
 
      で名前が同じ、亡くなったのも、マーラーは喉が連鎖球菌にやられたのが原因、クリムトは突
 
      然脳卒中でらしいが、同じ頃に人生を閉じた。
 
       クリムトの官能的な絵は、マーラーの音楽にとてもよく似ている。
 
      クリムトは、1902年の分離派大展覧会のとき、ベートーヴェンのフリーズを作り、
 
      開幕のときに、第9のテーマを、トロンボーンの合奏にするようマーラーに説得したらしい。
 
      おもしろいなあ。
 
 
               
 
           クリムトの伝記に
 
          「世紀末と呼ばれた時代を、その時代が準備した深い無意識、それはクリムト
 
          の深い感受性がかぎつけた 」というくだりがあったが、今回の定期のプログラムに
      
          は、響 敏也さんが、「マーラーは自然の景色を音楽に閉じ込めた」という文と,
 
                    「マーラーと夏目漱石が似ている」とも書かれていた。これも納得できる。
 
          上の写真は1907年、マーラーが47歳のときのもの。何気ない表情が素敵。
 
          マーラーというと、私は大好きなビスコンティの映画『ベニスに死す』
 
          のマーラー像のイメージが強いのだが、実物の方がずっと素敵。
 
          しかし、マーラーの音楽には、なぜあの様なトランペットが鳴り響き、軍隊の音が
  
          多いのだろうか。
 
 
              

                  伝記によるとマーラーはボヘミア、現在のチェコのユダヤ人の家系で、少年時代の

       マーラーは家の近くのオーストリアの兵営からきこえてくる軍隊の音をいつもきいていた。
 
       その住民はチェコ語とドイツ語を話す確立が、半々で、
 
       3番の交響曲の最初のモチーフは不思議だなあと思っていたら、ソにシャープが
 
       ないのは、その町で歌われていたボヘミアの民謡か、ユダヤ教の礼拝のエコーらしい。
 
       でも、マーラーの音楽が、当時の人々に理解されるのにすごく時間がかかった、という
 
       事実は、彼の音楽の中に、阻害感や虚無感、瞑想的なもの、それと正反対な攻撃的、
 
       情熱的な要素が入り混じっているからだろう。
 
 
                  
 
        今回井上さんが、OEKと新日で3番を演奏してくださるので、
 
       フランクフルトラジオシンフォニーの全曲、15枚組のCDを買い、きいていた。これはジャケット
 
       が全部クリムトの絵(上は1903年にマーラーが指揮したアムステルダムのコンセルトへボ
 
       ウのアール・ヌーヴォー風のプログラムの表紙。美しい!)
 
       井上さんのロイヤル・フィルとの4番、6番も買った(あとは高くて買えません!)
 
       すごくいいです。
 
       スコアを見るのも大好きなので、マラ3のポケットスコアも、手に入りうれしかった。
    
       以前ヤマハの講師をしていた時に、生徒さんの発表会は、エレクトーンとシンセ何台か
 
       で、クラシックの曲を演奏するというもので、12人の1クラスで、ショスタコーヴィチの5番
 
       の4楽章をやったことがあった。
        
       たった12人にパートを振り分け、弦や金管や木管に分けるのが、バランスが悪く、何度も泣
 
       きながら書き換えて、本番はそういう音が出てきてすごくいい演奏になった。
 
       次の年は、20人くらいで、「フィンランディア」やったなあ。これは楽しかった。
 
       あとエレクトーンで1人で、右手と左手とベースでスコアを振り分けて、ベースにティンパ
 
       ニーなどもってこれるので、’1人シンフォニー’ができ、このアレンジの作業はは大好き
 
       でいつもやっていた。
   
       バルトークの「管弦楽のための協奏曲」とか大会で弾いてたなあ。楽譜作りも凝りまくって
 
       楽しかった。
 
        それで、今回久しぶりにスコアを見ながら、マーラーをきき楽しんでいた。
 
             
 
        でもここでも難あり(笑)せっかくスコアをみてきいていっても、本番の時は、実際の音の
 
       ほうが楽しいので、きいているときは、楽譜はすべて忘れてしまいます(笑)
 
        今回のマーラーは、時間も忘れるくらい存分に実感し、心酔しました。
 
        総勢234人のオケと合唱のメンバーを、1時間20分、休みなしに振るのって、
 
       どれほどの集中力なんでしょう。
 
       この壮大な音を、定期で実現してくださった井上さんに、本当に感謝します。
 
       昨日は富山公演でしたね。金沢と富山で、3番がきけたことは、私たちは本当に幸せだった
 
       と思います。
 
       富山との合同企画も、すごくいいと思います。
 
       しょっちゅう東京へいけない私たちのために、北陸で是非マーラー、ショスタコーヴィチ、
 
       ブルックナーやってください!
 
       文部科学副大臣、政務官にメールを送るのは、こちらへどうぞ
 
 

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