ピアノと海と花との生活 Ⅱ

~創造する芸術~

オーケストラアンサンブル金沢第278回定期公演

2010-03-24 | 音楽

                   

                            

                             2010年3月21日(日)

         石川県立音楽堂 
 
           1・ヘンデル 合奏協奏曲第12番ロ短調op.6-12
           2・タルティーニ トランペット協奏曲 ニ長調
           3・アウエルバッハ フラジャイル・ソリテュード:弦楽四重奏とオーケストラのための
           4・ハイドン トランペット協奏曲変ホ長調,Hob.Ⅶe-1
           5・グルダ チェロとブラス・オーケストラのための協奏曲
           《アンコール》 小曽根真さん、カンタさん、シメオ君3人の即興演奏

         私にとって夢のような2日間でした!
 
        この日のプログラム、ALLコンチェルトの盛りだくさんでサプライズの連続!
 
        ヘンデル、すごくいいバランスでOEKの弦の魅力でいっぱい!いい曲ですね。
 
        アウエルバッハさんの近作。すばらしい!大好き
 
        会場の方々はどうだったのでしょう?あの現代の響きは、耳が受け付けない方も
 
        多くいますけど、私はこれが1番好き。頭の中がアルファ波でいっぱいになり、
 
        それが体中炸裂するので、どうしていいか分からない状態になります(笑)
 
        弦と晃子先生のチェレスタ?それとも次の日、中村(金澤)さんが弾いてらした
 
        ジュ・ドゥ・タンブル?あの響きがたまらなくよくて、もうくらくらしてしまいました。
 
       
        
        この現代の響きは、時に不思議な現象を生み出します。
 
        大好きなメシアンが亡くなって、その追悼コンサートが、サントリーホールでありました。
 
        舞台はオルガン1台。メシアンのオルガン曲を1人の演奏者が延々と弾くコンサート。
 
        英国の女性のオルガニストでしたが、そのコスチュームが、すごい!全身銀のラメの
 
        つなぎのパンツスタイル(ピンクレディのUFOの衣装ですね)にアンテナのついた帽子!
 
        きゃーわたしにとっては大歓迎のスタイルで、始まったプログラム。
 
        いつものことながら、私の頭はアルファ波の嵐なのに、周りが変です。隣りの友人も
 
        なんかつらそう。そのうち1曲終わるごとに、客席から人が次々退場しだしたのです。
 
        ついには曲間にも!それでも演奏は延々続きます。中には口をおさえて出る人も。
 
        サントリーホールで実際にあった情景です。
 
        偉大なメシアンのあの音を!感覚がとらえられなかった方が多かったのでしょう。
 
        もっともっとこういうすばらしい音が、人々に受け入れられたらいいなあ。
 
              
 
        さて18歳の天才シメオ君です!このコンサートに合わせて発売のCD(写真は下)
 
        は予約して3日前に購入!上のデビューアルバムもずっときいてました。
 
        タルティーニ、いいですね!私も来年’悪魔のトリル’伴奏です。
 
        天才トランぺット奏者といえば、もう一人、セルゲイ・ナカリャコフ!彼が主演した
 
        映画『大河の一滴』は五木寛之原作の金沢が舞台の映画。
 
        初めてみたときはびっくり!設定もセルゲイ君がOEKのオーディションを受けるの
 
        ですね!実際彼のOEKとの共演はきけなかったけど、音すごいですね。
 
        レガート奏法とかものすごく勉強になる。彼のトランペットは’泣きのトランペット’
 
        そしてシメオ君は、バレンシアの太陽のような大空に澄み渡るトランペットでした!
 
               
 
        音が明るい!すばらしい的確なテクニック!
 
        音色はやわらかで、スペインの空を全部もってきてくれたような演奏。
 
        目の前のシメオ君、CDジャケットより、また大人になって、はにかんだ表情に皆
 
        釘付け!井上さんおっしゃてましたけど、OEKきてくださーい
 
                         
       
        さて、スペシャルです!おもちゃ箱の定期もそうだったけど、この日も
 
        井上さんの爆発企画!音楽堂の天井にミラーボールがまわって、昔の
 
        ディスコ会場みたいになり、カンタさんのチェロがエレキになった
 
        最近だけでもピアソラ、ショパンと、まあ今までもカンタさんの演奏はずっときいていて、
 
        でも話題のグルダはきけなかったので、2日前にも事務所でおしゃべりしたし、
 
        たのしみにしていたら・・・カンタさん!ロックだ!きゃーうますぎ!1番前でのりのり!
 
        実は私は、学生時代、ほとんどロックしかきいてなくて、もちろん気に入ったクラシックの
 
        コンサートは行ったけど、イギリスのロックバンドとかそういうコンサートばかりいっていた。
          
        今はジムでヒップホップ踊ってるのに(笑)ディスコ全盛のときは、アウトドアが好きで
 
        行かなかった。スティングが1番好き東京ドームも行ったなあ。
  
        でも、このロック好き、私だけじゃないですよ。
 
        今、金沢でバリバリ活躍なさっているピアニストの方で、こういう方多いです。
        念のため・・・笑
 
        こういう企画を定期でやってくださって、ホントにうれしい!
 
        会員の皆さんも皆、強烈に感じたと思います。なんて素敵なコンセプト!
 
             
        
        サプライズはまだあったのです!アンコール!客席から何と!小曽根真さん
 
        が歩いてこられて、ジャンプして舞台にあがり、カンタさんとシメオ君と即響演奏!
 
        昨日と今日、東京と名古屋で出演のはずの小曽根さん!ショスタコのテーマですよね?
 
        超かっこいい即響で、3人の演奏が目の前で繰り広げられ、もう卒倒しそうでした・・・
 
        小曽根さんのラプソディーのOEK共演、前回はきけなくて、TⅤ放送を録画して
 
        何度みたことでしょう!ラプソディーは、2台ピアノとコンチェルトとソロの原版のいいとこ
 
        ろを取り出して、それにヴァイオリンパートをつけて少しアレンジして、
 
        トロイさんとも、あと藤井夫妻ともよく弾きました。
 
        ラ・フォル・ジュルネの即興演奏も、いい席getしましたので楽しみにしております・・・
 
        いい席といえば・・・
 
        昨年は、席がシャッフルだったので、今年は絶対!並ぶぞと友人と9時にいったら、
 
        すでに20人も並んでいて、結局12時ちょっと前までかかりました。
 
        ものすごい数のチケット!それもいい席!ということで大満足です。
 
        それでも新潟はいけないし、お料理と演奏の会の日は大阪。
 
        いいです、これだけ公演きければうれしいです。
 
 
        ということで、あまりの盛りだくさんの内容に、うれしすぎて書ききれず・・・
 
        でも興奮のコンサートは次の日にもあったのです。
 
       
 
 

金沢21世紀美術館コンサート

2010-03-24 | 音楽

        

           

          2010年3月22日(祝)

         金沢21世紀美術館 交流ゾーン
 
         1・ブリテン 「オヴィディウスによる6つの変容」より第1曲”パン”
         2・ジルヴェストリーニ 「6つの絵」より第4曲
         3・ドラティ 5つの小品より 第4曲 ”ゆりかご” 
         4・金澤攝 「光の踊り」 (新曲)
           

         OEKのHPで、このコンサートを知ってから、もう楽しみで楽しみで・・・

       定期のUPで書きましたが、学生時代はほとんどロックをきいていた私。

       それでヤマハにはいってから、現代曲を聴き始めて、それで、金沢の鬼才!

       金澤攝さんの追っかけをしていたのでした!

       名古屋のルンデで、サン・サーンスの作品をきいて、ピアノを縦横無尽に駆け巡る

       中村さん(当時は中村攝さん)の指に仰天!本当に腰が抜けてしまって、立てなく

       なったのでした(笑)

       その当時、コンサート後の談笑の中で、「長命の作曲家の作品はすばらしい」という

       話題で大いに盛り上がったのですが、

       すみません!短命のアルベニスの作品を弾くことを、生涯のテーマにして、

       今は毎日、もっと短命だったショパンを弾いてます(笑)

       コンサート前に20年ぶりくらいに少しお話しましたが、予想通り、全く記憶になかった

       ご様子でした(笑)

        

       コンサートは、ナビゲーターの井上さんが、パン(牧神)の衣装で登場でした!

       OEK HP より

          牧神の事をお話している井上さんは、牧神そのもので、

       光の中で、ガラス越しに外の緑の芝生と風と光がいっしょになって、

       本当に不思議な空間でした。

       オーボエの加納律子さんの音もすばらしくて、ルノワールの絵と空間が一体に

       なり、魂だけ浮遊しているみたいだった。

      

       金澤さんの新曲、よかったです!

      ご自身で演奏されるジュ・ドゥ・タンブル、本当にいい音ですね。

      2曲目は、井上さんが「レばっかりだったねー」とおっしゃってました。いい曲。

      久しぶりに金澤さんの音を聴けて、

      あの空間で、夢のような時間を過ごしました。

      この21世紀美術館コンサート、大好きで、昨年も井上さんナビのカンタさん、トロイさん

      出演の部を、娘と聴きに行きましたが、確か毛皮のコートを着ていたような?

      この日は、兼六園の下の通りも、桜がもうちらほら咲いていて、

      ぽかぽか春の風が吹いていて、

      久しぶりの兼六園の足元。

      本当にきらきらしたどきどきした時間でした。

      今度は、佐藤しのぶさんの定期、この日は大学の総会の帰りだ。

      その次は、大学の大好きな先輩が出演する登竜門コンサート・・・

      それまでまたがんばろう   

   

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新・ショパン考 3  ショパンの映画

2010-03-02 | 音楽

   

          

            ’ショパンの映画’というと何を思い浮かべますか?

           『戦場のピアニスト』では、ドイツ将校の前で、バラード1番を弾くシュピルマン、

           胸が締め付けられる場面でしたね。

           あの映画で、ピアノの吹き替えをしていたピアニストは、皆さん、ご存じですか?

           ポーランドのピアニスト、ヤーヌンシュ・オレイニチャク。

           彼が、ショパン役を演じているフランス映画がこれです。『La note bleue』

           《青い音》

           ショパンが、晩年過ごしたジョルジュ・サンドのノアンの館に繰り広げられた

           人間模様・・・もうそれは感嘆するしかない!

                 

          しかし、この最大の問題点は!邦題と日本での取り扱い方!

          この映画の邦題は何と『ソフィー・マルソーの愛人日記』となっており、

          成人映画として取り扱われ、表紙もこれ。

          実は、私は、何年か前にある芸術家の方からこの映画の事を教えてもらい、

          すぐAmazonで注文して観たところ、驚いてしまったのです。

          ソフィー・マルソーは、サンドの娘のソランジュ役で、ショパンの事は慕っていますが

          結局2人は結ばれることなく、事実に基づいた彫刻家のクレサンジュと結婚すること

          になる。

          まず驚くのが、ショパン役のヤーヌシュ・オレイニチャクの演技がすばらしい!

          もうショパンそのもの!顔も晩年の写真に本当によく似ています。そしてもちろん

          全編で、ショパンの数々の名曲をプレイエルで本人が弾いているのですが、

          ブラボーです!もうショパンがそこにいるようです。

          驚くことはまだまだあって、映画は最初に、私の大好きなツルゲーネフがノアンを訪れる

          ところから始まりますが、そのツルゲーネフの愛人のポーリーヌ役に、

          フォルクスオーパーでも大活躍のノエミ・ナーデルマン!

          彼女も全編にわたり、その美声をきかせています。

              

            確かに全体的に設定が芸術的なので、マニアックな映画になるのかも

           しれませんが、わたしは観れば観るほど、事実に基づいて創られていること   

           に感動します。

           ツルゲーネフがノアンを訪ずれるようになったのも、このころ。ドラクロアも息子

           のモーリスも、そのほかの登場人物も、忠実に描かれています。

           そうそう、サンドの飼っていた犬が、台所でワインを飲んでしまって、酔っぱらって

           それを見ながら、ショパンが「子犬のワルツ」を弾く場面もあります。

           出来た瞬間ではないですが、他の名曲はこうやって出来たのかなあという場面

           がたくさん出てきます。

           天才の織りなす世界ですから、かなりクレージーな部分もあるように思いますが、

           私は好きです。

           実際、毎日、ショパンの音をきいていた日常は、こんな感じだったと思う。

           なにしろ、オレイニチャクがうますぎる!

           私は『戦場のピアニスト』のサントラ盤ももっていますが、個人的にはCDできく彼の

           ショパンはあまり好きではありません。

           でも、この映画のノアン館のそれぞれの部屋においてあるエラールピアノを

           弾く彼は、本当のショパン!音もいいし、弾き方もこの映画の中ではすばらしい!

           最後の方で百面相も披露してるし、ふざけて床にすわったままピアノを弾く

           シーンもある!すごいなあ。

           サンドの寝室の青い部屋は、前回このブログでも、

           ご紹介しましたが、映画では、ソランジュにひかれていくショパンにサンドが

           爆発し、部屋を、大嫌いな真っ赤な壁紙に代えてしまう。サンドの書斎も忠実に

           再現していると思う。

           その真っ赤な寝室で、ピアノの鍵盤に、バーッと吐血しながらピアノを弾くショ

           パンの姿にはものすごいものがあります。

           晩年のショパンは、いつもこんな風だったと思う。

                     

          これは、ドラクロアが、リュクサンブール宮殿の図書室の天井を装飾する

          依頼を受け、ダンテを描くためにショパンの顔の特徴を利用したもの。

          1847年にドラクロアは、完成した絵を見せるためにショパンとサンドを案内した

          が、それが二人が一緒にいた最後だった。

          ドラクロアは終生、この絵を自分の部屋にかけていたそうだ。

          この絵をショパンにノアンの庭でショパンに見せる場面も映画に出てくる。

          ドラクロアとショパンとサンドは真の親友だったのだ。

                      

         これは、サンドの長男モーリスとサンドの作品。モーリスが菩提樹の木を削って

         人形を作り、サンドが衣装を作って仕上げた。これも映画全般にわたって登場し、

         最後は、不気味な人形劇の場面になっているが、実際、ノアンでは、この人形

         劇が、ノアンの芸術活動となり、広く人々に愛され、支持されたのである。

         映画の人形劇の最後に、登場人物のその後が語られているが、それもすべて

         事実。

         ソランジュは、婚約者がいながらショパンに惹かれ、2人でサンドから離れて、

         逃げたいとまで思うが、突然現れた彫刻家のクレサンジュと意気投合し、2人は

         結婚する。ショパンの晩年とサンドとの破局にも、この2人はおおいに関係している。

         また、映画では、サンドは非常に奔放で、あらゆる男性とキスをかわし、女性との

         関係まで描かれているが、これも事実である。

         この映画の中では、サンドはもう男装はしていない。その代わり、ソランジュが、

         ’昔のママの姿よ’と男装してショパンに迫る場面はある。

             

        この映画の中で、ショパンのセリフとして「バラードの中では必ず死が訪れた」

        という一言がある。私も同感。バラードを弾いているといつも強く感じる。

        サンドとの会話の中では、「最後の音まで、繊細に、かすかに・・・それが青の

        音よ」というのもある。美しい!

        こういう音を、私は長い時間をかけて探しているのだ。

        それにしても、この《La Note Bleue》も最後の方では(先の音へ)と訳してあって、

        フランス語はよくわかりませんが、これでいいのでしょうか?

        とにかく、この映画の邦題を、たとえば《愛と望郷の果て》とか《愛と旋律の日々》とか

        なんでもいいから変更して、ジャケットもアカデミックなものに変えて、

        せっかくのショパンの年だから変更してみてはいかがでしょうか?

        マニアックな不可思議な印象の映画ですが、そこにはショパンの実像に近い

        映像があります!

        最後の写真は、39歳で亡くなった1849年の翌年の10月17日、ドラクロアが会長になり

        パリのペール・ラシェーズ墓地に建てられたショパンのお墓。

        作者は、ソランジュの夫のクレサンジュ。ショパンの横顔の上に天使のうなだれた

        姿が彫られていてその手にしているのは、古代楽器のリラ。

        映画では、これまた奔放に描かれていたクレサンジュ、すばらしい仕事をしています。

        

 

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