音信

小池純代の手帖から

十喩詩 6 ひびき

2020-04-05 | 日記
空海「十喩詩」より

   六 詠響喩

  口中峡谷空堂裏 風氣相撃聲響起
  若愚若智聴不同 或嗔或喜匪相似
  因縁尋覓曾無性 不生不滅無終始
  安住一心無分別 内風外風誑吾耳


翻案四首

  ひびき


うつろより声こそ生るれうつろとは風と風とがあひあふところ *生:あ

悲のやうな喜のやうな哀のやうなり風にもとより色はなけれど

はじまりも終はりもなくて突き抜けてゆく風突き抜けてゐる響き

うちそとを風はうそぶきたゆたへど耳を翼にして飛ぶなかれ




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