音信

小池純代の手帖から

日毎の音 蝋 201001

2020-10-01 | 日記
  
  蝋


 よきものがそこにあるよな蝋紙の包みおそらく一斤のパン


 蝋涙は炎の生まれ出奔ののち堕するには熱やや足らず


 花を摘むやうに炎を摘み捨てつ蝋燭の火の消し方ひとつ


 いざといふときのいざとはいつなのかしんと待ちゐる蝋燭の箱


 蝋燭は一本二本それでさて火はいかやうに数ふるべしや







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