前回記事の翌日に、この名古屋は梅雨入りです。
ジメジメしていますが、気温が上がらず、涼しいのはいいですね。
さて、今日は、先週末に出た、特許に関する最高裁判決(最高裁平26.6.5第二小法廷判決 ① ②)について触れようかと。
最高裁が特許などの知的財産事件で判断を示すことは少ないので、注目です。
しかも、知的財産高等裁判所という専門部の中の、さらに通常よりも重みのある事件を扱う特別部がした判断を覆した。
その点でもかなり重要。
長くなるので、今日のところは、まず前提部分の説明です。
1 プロダクトバイプロセスクレームというものについて
特許は発明に対して与えられる権利ですが、その発明には、「物」の発明と、「方法」の発明がある。
例えば、
Aという成分を有する青汁粉末
というのは、「青汁粉末」という物の発明(Aという成分が特徴)。
※ ちなみに、最近、気休めにこんな青汁飲んでるので、青汁を例にしてみた(^_^;)
(なお、この写真は生協の青汁ですが、事件とも特許とも関係ないのでご注意を!)
一方、
B工程を経て、Cを行って青汁粉末を得る青汁粉末の製造方法
というのは、「青汁粉末の製造方法」という方法の発明(B工程やCが特徴) 。
といった感じです。
ところが、薬などの化学分野では、新規物質の構造や特性を特定することが難しい場合がある。
そこで、物の発明であるのに、方法的な記載でその物を特定する場合がありました。
こういうのを「Product by Process(プロダクトバイプロセス)」クレームと呼びます。
例えば、
Aの濃縮溶液を作り、Bを沈殿させ、それを精製する方法で製造されるC物質
といった感じで、C物質という物を、製造方法を使って特定します。
2 本事案での問題点は?
さっきのような、プロダクトバイプロセスの形式で特許となった場合、それとは違う製造方法で同じC物質を作って売っている会社に対し、作るなとか損害賠償しろといえるか。
物は同じだけど、特許された製造方法とは違う方法で作っている場合も特許権侵害といえるかということです。
今回の事案では、この点が問題となりました。
これまで、
・ 物さえ同じであれば、製造方法が違っていても問題ないんだ、という考え方と、
・ いや、製造方法を特定しているのだから、物が同じでも作り方が違えば違うはずだ、という考え方
の2つの考え方があり、見解が分かれていました。
そこで、知的財産高等裁判所の裁判官5人で構成される特別部(通常部は裁判官3人)は、
・ 物をその構造や特性によって特定することが不可能または困難な場合は、物さえ同じであればいい、
・ しかし、そういう事情がない場合は、製造方法も含めて判断する
という考え方を採用しました。
上記の2つの考え方を折衷したような考え方です。
これに対し、最高裁判所の第二小法廷は、どういう判断をしたか?
知的財産高等裁判所とは違った判断をしたわけですが、それについては、次回の記事で!
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