★いきなりタイトルとは関係ないですが・・・
このところの週刊誌記事に代表されるように、最近、STAP細胞の論文に関する非難がちょっと変な方向に行ってるような気が・・・
記事を読んでないですが、表題を読むだけでちょっと気が滅入る。多くの人がそう思っているのではないかと、思いたいところ。
時期的に、声を上げにくいということも想定してるんですかね。だとしたら、酷い。
新聞社等の他のマスコミさんも、週刊誌記事だからって知らんぷりしてていいんですかね。
こういう時こそ、業界自らの問題として対処すべきと思うのですが・・・
★タイトルに関する話
で、タイトルに関する話です。
1年ほど前から、名古屋の弁護士と弁理士が一緒にやってる知財の勉強会に参加させてもらっています。
今回、僕が報告担当者なので、判例時報に載ってる知財判例を5つほど発表します。
その中の一つ、「スペースチューブ事件」の高裁判例(知財高裁平成24年2月22日判決)を紹介したいと思います。
2年前の判決なんで、最新判例ではないですけど。
「スペースチューブ」とは、伸縮性のある布でチューブを作り、ロープで吊って宙に浮かした状態で保持し、その中を人が通れるようにしたものです。
チューブの中を通るとき、宇宙遊泳してる感覚とか、不思議な体験が得られるそうです。
この「スペースチューブ」を開発した人が、同じような機能を有する装置を作った被告に対し、著作権侵害や不正競争防止法違反を主張した事案です。
被告は、、もともと原告と「スペースチューブ」の共同事業をしていて、その共同事業解消後に、問題となった装置を使って事業を始めたようです。
原告からしたら、共同事業によって得た情報をもとに真似して作ったんだから、その装置を使うな!ってことなんでしょうね。
でも、判決では、「スペースチューブ」を応用美術だと判断したうえ、そこに創作性はないとして、著作物と認めませんでした。
「応用美術」というのは、要は、純粋な美的鑑賞目的で作られたもの(芸術作品)ではなく、実用的なものの中でデザイン性のあるものという位置づけです。
判例で問題になった有名な例として、「ニーチェアX」がありますね。
「ニーチェアX」の著作物性が否定されたように、応用美術は通常、著作物とは認められません。
美的鑑賞の対象となるものと認められて初めて著作物になります。
美的鑑賞の対象となるかどうかなんて、感覚の問題なので、裁判官次第で変わる可能性は十分あります。
本件でも、地裁の裁判官は美的要素ありと判断しましたが、高裁の裁判官は美的要素なしとしました。
個人的には、原告に厳しい判断だなぁと思いますが、著作権(しかも応用美術)と不競法でしか攻められなかったのはハードルが高かったように思います。
じゃあどうしたらよかったの?ってことですが、この「スペースチューブ」に関しては、特許や意匠で保護することを検討すべきだったように思います。
応用美術を著作権で保護しないというのは、いや、他に意匠という保護手段があるでしょ、っていう考えが根本にありますし。
一品ものの美術品や工芸品でない限り、何か新しいものを作り出して、それを勝手に他人に使わせたくないってことであれば、どういう保護の手段があるのかまずは専門家に相談しましょうね!
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