~ストーリーテリング「愛依の風」ainokaze~

絵本・素語り・わらべうた
ストーリーテラーやえはたのりこ(やえちゃん)の徒然便り

『おおるり』

2008年08月26日 | 本の紹介いろいろ
今日も雨でしたね。
鳥の鳴き声も聞こえません。

久しぶりに三浦哲郎を読みました。
彼の作品は好きです。
読んだのは、『おおるり』(講談社文芸文庫『拳銃と十五の短編』所収)です。
読み返しです。これは切ない作品です。ほろっと泣けてきます。

「おおるり」の囀る声を聞いた事がありますか?
高くて、本当にソプラノ歌手みたいにどこまでも響くような素敵な声です。
野池で出逢ったigashiraparkさんの撮ったオオルリ


この作品は、「おおるり」を飼っている消防屯所で勤める男が、市民病院の入院患者の付添の女の願いをきく所から展開していく物語。
「おおるりの声をもっとよく聞けないものか」という女の願いの果ては・・・。
登場人物の淡い心の交わりに響く「おおるり」の美しい声。

小鳥はただ鳴くだけ。何も知らず。
人は想う。喜びの時も悲しみの時も、また、病の時も死の時も。
知らずに小鳥の声に救われる。
私の好きな鳥のでてくる話は、小鳥の美しい声が切なく響くのです。
作品の優しさと静寂がきしきしと胸に響くのです。

ブルーな日に「青い鳥」の物語はささやかな良い時間をくれました。






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