今週木曜日は、よみうりカルチャー町田の
「わらべうた・素語り・絵本」講座でしたが、
その時の一人の生徒さんのお話です。
7月最後の講座の日、蓮の咲く頃には、自然と語りたくなる
『蜘蛛の糸』芥川龍之介
を語りました。
こちらの生徒さんの前で、語ったのは初めてでした。
その時は、しみじみ聴きました~と笑顔の方もいれば、
胸のあたりを手で押さえて、ふぅと深くため息をつかれたような様子の方もいました。
写メは、やはり生徒さんが、薬師池公園の早朝6時ころの蓮だと、送ってくれたものです。
『蜘蛛の糸』を聴いて、蓮の花が見たいと思い、早速お出かになられたというお話でした。
すごく、美しい姿ですね
そして、いつももの静かな印象の女性の方が、こんな話をしてくれました。
「実は、私、昨年、父と母を相次いで亡くしたんです。
それで、その時から、蓮の花がすごく好きになり、家で育て初めたんです。
ところが、その一つが、もうすぐ咲くのかなと思っていたら、枯れてしまったんです。
でも、「蜘蛛の糸」聞いたその日、その枯れたはずの蓮の花が、蜘蛛のおかげで咲いたんです!」
聞いてて、私も「蜘蛛のおかげですか?」と聞き返すと、
「蓮の上に蜘蛛の巣ができ、それを目がけて蓮が伸び始めたんです!」
まぁ、そんなことが!!
私の語った『蜘蛛の糸』の、お釈迦様の蜘蛛の糸が彼女の心をそっと持ち上げたのではないかしら・・・
お家の蓮の花も、彼女の気持ちを汲み取ったのじゃないかしらと不思議なことを思いました。
そのお話をされているお顔は、とても明るかったのです
いつも、小さな声で、そっと語られる方ですが、
ちょっと、語りも変わってくるかもしれない、ふとそう思いました。
私の『蜘蛛の糸』を聞いて、ご両親を思い出されたそうです。
そして、この時期に毎年聞きたいと、嬉しい言葉をもらいました。
このお話は、きっとたまたまのことでしょう。
でも、語りの世界で、良い心地になったのなら、とても嬉しいことです
誰かの心に、そっと寄り添える。
そんな語りをしていきたいです