火曜語りの会の皆さんです。メンバーは10人。
唯一のご自宅訪問お話し会です。
この会は、いつもの会とは全く違う雰囲気ではじまります。
いつもなら、「愛依の風」の歌から始まり、詩を三つほど語り、物語に入っていきますが、ここでは、まずそれぞれの近況報告からです。
美味しいお茶と持ち寄りのお菓子を戴きながらみんなが語るのです。
そして、掘りごたつにゆっくり足をのばし、リラックスして耳を澄まします。
今月は太宰治作「ヴィヨンの妻」。
どうしようもないろくでなしの詩人大谷とその女房さっちゃん。
太宰特有の陰気な男と、こんな男といるばっかりに・・・なんて思ってしまう幸せ薄な女を描いていますが、このさっちゃんのなんとも自己主張のない純粋な気質は、どこかほっとするような気持ちを抱かせます。
「なんて、可愛らしく、いじらしく、優しい女なんでしょう、さっちゃんは」私もついつい大谷を許してしまいたくなるのです。
大谷と一緒の帰り道、さっちゃんから「幸福よ」ということばがでてきます。
さっちゃんの幸福はどこにあるのでしょう。
そう、この幸福が高校生の時には、さっぱり分かりませんでした。
でも、今はまぁ、わかりますね。さっちゃんの気持ちが。
みんな受けとめて、明るく生きていく強さを持つさっちゃん。
さっちゃんの最後のことば「人でもいいじゃない。わたし達生きてさえいればいいのよ」
なんてたくましい、明るいことばでしょう。
雨上がりの一筋輝く陽の光にも似たことばです。
この作品は、暗くないですよ
中央線沿線の町の名前も出てきて情景も浮かびます。
ぜひ、みなさんも味わってみてくださいね。
最近私はこの言葉が好きなんです。
「明日は明日の風が吹く」