エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

≪約束≫ :日常生活が、信頼と希望の源になるとき

2014-09-18 06:32:49 | エリクソンの発達臨床心理


アメリカ人の夢 光と影

2013-09-18 03:37:13 | エリクソンの発達臨床心理

アメリカ人の生き方は、特に、ヨーロッパの人々が、民族間、宗教間で、憎悪の対象としてきたものを乗り越える根本的な実験だったことは、極めて重要な事実です。今日は、そのアメリカ人の生き方を支えた、「アメリカ人の夢」がテーマです。


 「≪約束≫に基づく遊び」をしていると、子どもとお母さんの間に、信頼が育まれます。それは、神様が一方的な約束をしてくださるので、神様と人の間に、信頼が育まれるのに似ています。

 なぜこうなるんでしょうか? 子どもとお母さんの関係は、すなわち、子どもが弱い立場、お母さんが強い立場という力の非対称性が厳然とありますでしょ。すると、両者の間に「約束」ができても、その約束は、強い立場にあるお母さんの都合・気分・状況によって、簡単に反故にされがちではないですか? たとえば、19時から絵本の読み聞かせをする、と「約束」しても、夕食が伸びたり、洗い物が終わっていなければ、「あと十分待ってね」などとお母さんは子どもに平然と言ってますでしょ。でも、これじゃぁ、「≪約束≫に基づく遊び」と言う時の≪約束≫には決してなりませんし、「時間をプレゼントする」ことにはなりません。お母さんの側に、≪約束≫に対する忠誠・誠実さがあって初めて、この≪約束≫になるんですね。すなわち、お母さんが、自分の「強い立場」を投げ捨てて、むしろ、「弱い立場」をあえて選択する、というような態度が、≪約束≫が成り立つためのエッセンスになっているんです。それは、神様がご自分の「強い立場」を投げ捨てて、むしろ、「弱い立場」をあえて選択して下すっていることと同じです。

 このような態度でお母さんが子どもに接し続けると、子どもにも、お母さんにも、「信頼」が育まれますでしょ。

 そうすると、はじめて、そのほかのことも≪約束≫にすることができるんです。その他の≪約束≫は、お母さんが自分の「強い立場」を投げ捨てて、むしろ、「弱い立場」をあえて選択しつづけて、初めて可能になるんです。ここを誤解している大人は非常に多い。「弱い立場」をあえて選択しつづけた≪約束≫の後に「信頼」が生じるんです。

 そして、「信頼」ができると、初めてその他の≪約束≫が成り立つ。

 こうなれば、力強いですね。あらゆる生活部面が≪約束≫になるからです。たとえば、着替え・着脱。子どもにとって、着替えは大きな課題ですね。その着替えについて、子どもがちょっと頑張れば、できるところをまず、子どもさんとお母さんとで、話し合う。それは、お子さんとお母さんが、「お子さんの近い将来におけるお子さんの姿」、その≪見通し・イメージ≫を≪共に見る≫ことにもなります。ヴィゴツキーの言う「発達の最近接領域」でもありますでしょ。その≪見通し・イメージ≫を、お子さんとお母さんが、ハッキリと≪話し言葉≫にして、≪約束≫にするんですね。すると、ちょっと頑張ればできることを、子どもさんが「お母さんやって」ということも少なくなりますし、逆に、お母さんが子どもさんががんばっているところを、不当に口出し・手出し・オーバーコントロールすることも少なくなります。こうして、2人の≪見通し・イメージ≫が繰り返し≪話し言葉≫になって確認した≪約束≫が、毎日≪出来事≫になります。これくらい、子どもさんにとって、嬉しうこともありませんし、「信頼」を育むことになることもないんですね。

 そうやって、少しずつ、あらゆる生活部面をこの≪約束≫にしていくんです。すると、子どもさんもおか母さんも、日々の生活をすること自体が、「信頼」を育むことに繋がりますし、「大きな根拠のない希望」を生み出す根っこになるんですね。

 そのような、ささやかではあっても、ハッピーだらけの生活を、あなたもチャレンジしたくなるでしょ。

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