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エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

自分を確かにすることにならない成功なんて、いらない!

2014-01-12 22:36:16 | エリクソンの発達臨床心理

 

 支払い猶予期間から卒業するのは、やっと自由になれたということだといいます。どういうことでしょうか?支払い猶予期間って、そんなに不自由なんでしょうか? いろんなことにチャレンジできそうで、自由といえるんじゃないでしょうか?

 

 

 

 

 

 自由になる、とは、家族や友人、仕事やアイルランドから離れることですし、自分を確かにすることもせずに成功することを避けることです。つまり、自分がまだ気づいていない大きな野心にふさわしくない成功をすることを避けることなのです。彼はこのようして、青年期と成人期の間にある、尺が長くなった幕間を卒業したのでした。彼は次のように書いてますね。「私が生まれ育った街を後にした時、この段階を卒業したのです。そして、8年間、自分と向き合う、ひとりの時間(ソリチュード)を過ごした後、80年代初頭に社会主義者の復活に引き込まれたんだ。イギリス人特有の≪強烈な真面目さ≫が私にもありましたし、≪とってもリアルな感じのある≫、≪非常に原理的な悪≫、しかも、≪世間全体に悪影響を及ぼす≫悪に対する怒りに私は≪身を焦がしていた≫のです。」(≪≫で引用したところは、マルティンの個人史を支配していた課題です。) この間、ショーは、チャンスを回避したのは、間違いありません。というのも、望んだことにはならないという確信の背後には、望んでもいないことになるのでは、という、言うに言われぬ不安を感じていたからです。」私どもが認めなくてはならないには、若者の中には、否定的な成功、すなわち、自分が「ともに成長する・一つになる」ことがないかもしれないと感じる方へと自分が歩むことを許されないまま、成功することを、逆説的ですが、恐れていることです。

 

 

 

 

 ここは多くの日本人が読みたくないところでしょう。今の日本人主流は、ウソとゴマカシがあっても、自分も人も、だまくらかしても、成功=お金を手にしたいと思っているからです。ここでエリクソンが力説しているのは、この日本人の生き方とは正反対のものです。すなわち、成功しても、それが自分を確かにするものではないこと、否定的成功、自分も人も、自分の内面も一緒に成長することにならない成功に対して、人は本来、恐れがあることを、エリクソンははっきり述べているのですね。そんなことを言われれば、今の日本人の多くは、存在不安に陥ることでしょう。

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