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エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

最良の、最も誠実な人って、誰?

2014-01-11 07:54:22 | フーコーのパレーシア

 

 王様や政治家は、「ばか」では、パレーシアの関わりを認めることができません。パレーシアのある関わりを認められない王様や政治家は、したがって、ダメな王様、とんでもない政治家ということになりますね。そういう王様や政治家は、パレーシアのある関わりがされると困ることがあるに違いありません。その場合、政治を蓄財や名声のために利用していることがほとんどでしょう。そう、政治やその目的が目的ではなくて、自分の蓄財(政治資金稼ぎ)や名声の手段に堕しているのです。

 

 

 

 

 

 「パレーシアのある関わり」(ギリシャ・ローマ世界では、政治家の政治生活において、かなり重要なものになるのですが、)は、次のようになっています。主権者、すなわち、権力があっても真実を知らない国王たちは、真実を知っていても権力のない人に対して、話しかけ、その人に告げます。「あなたがもし、真実を私に教えてくれるなら、その真実がどのようなものかが明らかになっても、あなたが罰を受けることはありません。それから、不正に手を染めた人は罰を受けることになりますが、その不正について真実を教えてくれる(通報してくれる)人は罰を受けません。」「パレーシアのある関わり」という考え方は、パレーシアは、最良で、最も誠実な市民に与えられるべき特典である、ということと一体です。もちろん、ペンテウスと彼の使者とのパレーシアのある関わりは、一つの倫理的な義務にすぎません。なぜなら、そこには制度的な基盤がないからです。王様の使用人として、この使者はいつまでも、極めて弱い立場のままですし、(本当のことを)告げるのにリスクを取る状態のままです。しかし、この使者は勇気があるけれども、向こう見ずなわけではありませんし、自分が話したらどうなるかもわかっています。この「関わり」とは、実は、この使者が(真実を)告げる際に取ることになるリスクを小さくするためのものなのです。

 

 

 

 

 

 権力に都合の悪いこと、会社にとって都合の悪いこと、上司の不興を買いそうなことでも、真実のことなら、自由にものが言える、というのが、真に民主的な社会です。日本は北朝鮮ほどではないにしても、そんなことをすれば、社会や会社や組織の中では非常に生きにくい、結果として生活が脅かされる、命の危険がある、という意味で、北朝鮮に極めて近い、と私は考えます。

 しかし、そのようなことを告げる人は、その社会、その会社、その組織の中で、最善で、最も誠実な人物なのですね。

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