J2愛媛のホームスタジアム、愛媛県総合運動公園陸上競技場のネーミングライツが募集されています。
募集元は愛媛県愛媛県土木部道路都市局都市整備課都市公園管理係。
条件として、
・価格は年間2,000万円以上
・3年間以上の契約
・公序良俗に反するもの等は名称として使用できない
・名称変更に伴う費用負担:敷地内看板等の変更費用は別途企業負担
となっており、平成20年9月(来年)からスタートする予定だそうです。
詳しくは
こちらをご覧ください。
この件に関して、以下の視点で考えて見ましょう。
1.行政的な視点
2.スポンサー的な視点
1を考えれば、公共施設の運営費が件の財政を圧迫しているということでしょう。
だから少しでも売れるものを売ってその足しにしたい。
2,000万円という価格は、恐らく毎年これくらいショートしているということかもしれません。
そうであれば、「赤字が出ない」ことを念頭においた価格設定といえます。
2を考えればどうでしょうか?
愛媛県のプレゼンシート(上記リンク先の下部にあります)を見れば、
①企業の認知度・ブランド向上
②企業イメージの向上
という2点を訴求しています。
このほかにも、行政のHPや封筒などにも企業名を印刷して露出を確保するらしいです。
まあ、行政のHPや印刷物に乗ることは、「行政お墨付き企業」としての信用度を得られるので、この点を魅力に感じる企業はあるかもしれません。
①、②に関してはどうでしょう?
愛媛FCの年間試合数が24試合、大きなマラソン大会が年1回。
実際に愛媛FCが全国紙に大きく取り扱われる回数も少なく、残念ながら「満員のスタジアム」というイメージもありません。
地元であれば、地元紙とテレビに扱われることも多いと思います。
となれば、愛媛県内を主な市場としている成長過程の企業にはメリットがあるかもしれませんね。
①、②を行政は訴求していますが、
・県内ですでに有名な企業
・県内ですでに独自のブランドを構築している企業
にはあまりメリットがないと思います。
であれば、①と②を訴求するのではなく、命名権購入による地域貢献を訴えたほうがいいかもしれません。
その場合、命名権を企業が購入することで、具体的にどのような地域貢献ができるのかを明確にする必要があります。
また命名権が売れたことによって、どのようなメリットが地域住民に還元されるのかも明確にし、県民に伝える必要があるでしょう。
そうでなければ、命名権を買ったことが何故地域貢献になるのか、県民は理解できません。
理解できなければ、命名権を買った企業に対するありがたみや感謝の念を持てないからです。
命名権を買ったはいいが、県民からの理解が得られなければ、知名度もあまりあがらず、企業イメージもあがらずで、ただのお金の無駄遣いになってしまいます。
名前をつければ終わり、というものではありません。
良好な関係性を構築し、維持していくためには、行政・命名権購入先の2者間だけでなく、地域住民・マスコミ、その他地元企業との関係にも配慮していかないといけません。
そうでなければ、最初の契約はもちろん、今回の契約に至ったとしても次回の更新には至らないでしょう。
またネーミングライツにはエンロンやグッドウィル、フルキャストなどの事例が示すようにかなり大きな負の影響もあります。
特に今回は施設だけでなく、行政のHP,印刷物にも企業名が露出されるようですから、企業選びは慎重にしたいところですね。
喉から手が出るほどお金がほしい行政が、その判断を冷静に下せるかという点もきになります。
行政・企業・そして何より愛媛県のみなさんのためになる契約が結ばれることを祈っています。