アドバンスカレッジ2005~目指せ!憧れのスポーツビジネス界~

スポーツビジネス&スポーツマネジメントを学ぶ学生に贈る。

オリックスバファローズに見るスポーツマーケティングの可能性

2011年01月31日 | Weblog
オリックスバファローズが大きく動いている。
昨年11月にこのブログでもお伝えしたように、
球団ブランドのリニューアルに向けて動いていた。
オリックスのブランドリニューアルへ

この動きは単にBI(Brand Identity)の変更に留まらず、
新たなマーケットの開拓に及んでいる。

関西圏では阪神タイガースという強力ブランドに押されている
オリックスが目をつけたのが韓国だ。

関西には韓国/朝鮮の方々をルーツとするコミュニティも多く、
独立リーグには昨年から韓国および在日韓国人から構成される韓国ヘチ球団が参入している。
韓国ヘチ公式サイト

野球の人気や日本文化への親和度も高いこの国の経済は成長著しい。
また、何より素晴らしい選手が多い。
オリックスは朴賛浩投手や李承ヨプ選手といった韓国人有名選手を積極的に獲得した。

注目すべきはここからである。
まずは球団の新スポンサーに韓国企業が決定した。
eスポーツが発展著しい韓国の代表的企業である。
オリックスバファローズ公式サイト

さらに、オリックスの公式サイトに韓国語自動翻訳サービスが登場。
これによって日本のスポーツ界が課題としていた外国語による情報発信の問題を克服できる。
(翻訳の精度がどれくらいかを判断することは私にはできないが・・・)
オリックスバファローズ公式サイト

現場、フロント、ビジネスサイドが融合したこのような動きは日本で初めてのように思われる。
まるで欧州のサッカー界に見られるようなクラブが一体となった滑らかな動きである。
こうした動きは野球界のみならず、サッカー界やその他のスポーツリーグ/団体にも広がって行くだろう。

球団のマーケティングとして新たな可能性を感じさせる動きであるし、
何より野球を通じて日韓関係がより良いものになってほしいと願っている。

高津投手、ようこそ新潟へ!

2011年01月27日 | Weblog


BCリーグの新潟アルビレックスBCに元ヤクルトで名球会投手の高津投手が入団した。
元同僚の橋上監督が口説いたという。
う~ん・・・・、大歓迎です!!

誕生間もない独立リーグの盛り上がりには、
やはり人気実力ともに十分な選手の移籍が効果的だと思う。

ピークを過ぎ、NPBでは確かに厳しいかもしれないが、
それに近いレベルでまだまだやれる、という選手には
是非地方の独立リーグでプレーしてほしい。

NPBを目指す若手選手の見本となることができるだろうし、
何よりファンの食いつきが違う。
プレーイングコーチに近い形でこうした選手がどんどん活躍するようになれば
独立リーグも活性化するだろう。

そのために、是非高津投手には今まで通りプロらしく、
最高のパフォーマンスを発揮してほしい。
期待してます!!

美しいモノを作るヒトの生き方

2011年01月20日 | Weblog
理屈を超えて、頭にスッと入ってくるものがある。
思わず心が引かれてしまうものがある。

無駄を省き、シンプルであるが、
それ故細部へのこだわりがものをいう。

このバランスを見つけるために、
一体何度デザイン画を書き直し、
何度パターンの修正を施したのだろう。

1枚の服からデザイナーの感性やこだわりが伝わってくる、
そんな洋服に久しぶりに出会った。
しかも、ウェブで。







早速メールで注文すると、
デザイナー兼社長がすぐに電話をくれた。
すぐに発送してくれるという。何とも嬉しい。

かれこれ10年くらいの付き合いになるから
当たり前なのかもしれないのだけど、
これは僕が彼から通販で服を買う初めての機会。
試着をしなくても自分に合うサイズをお願いできるのは
信頼のなせる業だろう。

僕はこの人が作る服が大好きだ。
いや、この人の服を作る姿勢や考え方が好きなのかもしれない。

揺るぎない自分の信念に正直で、
多くのプレッシャーやチャンスを前にしてもブレることはない。
枯れた大地に深く根を張り生き続けようとする
大きな木のように感じる時がある。

非常にたくましい強さの裏には、
実は弱さや脆さ、絶望、葛藤というものがあったに違いない。

恐らくそれに正面からぶつかったから、
普通の人間では避けて通る難題を乗り越えられることができたのだろう。

一件邪悪なお兄さんにみえるこの人は、
僕にとっては自分自身に純粋で正直な人に映っている。

売りたくないヒトには売らないという姿勢を貫きつつ
(ちなみにお店の看板を出していない)
毎年売上を伸ばすこのアンチマーケターは
いつも僕の頭を心地よくかき混ぜてくれる。

阪神大震災から16年ープロスポーツクラブの対応に疑問ー

2011年01月17日 | Weblog
阪神大震災から16年。
神戸の街の復興は、多くの人の手と心によって支えられてきた。
学生時代、ゼミの親友から聞いた話を思い出すと、今でも涙が出てくる。
本当によくぞここまで、という気持ちで一杯である。

スポーツの世界でも、オリックスの「がんばろう神戸」が今でも印象深い。
それは昨年のブログにも書いたとおり。
がんばった神戸、がんばっている神戸

多くの人々の心の支えになったスポーツチームのこうした活動は、
残念ながら徐々に下火になってきているようだ。

本日午前10時までに神戸を本拠地とするプロスポーツチームのウェブサイトを除いてみたところ、
震災に関してクラブから公式コメントを出しているところは一切無かった。
(ヴィッセルユースが式典に参加するという「スケジュール」は記載されていた)

スポーツという実体のないものでビジネスを行う以上、
クラブは地域との精神的な繋がり/絆というものが重要になる。
絆を深めるためには「良き思い出」よりも、
「辛い過去」を共に乗り越えてきたという実感が大切だ。
阪神大震災は多くの人々にとって、「何よりも辛い過去」であることは間違いない。

ちなみにマンチェスターユナイテッドは1958年2月6日に発生したミュンヘンの悲劇を風化させないため、
オールドトラフォードには事故が発生した時刻で止まったままの時計が掲げられている。
マンチェスターユナイテッド公式サイト

何より現在も神戸の方々が震災を風化させないために様々な活動をしている。
地域のスポーツクラブであるならば、こうした活動に参加するだけでなく、
活動の輪が広がるようなサポートもすべきであろう。
特に多くの注目を集めるプロスポーツクラブには、このような役割が期待されていると思うのだが・・・。

残念ながら神戸を本拠地とするクラブと地域との距離が開きつつあるのではないかという懸念を抱かざるを得ない。
午後一番にでも各クラブから公式コメントが出ることを切望する。




危機を乗り越えられるか?ーJ2水戸経営難ー

2011年01月16日 | Weblog


資金難に喘ぐ水戸ホーリーホック。
昨年、totoから3,000万円を短期で借り入れたが返済資金がショート。
今月末に迫った支払期日に間に合わせるために
Jリーグ『公式試合安定開催基金』の借入申請を行うことに。
水戸ホーリーホック公式サイト

簡単にいえば借金返済のための借金をした、ということである。
これで当座の資金繰りはクリアしたように見えるが、
現実は甘くない。

このJリーグからの借り入れ、返済期日が今年10月31日。
もう、9ヶ月後に迫っている。
この資金返済に向けて、水戸の発表によると以下に重点的に取り組むという。

①資本増強施策の実施 出資依頼先の選定
②広告料収入の増加 スポンサーの獲得強化
③入場料収入の増加 観客増員の強化
④後援会組織の発足
⑤役員の体制強化
⑥Jリーグクラブライセンス制度の導入に伴う体制の確立

クラブ独自の努力で達成可能なのは③の入場収入増加であろう。
また、クラブを愛する人たちによる後援会組織の立ち上げも
即効性が期待できる。
(一先ずクラブへのコミットが強い個人/団体3,000人を集めて
10,000円の会費を集めれば3,000万円は調達できる)

残念ながら③、④以外の資金調達に関する選択肢は実現可能性が低いだろう。
ヴェルディの場合と異なり、ブランド力が相対的に低いため
よほどクラブや地域を愛してやまない企業が出ない限り①、②は難しいと考えるからだ。
何せ平均観客動員はJリーグワースト2の3,608人。
せめて1万人台であれば・・・。

したがって、繰り返しになるが結論は③と④しかないと私は考える。
クラブが自らの価値を洗い出し、
地域と共に双方の夢を重ね合わせ、
一人でも多くの賛同者を集めるしかない。

幸いにも昨年からそうした活動が盛んに行われてきた。
水戸ブループロジェクト
(残念ながらホームページにわかりやすいバナーなどがない。
 こういう部分が非常に残念・・・。)

徐々に芽吹きつつある「クラブの存在意義や価値」を今一度問い直し、
早々に大きな渦に仕上げて行く必要がある。
水戸ホーリーホックの方々にとっては大変な難局であるだろうが、
是非これを逆手に取ってクラブと地域を結びつける原動力に変えてほしい。

最後に今回の問題は水戸だけのものではない。
多くのJクラブが資金難に喘いでいるのはまぎれもない事実である。
イレブンミリオンは達成できなかったが、
地道な顧客開拓と維持を怠ってはならない。

「ビジネスの目的は顧客の創造である」
サッカー界は、改めてドラッカーの言葉を思い出し、行動すべきだ。