その額3830万円。
80年の調査開始以降、最高額を記録。
リーマンショック以降、プロスポーツ界は親企業の業績不振や
スポンサー離れ、チケット売上の低下などのマイナス面も多くみられる中での報道。
⇒毎日新聞
出来高分が含まれていないので、実際はもっと高い数値になるでしょう。
トップと下位との差は2.5倍ほど。
戦力格差が大きくなっているようです。
下位球団には2つの方法があります。
1つ目は「セイバーメトリクス」を用いた安くても勝てる選手の起用。
2つ目は「マーケティング」による売り上げの拡大。
特にスタジアムの集客率にはまだまだ改善の余地があります。
現場とフロントが目標をすり合わせ、互いに協力し、改革を推し進める必要があります。
しかし、各球団での努力に限界があるのも事実。
NPB全体として「野球の試合」という商品をどのように定義づけるのか―。
それに従ってどのようにリーグマネジメントのシステムをデザインするのか―。
これが大きな課題です。
アメリカプロスポーツはリーグを一つのブランド、商品と定義付けており、
自らを「エンターテイメントビジネス」に位置付けているものが多く見受けられます。
したがって、試合という商品価値を高めるためには
「拮抗した戦力」による「白熱した試合」が必須であるという認識が浸透しています。
これを達成するための仕組みとして、クローズ型のリーグシステムのもと、
1.サラリーキャップ
2.ウェーバー制ドラフト
3.リーグによる収益の吸い上げと分配
などがシステムとして存在し、機能しています(NFLやNBAが顕著ですね)。
一方、欧州のサッカーではオープン型のリーグシステムのもと、
各クラブの自由競争が繰り広げられています。
トップと下位の収入差は拡大し、現在は各国リーグのトップクラブによる
チャンピオンズリーグが人気を博しています。
つまり、リーグと各球団・クラブを運命共同体と捉え、
互いの繁栄に関する事務処理や意思決定を中央(コミッショナー)に預けているのがアメリカ。
リーグではなく、各クラブの裁量の幅が広いのが欧州。
NPBはアメリカのクローズ型リーグの下、
欧州型の自由競争が各球団で繰り広げられているという形になっています。
今後選手年俸が球団経営を圧迫し続ける中、
どのようにしてリーグ全体で売り上げを伸ばし、
それを各球団に分配するかが大きなポイントになりそうです。
実際にパリーグでは6球団合同の「パシフィックリーグマーケティング」が
ビジネスを行い、パ・リーグ全体の経営効率化や売上増加に向けて取り組んでいます。
要はNPBをどのような存在・商品として成立させ、世にアプローチしていき、
持続的な発展をシステム化させるかが問題です。
日本企業を取り巻く経営環境が激変して約20年。
各球団個別の経営改革は注目されるようになってきましたが、
根本的なリーグの理念やシステムを構築することが必要です。
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