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チラシの裏

翻訳家の役割

2006年02月28日 | SF
古い話ですが、亡くなった翻訳家に黒丸尚、大伴墨人、という方がいました。

黒丸尚は一世を風靡したサイバーパンクSFの翻訳家として、例のルビを多用した独特の文体で新人作家の追従者まで生み出しました。ウィリアム・ギブスン「ニューロマンサー」の登場は衝撃的で、サイバーパンクはいっきにSFのメインストリームとなったように見えましたが、

黒丸尚が亡くなると、サイバーパンク系の作品紹介も少なくなり、ギブスンの翻訳さえ角川書店に移ってしまいました。ジャック・ウォマックの「テラプレーン」「ヒーザーン」のシリーズはもう何作かあったはずなのに未訳のまま。 意外なところでは「虚無の孔 M.K.ジョ-ゼフ」なんてのも訳していたんですね。これ面白いですよ。

大伴墨人はスチームパンク系の作品を翻訳していたように覚えています。「アヌビスの門」ティム・パワーズ、「悪魔の機械」K・W・ジーターなど。

たしか本職はお医者さんかなにかで、余技で翻訳をやっていたかと読んだことがあります。この人が亡くなってからスチームパンク系の紹介が少なくなってきたような気がします。とくにティム・パワーズの「アヌビスの門」は必読の傑作です。
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