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チラシの裏

わかった、ダールグレンだ

2011年06月29日 | SF
「わかった、ダールグレンだ」


「ダールグレン」がとうとう出てしまいました。
買いましたか? わたしは当然買いました。
上下合わせて7000円。「ウルQ」のBOXに比べれば安いもんです。
「ねじまき少女」を読むんだったら「ダールグレン」だね、うん。
(ところで「ねじまき少女」のジャケは高橋葉介に頼んだほうが良かったのでは、と思う。
なぜかというと、ほらミルクちゃんがねじを持っているので)

「ダールグレン」の内容については、ググればある程度のことは分かると思いますが、
分かると読むとはまったく別の行為なので。
で、わたしはこれを、「ダールグレン」を読まずに書いてます
(ギブスンの序文と巽孝之の解説は読みました)。
想像ですが、ディレイニーは「ダールグレン」を
自分の小説技法の総決算および次へのステップとして書いてのではないか、と。

それまでのディレイニー作品では、構成の難解さ、アバンギャルドな技法が見られるものの、
一応は起承転結という根源的な小説作法の枠に収まっていました。
それは読者の存在を考えて、書かれてある物語の奥に存在するもっと大きな物語を強引に畳みこんであったからだと思います。
思い出せば、「どんなSFを書きたいか」という質問に
「プラネット・ストーリーズ調の作品を書きたい」などと素朴な答えをしていたディレイニーでしたが、
SF小説の枠を外してみたいと考えたのではないでしょうか。

もともと短編であってもずいぶん時間をかけて執筆する作家で、
「時は準宝石の螺旋のように」の解説にも
「どの短編も6週間以内に書かれたものはない、一日8時間から10時間執筆しても」
という本人の発言が記されています。
物語の展開のために犠牲にしている書きたいことを
「ダールグレン」では圧縮しないでそのまま書き綴った、というように思えます。


「ダールグレン」が売れて、未訳の作品が出せるような状況になるといいなあ。
デビュー2作目の「塔の崩壊」3部作、
ネヴェリヨンサーガ、
銀河はポケットに砂粒のごとく、
無理か…。

■ダールグレン 上・下 S・R・ディレイニー著 国書刊行会
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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
買いましたーッ!!! (したっぱ)
2011-06-30 02:35:18
「あ、しまったコレはダレン・シャンだ。ダール・グレンを探しに来てとんでもないものを買ってしまった。どうしよう」
若き日の納谷悟朗の声で世界に向けて棒読みする、いつまでもそんな腹立たしい役立たずでいたいものです。
そんなボクにニヤニヤお酌をされるとお酒のニガさもヒトシオでございましょ?
ほんと、良く出来たしたっぱですよね。

ミルクちゃんネタは書いてるブロクありましたね。きっと、マンガ少年世代ですよ(笑)
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あとは読むだけ (spin out)
2011-06-30 17:42:23
「ディレイニーはこの一冊で終わりではないのだよ。
考えても見よ、国書刊行会が我々に送り届けたSFの量を。
国書刊行会はあと十年は戦える!」

塩沢兼人だったかなあ…
イデオンの誰かもこの人だった…

下っ端としては表書状ものですよ、
と若旦那も思っているに違いない。
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表彰状 (spin out)
2011-06-30 20:09:41
表彰状、でした。

表書状ってなんだ。
鳴門秘帖みたいなもんか?
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素人処方ですが (inuneko)
2011-07-02 14:24:49
夏風邪のひきはじめか、たちの悪いSFをこじらせてますね!
だいたい初期症状は誤変換なんですよ~。
少し若旦那の創作落語でも挟んだほうが…。
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午後3時に幻を見る (spin out)
2011-07-03 11:02:02
夏風邪のせいか、SF病か、
八代目林家正蔵が若旦那の創作落語を
高座にかけている幻覚が・・・
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若旦那の心と筆を折ろうって、正蔵六の呪いですな! (inuneko)
2011-07-04 10:43:16
宴会でつかまる前に治して下さい!ボク真ん中とかイヤですよ!
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うまい (spin out)
2011-07-04 11:17:01
正蔵六の呪い、

おあとがよろしいようで・・・
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Unknown (若旦那)
2011-07-05 01:44:36
おや、珍し。ご隠居ンとこへ与太さんが顔ォ出して、アチシの噂話しですか。どうりでここンとこ、鼻がムズムズすると思っておりやした。
そうそう、正蔵六師匠ンとこには、キャラメルを送るのがいいんじゃあないかと。エエ、汚染にキャラメル・・・
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中入り (spin out)
2011-07-05 19:06:33
おや、珍し。
若旦那じゃないか。まァおあがり。与太公のやつはいま吉祥寺へ帰ったよ。
おーい、ばあさん、虎屋の羊かんがあったろ。与太公には隠しておいたやつ。あれを持っておいで。
いや、なに、あんたのことをあれこれ言ってたわけじゃないよ。
与太のやつが、「若旦那の書く落語はよっぽど面白い、腹わたが煮えくりかえるくらいだ」って言うもんだから、
そりゃァ「腹の皮がよじれるくらいだ」と教えてやったンだがね。
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へぇ (与太坊(だじょー))
2011-07-06 12:02:03
あんまりおもしろいんで、すっかりハラワタがよじれやした。
病名がつきやしたんでしばらく入院させていただきやす。
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