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チラシの裏

カーとキャロライン・ウェルズ その2

2017年11月09日 | JDカー
「名の無い男」(カロリン・ウエルズ名義)
以下、こんなお話し。

銀行の頭取の部屋で口論と銃声が聞こえた。
その部屋の廊下をはさんで反対側に事務所をもつ弁護士(?)が、
3つある扉のうちの一つから入ると誰もいない。
たしかに部屋の扉のガラスには二人の男の影が見えたうえに、
銃声後の悲鳴は女のものだった。都合3人が現場から消えていた…、
といかにもカー好みの不可能状況ものですが、期待しないほうがいいです。

途中からシリーズ探偵ぺニントン・ワイズがロマの少女ヂヂとともに登場。
ところがこのワイズ探偵はちょっとお間抜けで、助手である少女ヂヂのほうが探偵として有能。
「だから彼女がいないとやっていけない」なんて、なんだ、そのヒモ的発言。
原題を直訳すると「地球を落ちてきた男(?)」で、いちおう伏線として回収されますけど、
がっかりを通り越してギャグになってます。
大地か、地球か、と迷ったのですが「ヴェルヌ」の名前が出てきたので、
地球にしてみました。


作者がヴァン・ダイン以降の本格ミステリパラダイムを認識しているわけではなく、
意外な展開で読者を楽しませようというだけの、本格ミステリ以前の作品ですが、
文体を現代化すれば今でも受けそうな気がします。
世間的に有名な探偵がじつはボンクラで、助手の少女が有能、なんて設定はラノベならアリですし。

芯の強そうな正統派お嬢様のヒロイン、
語り手役の弁護士の秘書は大人しそうだけど意外に怜悧(ツンデレ?)、
探偵助手のヂヂは黒髪で才気煥発。
悪役の妖艶な美女を加えて4人の女性が登場。
京アニで観たい(?)。



国立国会図書館デジタルコレクション
「怪奇探偵 名の無い男」
The Man Who Fell Through the Earth (1919)
Carolyn Wells カロリン・ウエルズ 著 小川水村訳
博文館 探偵傑作叢書 ; 第44編 発行大正15年(1926年)
「怪奇探偵 名の無い男」

プロジェクト・グーテンベルグ・オーストラリア
The Man Who Fell Through the Earth
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