テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

おおかみこどもの雨と雪

2013-04-08 | アニメーション
(2012/細田守 監督・原作・共同脚本/声の出演:宮崎あおい、大沢たかお、谷村美月、麻生久美子、菅原文太、黒木華、西井幸人、大野百花、加部亜門/117分)


 女子大生花(はな)が恋をして、その彼からある日突然自分が“おおかみおとこ”であることを打ち明けられる。それでも彼が好きだった花は同棲をし、やがて赤ん坊を産む。最初の子は女の子で「雪」と名付けられ、二人目は「雨」という男の子だ。
 トラックの運転手をしている彼が仕事から帰ってくる朝、アパートの玄関に出てみると、スーパーの買い物袋だけがあり、気になった花は表に出て行った。すると近くの川に鳥を口にくわえた狼が息絶えていた。彼だ。彼は家族に栄養のあるものを食べさせようと鳥を捕まえようとして川に転落したのだ。
 シングルマザーとなった花。子育ても初めてだし、ましてや“おおかみこども”の育て方なんて知らないし。
 亡くなった彼は狼と人間を意識的に使い分けていたが、「雨」と「雪」は感情のままに突然狼に変身したりするので、迂闊に外に連れ歩くわけにもいかず、病院に行くのも躊躇われた。夜泣きがうるさいと隣人からは責められ、お役所からはネグレクトを心配して面会を強要された。家賃の支払いも先行きが不安なので、花はどこかの田舎町に引っ越そうと考えた。緑豊かな山あいの村にでも・・・。

 ココまでがいわばプロローグ。少し長めで、イメージビデオのような細切れのシーンをBGMをバックに繋げていて、ドラマチックではないので少し退屈になる部分もある。一度しか観てないので忘れてしまったが、二人が出会ったのは大学のキャンパスだったと思うので、同棲して子供が出来た段階で彼は大学を辞めてトラックの運転手になったのではなかったか。

 物語は、大きくなった雪が母から聞いた家族の歴史を語っているナラタージュ形式で進められている。

 さて本筋は、この花一家が田舎町に引っ越してから始まる。
 都会育ちの花が、役所に紹介された壊れかけた古民家を修繕し、休耕地を耕して野菜を育てる。初めはすぐに出て行ってしまうだろうと思っていた村人も段々と打ち解け、何かと世話を焼いてくれたりする。そうこうする内に、やがて雪は幼稚園に通うようになり、友達もすぐに出来た。しかし何事にも怖がりで引っ込み思案の雨は周りにあまり打ち解けなかった。花は村で仕事を見つけ、雨は母の仕事場について行くことが多かった。
 雪が小学校に上がり、2年生になると、雨も小学校に入学する。元気のいい雪は上級生になっても友達と仲良くできたが、雨は段々と学校を休みがちになっていくのだった・・・。

 この後はネタバレになるので省略。
 あくまでも人間として生きていこうと思っている雪と人間に馴染めずに悩む雨。そして、雪にも自分に獣の血が混じっていることを否が応でも意識せざるを得ない日がやってくる・・・といったところが、後半の見所でしょうか。
 獣の血といっても、それほどシリアスな問題ではなく、雪にも亡き父と同じ運命がちょっと早めに訪れただけのことであります。

 全体にファンタジーなのに、妙にシリアスに描いているのが違和感あり。
 花の家族のことはプロローグで語られていたけど忘れてしまいました。彼については何もなかったような。
 画は美しいです。田舎の風景には懐かしさも覚えました。

 2012年の日本アカデミー賞で、アニメーション作品賞というのを受賞したそうです。

*

(↓Twitter on 十瑠 より

近くに開店したゲオにレンタルした2本のうち、今日が返却日の「おおかみこどもの雨と雪」を観る。アニメ好きの子供たち(って、一人はもう25歳ですけど)が好きそうなのを1本選んだだけだけど、娘は映画館で観て大好きだったそうな。「サマー・ウォーズ」、「時をかける少女」の細田守の作品。
 [4月 6日 以下同じ]

「おおかみこどもの雨と雪」。117分と結構長尺で、序盤の主人公と“おおかみおとこ”が恋人同士になるプロローグは俯瞰的な視点のイメージで断片的に綴られて、なんだかぼんやりとしてて乗っていかないが、その後から面白くなる。

「雨と雪」というのは、姉と弟の名前。丁寧にシングル・マザーの子育てが描かれているが、狼と人間のアイの子というファンタジックな設定と人情が絡んだり、少々説教くさいエピソードに違和感が。ストーリーに突っ込み所もありそうだしな。因みに、家の娘はこれで5回は泣けるらしいです。

細田守作品は「時かけ」は断片的にしか観ていない。「サマーウォーズ」は一度ちゃんと観た。「サマー」に関して言えばオタクっぽいストーリーで、ファンタジーにしか見えないし、感動云々とは別の次元の話だと思っているが、オタクの間では感動作らしい。家の娘は自称オタクなのでどっちも好きらしい。





・お薦め度【★★=美しい画は、悪くはないけどネ】 テアトル十瑠

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2 コメント

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Unknown (宵乃)
2013-04-09 07:30:13
おはようございます。
この監督さん、まわりの新米お母さんがカッコよく見えて、その憧れを映画にしたそうです。二人のなれそめや、お父さんの存在(名前すらない!)なんてどうでも良いという描き方でしたね~(笑)

ちなみに、彼は生徒じゃないのに大学に紛れ込んで勉強してました。あと、花は父子家庭に育ち、彼女が高校生くらいの時に父親が亡くなったようです。
すべてはスーパーお母さんの子育て奮闘記を描くために用意した設定という感じかな?
観る人の年齢や経験でガラリと感想が変りそうな作品でした。
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宵乃さん (十瑠)
2013-04-09 15:36:55
二日に分けて観たので、最初の方忘れてしまっていて、お蔭様で情報の補完が出来ました。

>観る人の年齢や経験でガラリと感想が変りそうな作品でした。

大人には想像できないくらい過酷な運命だと思いますが、若い人にはロマンチックだったりしてネ。
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