テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

(500)日のサマー

2022-01-24 | 青春もの
(2009/マーク・ウェブ監督/ジョセフ・ゴードン=レヴィット(=トム)、ゾーイ・デシャネル(=サマー)、ジェフリー・エアンド、マシュー・グレイ・ギュブラー、クロエ・グレース・モレッツ/96分)


 何年か前に色々なブログでこの映画の記事を見たのでタイトルは覚えていたが未見だった。レンタル落ちのDVDだ。

 まずはストーリーはallcinemaの解説から拝借。
<グリーティングカードの会社に勤める建築家志望のライター、トム。彼はある日、アシスタントとして入社してきたサマーに一目惚れしてしまう。それが彼にとって運命的に出会った彼女との1日目だった。そして4日目には、エレベーターの中で好きな音楽の話をしたことをきっかけに、2人は会話を交わすようになっていく。28日目、トムはサマーに彼氏がいないことを知る。しかし、“恋人なんて欲しくない。誰かの所有物になるなんて理解できない”と語る彼女は、愛というものを信じていなかった。それでも、これを機に友達としてつきあい始める2人。34日目、デートのさなか、“真剣につきあう気はない”と伝えるサマーに対しトムは“気軽な関係で構わない”と答え、2人の距離感が縮まっていく。そんなトムとサマーの淡くも良好な関係は、ずっと続いていくかに思われたが…>

 トムは妹と両親との四人家族で(こまっしゃくれた妹は兄貴の恋の相談を積極的に受けてくれるいい奴だ)、サマーの両親は彼女が幼い頃に離婚しているという設定になっている。

*

アメリカ、LAが舞台。
 ボーイ・ミーツ・ガールの話によくあるパターンの一つで、トムは草食男子とまでは言わないが最近のお茶の間の恋愛TVドラマに出てくるような内気で彼女の気持ちを慮る青年だ。というかハッキリ言ってしまうと所謂「こじらせ男子」でありますな。一方のサマーは外見は清楚で可憐な美女なのに実はドライな肉食系というコッチは所謂ツンデレ女子。トムの一目惚れから始まるというのもよくあるパターンだよね。
 タイトルの(500)日というのが珍しいが、これは彼と彼女のお付き合いが500日だったという事で、先のストーリー紹介は時系列に書かれているが、実際はあちこちに話は飛ぶ。
 ただ、難しい話ではないのでシーンの途中で出てくる(〇〇)日、(〇〇〇)日の数字から大体の流れは掴める。この時系列操作が何かの表現効果を産んでいるかと言うとどうも怪しいネ。僕にはただ単に観客の興味をストーリーの再構築にも向けさせるだけのものだったような気がする。お若い人にはサマーとトムの恋の危うさが感じられるかも知れないが、ベテランには効果は薄いと思うな。

脚本についてウィキペディアには、<脚本のスコット・ノイスタッターのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでの実際のロマンスに基づいて作られている>と書かれている。映画の冒頭にはサマーのモデルになったらしい女性について「Bitch」と表現しているので良い印象ではなかったんだろう。映画の中のサマーの心理は謎が多いけど「Bitch」には見えなかったな。

この映画には1967年のアメリカ映画の名作「卒業」が出て来て、少年のトムにも影響を与えた(字幕では「拡大解釈」したと出てきた)ようだし、映画の終盤近くにはサマーがトムとこの映画を観に行って感動して涙を流すシーンがある。
 恋愛なんて信じなかったサマーが「卒業」の何に感動したのか映画は語ってないけど、僕は彼女がベンジャミンの破天荒な行動に心動かされたんだろうと思った。映画を観た後サマーはトムに距離を置くようになるから、女の気持ちをいちいち汲み取っているようなトムが嫌いになったんだと思う。

少年の頃に「卒業」に感動したトムが、映画館でラストシーンに涙しているサマーに「ただの映画だよ」って言ってるのが解せんね。一緒に彼女の感動について語り合えば運命の人になれたはずなのに。

も一つ、(488)日目の再会のシーンが疑問なんだけどサマーは何故にトムに会いたくなったんだろうね?
 去って行く彼女の後姿はなんだか寂しそうだし、脚本は彼女が後悔しているように描きたかったのかな?
 一つの仮定として、「運命」というものを信じるようになった彼女が、自分にとってトムが運命の人だったのか、又は運命の人なのかを再確認したかったんじゃないかな。ただ、そんな過去を振り返る女性って珍しいと思うけどね。

お薦め度は★二つ半。お若い人には三つでもよろし。





・お薦め度【★★=若人には、悪くないけどネ】テアトル十瑠

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