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::: テアトル十瑠 :::

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

『来生たかおと小津安二郎』

2006-01-21 | 『独り言』
 昨日のお昼時、何気なくNHKにチャンネルを合わせたら、あら懐かしや、来生たかおが出ていた。丁度、「♪Good-bye Day」をピアノの弾き語りで唄っているところだった。
 かつて、姉のえつ子と共に数々のヒット曲を飛ばし、一世を風靡していたシンガー・ソングライターである。その頃は、車で聞くために、レンタルショップでミュージック・テープを沢山ダビングしたものだ。レンタルといっても借りて帰るというのではなくて、お店の中に高速ダビング用の機械が置いてあって、生テープにコピーして帰った。レンタル料というより、ダビング料を払っている感じだ。店には、コピーした後の空白部分のテープをカットする道具も置いてあった。

 TVでは、芸能生活30周年ということで出された、記念のCDについてのインタビューをやっていた。今まではアルバムジャケットなどには口を出さないタイプだったのに、今回は自分のアイデアで作ったとのことだった。
 来生は小津安二郎の映画が好きで、今回使われた写真も、路地裏の風景など小津映画に出てきそうなものばかり。タイトルが入る表題部分に使われたのは、雲一つない青空をバックに、物干し竿に洗濯物が干してある写真だった。『理由は?』と聞かれ、来生が答える。

 小津は場面転換にフェイド・インフェイド・アウトなどを使わない人で、代わりに何気ない風景を挿入する事が多かったらしい。その中で一番よく使ったのが、この洗濯物が干してある風景という事だ。で、コレを記念アルバムのジャケットに使ったというわけだ。記念CDであり、来生の転換期になるということだろうか。

 小津映画の特徴といえば、カメラアングルだ。人物を撮るのに、大体少し仰角にカメラを向けている。立っていても、畳に座っていても、軽く下から見上げるような感じで撮っている。更に、役者はカメラに正対するような位置にいることが多い。勿論、視線はカメラの少し横を見ている。
 『下からのアングルで人の表情を撮ると、その人の内面がよくでてくる。』
 昔、小津が何かにそう書いていたような気がする。

 場面転換時に風景を挿入するというのは気が付かなかった。家にはBS放送を録画した小津の映画が2本DVDに落としたままで、まだ観てない。「東京物語(1953)」と「お茶漬の味(1952)」。「東京物語」は数十年前に観ているが、細かいシーンは覚えていない。さて、洗濯物は出てくるか、今度は注意しながら観ることにしよう。

 市井の人々の日常を描く小津映画は、ヨーロッパでは黒澤と同じくらい人気があると聞いている。しかしながら、レンタルショップでは、黒澤のDVDはたくさんあるのに小津作品はあまり見かけない。劇場型政治が人気のこういうご時世には、まだしばらくDVD化は無理かなあ・・・。
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
健やかに、忘れる・・・ (viva jiji)
2008-03-07 07:18:33
ことが、年々盛んになるので、
先に十瑠さんのおウチにおじゃましました。

え~~と2年前ほどの記事ざますね。
小津DVDは、最近、ずいぶんと出てますね~。
根強いファンがいらっしゃるんですもの~。

私は、物心つきましてからっちゅうもの
“洋物ばっか”にカブレまくり、
いまだに全身カブレたまんま、
今に、至れり、つくせりの日々・・・(--)^^

>来生たかお

昔の彼氏が、彼をたいそう好きでおましたなぁ~。
その時分は“いいわね~ロマンティックで~”
っと調子合わせていましたが、
陰でしっかりロック聞いていた私なのでした

来生たかおと小津の奇遇な接点に
着目した十瑠さんのセンスに脱帽!
返信する
おはようございます♪ (十瑠)
2008-03-07 09:08:24
わざわざ、お越しいただいて、申し訳ないっす。^^

小津の映画、未だに放置プレイです。

来生さんも、ブームと共に個人的なBGMの枠からも外れてしまいましたが、かつて聞いていた、その思い出だけはいつまでも残り続けるソングライターですね。

>陰でしっかりロック聞いていた私

その頃のロックって、何だろう?
ロックっていうと、いまだにツェッペリンを思い出す私です
返信する

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