風を紡いで

旅の記録と料理、暮らしの中で感じた事などを綴っています。自然の恵みに感謝しながら…。

フランスパン片手に…

2005年06月29日 | 食(食材 料理の効能etc)
青山ドンクのフランスパン片手に
北に向かう急行列車に飛び乗る
森林の美しい風景を求め
たった一人 旅をする

気ままな 一人旅
飛び込んできた山や川や空
畑の向うには紺青の海が広がり
昼餉のパンはことのほか味わい深い

群集の中の孤独に疲弊したこころが「泣き出しそう…」
都会の雑踏にまぎれて「消え入りそうだよ…」

自然の中に吹き渡る風の爽やかさ
消えかかったピュアな こころが
少しずつ すこしずつ
自然の光の中で輝きだす…


大好きなフランスパンを見ていたら 遠く過ぎ去った昔がよみがえりました。ドンクや神戸屋のフランスパンをいつも食べていたっけ…。



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きずなのつよさ

2005年06月28日 | 暮らし
たいせつな たいせつな ひとがいる
それだけで いきるちからがわくのは なぜでしょう
いつでもわたしは まもられている
なにがあっても かわらない
とおくはなれた いま
やんわりやんわり あふれるように きづきました

だいすきな だいすきな ひとがいる
それだけで なみだがでるのは なぜでしょう
いつでもわたしを あいしてくれる
なにがあっても かわらない
とおくはなれた いま
じんわりじんわり しみるように きづきました

とおくはなれた いま やっと
みえない きずなのつよさに きづきました

   ―パン職人めざし修業中の末娘記―
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純粋

2005年06月27日 | 暮らし
帰りの電車の窓から、黄金に佇む満月が見えました。夜の街の建ち並んだビルのあいだに浮かぶ月は、音も無く、ただ、無心に輝いているようでした。

わたしは、まばたきを惜しむくらいじっと見つめました。神秘的で美しい月…。見つめながら、心がすぅっと静まっていきました。すごくすごくだいじなことを思い出すような感じでした。

どこまでもひろいひろい海や、深い深い青い空。光に透いた緑…やわらかな匂いを運ぶ風。闇にぽっかり浮かぶ月。そういうものを目の前にしたとき、わたしは、すごくだいじなことを思い出すような、なんとも言えないせつなさに駆られてしまいます。なにか、今までだいじなことを見落としていた気がして、はっとするんです。

じっと見つめて、心がなにかをつかもう、つかもうとする。どうしてだか、涙がしずかに滲むんです…。

時間や日常を超えた場所に、心がすぅっと昇るよう。
純粋なものに出会ったとき、そうしてわたしの心も澄んでゆく。

   ―6月20日 パン職人めざし修業中の末娘記―
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ナツツバキが咲きました!

2005年06月25日 | 自然(花 虫 樹etc)
最近、あちこちでナツツバキの花を見かけるようになりました。きのうの暑さで、我が家のナツツバキもやっと開花しました。花、葉ともに優しさが漂い、趣を感じます。ヤマボウシが筋っぽくて男性的なら、ナツツバキは柔らかさがあり女性的、そう思うのは私だけでしょうか…。
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オコギの味

2005年06月25日 | 自然(花 虫 樹etc)
朝、裏庭でオコギの新芽を摘んできました。沸騰したお湯に塩をひとつまみ入れてさっと茹で、冷水でさっと洗ってから軽く絞り、みじん切りに。細かくなったら、おかかを入れて醤油をかけ、混ぜ合わせて出来あがり!それを炊きたての熱々ご飯にのせていただきます。

夫の実家に行った時、義母がよく作ってくれました。少し苦味があるのですが、それがまたいいのです。「オコギの香りだぁ~」と味わいながら食べます。ほかの料理がなくてもこれだけでおかわりするほどの美味しさなのです。「この味、この味だよ…」―娘たちもそう言いながら、大好きなオコギを食べています。
彼女たちにも伝授(料理というほどのものではないけれど…)しようと思っています。

オコギはウコギが本来の名前だそうです。昔は垣根に植えている家が多く、食料不足を補っていたと聞きました。山に自生します。私も山道を車で通っていた時、偶然にもオコギを見かけたことがあります。車から降りて確認し、「ほんとに山にあるんだ!」とへんに納得し、なんだかうれしくなったものです。

義母の家に遊びにいくたび、食卓にのぼりあまりに美味しかったので、株分けしてもらってきたオコギ。今、我が家の裏庭で元気に育っています。オコギを摘みながら、料理上手だった亡き義母を思い出しています…。
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おまけのカランコエ

2005年06月25日 | 自然(花 虫 樹etc)
数年前、園芸店で季節の花や用土を購入した時におまけでもらったもの。四弁の小さい花は鐘の形をしていてとても愛らしい。知人にいただいた手づくりの蔓籠に入れて楽しんでいます。

ベンケイソウ科セイロンベンケイ属植物。熱帯アジアの原産。多肉で小形の多年草。鐘形4弁の赤・橙・黄などの小花を群がってつける―(広辞苑から)
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(15)スノーズヒルの雪景色

2005年06月25日 | 2005年コッツウォルズ母娘旅
コッツウォルズ初日の宿は「ニュー・ファーム」。
素朴な焼きたてパンの美味しさとオーナーの親切は生涯忘れることはないだろう。
駅まで送ってくださるという、言葉に甘えて車に乗せてもらった。ものすごいスピードで走るので、あっという間に駅に到着してしまった。


まずはモートン・イン・マーシュのインフォメーションセンターへ。
コッツウォルズの観光パンフレットや地図、絵葉書など無料のものから有料のものまで並んでいる。今日は夕方までに、スノーズヒルのB&Bに行けばいいので、それまでこの街を周遊しようと思ったが、荷物を預けないことには身動きできない。そこで、インフォメーションセンターの女性に荷物を預かってもらえる所を尋ねたが、やはり無いと言われた。個人旅行の難点だが、仕方がないとあきらめた。

今夜の宿のB&Bまでは、タクシで行くことにした。センターの彼女にタクシーを呼んでもらい、娘と2人で乗り込んだ。運転手は陽気な人で、おしゃべりをしながら車を走らせる。「ここのところ急に寒くなって、雪が降り出した」「カッスルクームは羊が多く、この辺は暖かくなるとラベンダーがたくさん咲いてきれいだ」などといろいろ教えてくれた。

しばらく車を走らせ、スノーズヒルの村に着いたが、彼はB&Bの場所が分からないらしく、インフォメーションに電話をして再確認する。雪が静かに降りしきる中、水分を含んだ路面を走る車輪の音だけが響く。絵本の世界に迷い込んだような小さな村=写真=が姿を現した…。その村の中心を通り抜け、雪に覆われた丘陵に目的の宿「シープスコーム」があった。街が見晴らせる素晴らしいロケーションに心が踊った。  (つづく…)
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(14) イギリス・B&Bの朝食

2005年06月24日 | 2005年コッツウォルズ母娘旅
朝食は8時半からと言われていた。
5分前に階下の食堂に降りて行ったが、誰もいない。
キッチンの方で物音がしたので、声をかけみた。

「おはようございます!」
すると、夕べの女性が顔を出した。
「おはようございます!よく眠れましたか?」
「ええ、ぐっすり!」

食堂に通された。すぐ右手に細長いテーブルがあった。何種類ものシリアルやジュース、受け皿などが置いてある。その奥に丸いテ-ブルが2つあり、ティーカップがセットされていた。奥の方のテーブルに落ち着く。シリアルを皿に入れ、牛乳を注いで食べ始めた。

すると、皿にのった料理が出てきた。大きなソーセージ、幅の広いベーコン2枚、スクランブルエッグ、焼きトマト、炒めキノコ…。そして、たった今、オーブンから出したばかりのあつあつの田舎パン…。

バタールほどの焼きたてパンにナイフを入れると、ふわっと白い湯気がたち上がる…。手にかかり火傷しそうなほど熱い!一口ほおばる。その味わい深い美味しさに、うっとりしてしまう。外側はパリパリで、中がもっちり弾力があり…。全部食べきれない。テイクアウトしたいほどだったが…。


英国コッツウォルズの宿は、ホテルもいいけれど、B&Bがおすすめ。日本の民宿のようなもので、ベッドにブレック・ファーストが付くからB&Bというわけ。その朝食がボリューム満点で美味しいのだ。オーナーの心からのもてなしもまた、素晴らしいのだった。
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(13)農場のB&B

2005年06月24日 | 2005年コッツウォルズ母娘旅
イングランド中央部に位置する、美しい田舎コッツウォルズ。
2月のモートン・イン・マーシュ寒く、雪が降っていた。
駅から農場のB&Bまで、雪の降りしきる中を娘と2人で必死の思いで歩いた。暗闇の田舎道は人気がなく、時折、車がものすごい勢いで走り抜けていく。


永遠に続くかと思われた道だったが…。
ついに農場の看板を見つけ、安堵した。
一般道から左折して、農場へ続く細い道に入った。

「あの小さな灯かりが農場かなぁ…」
そう言う私に、
「きっとそうだよ」
娘が答えた。

しばらく歩いて行くと、
ふう~っと 農場の匂いが…辺りに漂った。

「ん?この匂いは?堆肥?馬糞?」
「でも悪くない匂いだよ」
娘は田舎の匂いが気に入ったようだ!?
「うっそ~?」びっくり顔の母親だった。

目の前に事務所らしい小さな小屋のような建物が…。
側にはイギリス(?)の青年が2人で何やら話をしている。
B&Bの場所を聞くと、そのうちの1人が案内してくれるというので、ついて行った。宿らしい建物に着くと、彼がブザーを押したが、応答がない。
娘と待っていると、電話をしてくれたようで、しばらくしてドアが開いた。

農場主の妻らしき中年の女性が、目をこすりながら出てきた。
8時近かったので、もう休んでいたのかもしれない(農場の朝は早い…)。  
歩いて来たので、遅くなってしまった、と詫びる私に

「タクシーで来たんじゃなかったの?」
驚いたように彼女が答えた。
そして、促すようにして2階の部屋へと案内してくれた。

「お腹すいてない?」
そう聞かれたが、空腹感は感じないので、
「大丈夫です」と答えた。
その返事に安心したのか、彼女は階下へと降りて行った。

「うわ~、天蓋付きベッドだよ!しかも、大きいよ!お母さん、見てよ~」
「ほんとだぁ~。調度品も古そうで立派だねぇ~」
あれこれチェックを楽しんでいると、誰かがドアを叩く…
「ん?」
開けてみると、先ほどの女性だった。

「何か問題はない?大丈夫?」
夜道を歩いて来たことによほど驚いたのか、心配してまた聞いてきたのだ。朝食の時間を尋ねると「8時半よ。明日の朝、またお会いましょう!」とにっこり。
「いろいろありがとうございます。では明日の朝…」

イギリスの朝食はボリュームがあり、美味しいと評判だから、明日の朝がおおいに楽しみ!農場だから、牛乳も卵も美味しいんだろうな~。


コッツゥオルズの初日はトラブル続きだったが…。
大きな天蓋付きダブルベッドにシングルベッドが付いた部屋。嫌味のない落ち着いたピンク色を基調にしたクラシカルな雰囲気が素敵だった。女性には人気がありそうなインテリアだ。今夜はゆっくり眠れそう。 (つづく…)

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ウオーキングで出会った風景

2005年06月23日 | 2005年コッツウォルズ母娘旅
イングランド中央部のコッツウォルズ。はちみつ色の壁の古い家々が美しい佇まいを残しています。カッスルクームから、チッペナムまでのウオーキング中に出会った風景です。まるで絵画のような景色が突然(そんな感じでした)目の前に現われて…思わずシャッターを切っていました。街道沿いにあったのですが…心に残る家でした。
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イタリアンパセリ

2005年06月22日 | 自然(花 虫 樹etc)
イタリアンパセリの花が満開です。
チキン料理やサラダ、ドレッシングなどに
よく使っていたのだけれど…。
ここのところ、使わなくなったなぁ~
そう思い、見てみたら…
小さな愛らしい花をたくさんつけていました。
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我が家が大好き

2005年06月21日 | 暮らし
6月18日

やっとあしたまた家に帰れます。今日の夜は、たまった洗濯をして、流しもきれいにして、植物にもたっぷり水をやって準備完了。でももう寝なくきゃ…11時過ぎた。

今週はパワー切れもなく、わりと早く感じました。体もだいぶ慣れたものです。前は起きたばかりの朝、全身が痛かったけど、最近は平気です。でも、心は家に向かっています…いつも。どうしてこんなにも家に帰りたくてしかたないのか自分でもふしぎ。

失敗したり、社長に怒られたり、つらいときもあるけど、仕事は充実していていい感じ。なのに、家に帰りたいんだよなぁ。これだけはどうしようもない。でも、そのうち徐々に薄れていくのかもしれません。家が大好きなのには変わりがないけれど、ね。

それまでは毎週帰ったっていいさ。
早くおかあさん…おねえちゃんに会いたいな。
それにあしたは父の日だ。おとうさん…。
やっぱり、まだ、おとうさんのことは自分のなかで納得がいかない。
認められないんじゃなくて、納得がいかない。
なにか靄がかかっている感じ。やみくもにもがいてもなにもつかめない。
いつか、さあっとはっきり晴れるときがくるのだろう。
そのとき、きっと、おとうさんと会える気がする。
ケーキは買わない。そういうかたちがあるものでもなく、想いを贈ろう。
おとうさんへの感謝のきもち。
おとうさんに直接伝えられなかった、深い深い感謝のきもち。
いまになってあふれる。
わたしのこのきもちは、どこに向けたらいいのでしょう?


1泊2日で帰省した末の娘が帰る時、プリントアウトされた感光紙をそっと渡してくれた4枚のうちに1枚です。
「最近、日記書き始めたんだ。ワープロでね」
「読んでいいの?」
「うん。いいよ」
学生のころも日記をつけたり、詩や物語を書いたりしていたのですが、なかなか見せてくれなかったのに…。13日から書き始めたらしい。勤め始めて3カ月がたつが、ここのところホームシックにかかったらしく、その抑えようのない気持ちを書く事で、静めたり、整理していたのでしょう…。彼女の了解をもらい、ブログで紹介しました。
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末娘と房スグリ

2005年06月20日 | 自然(花 虫 樹etc)
末娘が休みを利用して、一泊二日の帰省を楽しんでいました。
「つかの間の休憩だよ…」
そういいながら、庭でブランチをしたり、もぎたてのビワの実を食べたり、房スグリを摘んだり…。今、我が家の裏庭は緑に溢れています。アジサイが少し色づき始め、クチナシやナツツバキの蕾も膨らんできました。雀やアゲハチョウも遊びに来ています。

午後から、彼女が房スグリのジャムづくりを始めると…。ダイニングキッチンは甘い匂いに包まれました。「いい匂いだねぇ~」
「良い出来だよ!よく熟していたから」
「ルビーみたいにきれいだったぁ!」
「ほんと!透き通っていたよね」
量が少なかったので、房スグリのジャムはすぐ出来あがり、自分用と家族用の二つの小さな瓶に詰めた。
「ちょっと味みる?」
「甘酸っぱくて、美味しいね!」
「美味しいよね…」
「ねぇ、このブログに何か書かない?」
「お母さんのブログだもん。いいよ」
「いいじゃん。“娘登場”とかなんとかいってさ~」
            
そうこうしていると、長女からメール。
「何時に戻るの?」
「もうそろそろかな。その前にどこかにでかけよう!」
「了解!」
長女が3時過ぎに帰宅。3人揃って、緑の中にあるカフェまで出かけることに…。軽く食事をしながらおしゃべりを楽しんだ。          




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ブラックベリーの花?

2005年06月19日 | 自然(花 虫 樹etc)
やっと咲いた!紫味を帯びたピンクの花…。ベリー系だと思ったが、どうしても名前が思い出せない。3年ほど前、下の娘が園芸店で購入してきたものなので、彼女なら分かるだろう…。昼の休憩時間を待って、電話して聞いたら、「ブラックベリーだよ。初めて花さいたね!」と教えてくれた。今日は日曜日なので忙しいらしい。

ブーランジェール(女性のパン職人)目指して修行中なのだが、菓子パンに使う房スグリ(冷凍)の味から、我が家の房スグリを思い出すと言っていた。ホームシックらしいが、“ここはふんばりどころ。頑張って乗り越えて!”と心の中で叫んでしまう~。
「房スグリが熟して、ジャムづくりにちょうどいい具合だよ!今度一緒に作ろう!」
「うん。少ししか出来ないだろうけどね…」
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(12)赤毛のアン…の細い道

2005年06月19日 | 2005年コッツウォルズ母娘旅
「歩道がないじゃないよぉ~」
車道のすぐ脇は芝生になっている。
おまけに段差まであるのだ。
それに道幅も狭く、センターラインのない片側一車線なのだ。

「これじゃ、ボストンバッグ押せないよ。人が歩く道じゃない!」
「でも、今夜泊まるB&Bまで、なんとしても辿り着かなきゃぁ~」

ゴォーという爆音に脅かされながら、娘と2人でひたすら歩き続ける。
真っ暗闇の中、遠くから聞こえてくる車の音に耳をそばたてながら…。
車の気配を察知しては、車道から芝生に移り、
走り過ぎたのを確認しては車道に降りる。
ぼんやりしてると、交通事故の犠牲者になりかねないじゃないのぉ~。

そんな悪条件の中、大きなバッグをガラガラ押していく娘。
彼女の身も心も疲れ果てていたに違いない。
この時は気付かなかったが、初めての海外旅行で緊張感もあったことと思う。
(あとで大変なことに…)。


ここは、イギリス中央部にあるコッツウォルズ
モートン・イン・マーシュの2月はすこぶる寒い。
真っ暗闇の中をただただ歩いていくと…。

しばらくして、左側に広がりのある白い空間が見えてきた。
遠くかすかに、ぼんやりとした灯かりのようなものも感じられる。

「あの辺がニュー・ファームだろうか?」
「うん。そうかもしれないね!お母さん」

次第に農場らしき景色になってきた。
通り過ぎる車で照らされ、標識らしきものが見えた。

「違うよぉ…」と娘のがっかりした声が闇に吸い込まれていく。
「まだなの?歩いて15分くらいって言わなかった?」
「そのはずだけど…」

しょんぼり肩を落としながら、暗い夜道を歩く。
雪はますます降りしきり、冷たさがさらに心を不安にさせる
しかし、娘にはさとられたくないので、“から元気”を出すのだった。
いくつかのB&Bを通り過ぎた頃、オールド・ファームという看板が見えた。

「オールド・ファームだって!ここ?」
「違うよ!オールド・ファームのすぐ側がニュー・ファーム。もうすぐだよ!」
娘の言葉に元気づけられ、最後の力を絞り出すようにしてひたすら歩く


「あった!ニュー・ファームだ!」
「やっと着いたねぇ~。やれやれだねぇ…」

しかし、しかしなのだ。
看板にはニュー・ファームと書かれているが、ここは農場!
しかも農業国イギリスであるから、アプローチが長い…。
看板のところを左に折れると細い道が続いている。
その奥の方に、ぼんやりと小さい灯かりが見えた。
暗闇の中で“いかに灯かりが人の心を和ませるか”実感するのだった。 
 
「あれだね!きっと」
「やっと、着いた~」
「お母さん、見て!」
赤毛のアンに出てくるグリーンゲーブルズへ続く道に似てるよ!
 (つづく…)


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