ジャン=ピエール・ルネ監督、オドレイ・トトゥ主演作品。
情緒豊かなパリ、モンマルトルを舞台にヤン・ティルセンの、
軽快でレトロなメロディをBGMに繰り広げられる素敵なストーリィは
どこか懐かしく、なんとも不思議な郷愁に駆られ、
いつまでも心に幸せな余韻が残る大好きな作品です。
ちょっと変った両親の元で育ったアメリは、
空想の世界が逃げ道の、不思議な力を持ってる女の子。
動物の言葉が聴こえるし、気持ちが分かるのですね。
金魚の自殺未遂事件はちょっと衝撃だったかも
幼い頃のアメリが、お隣の意地悪なオジサンにした仕返しは
まさに爆笑ものデス
大人になって、モンマルトルのカフェ”ドゥ・ムーラン”で働きながら
古いアパートで一人暮らしを始めるアメリ。
このアパートで偶然発見した宝箱が、一人の中年男性の人生を
希望に満ちたものに変えてしまいます。
そしてこのことをきっかけに、
アメリは自分の人生の目的を見出すのですね。
ここの、中年男性が無人の公衆電話が鳴るのを無視出来ず、
受話器を取ってフト懐かしい箱を見つけるシーンは・・・泣けますね。。
周りの人々を幸せな気持ちにさせてあげたい一心で、
アメリがするちょっとした悪意の無い悪戯は最高です
野菜を宝石のように大切に扱う食料品店で働くリュシアン、
浮気した夫が交通事故死して以来、辛い日々を酒で紛らす女管理人等が
アメリの悪戯によって生きる希望を見出していく様は、
時には痛快極まりなく・・・時にはホロッともらい泣き。。
でもなんてったって傑作なのは「白雪姫」の中に登場する
あの小人の像を利用した絵葉書です
そんな日々を過ごすうち、アメリは不思議な青年ニノと出会います。
初めて恋を知ったアメリですが、空想の世界に生きてきた彼女にとって
現実と向き合うことはとっても勇気のいることでして・・・。
一生をルノワールの贋作作成に捧げるガラス男デュファイエル老人は
そんなアメリの心に最も敏感。
水を飲む少女の絵を使って、微妙な心理を描き出す演出は
とても素晴らしいです
こういう心理って・・・乙女な女性であれば誰もが経験してるハズ
全体的に赤と緑を基調とした鮮やかな映像で
CG等を駆使した近代的な作品にも拘らず
ふんわりメルヘンチックでちょっぴりレトロな雰囲気なのは、
やはり音楽の力が大きいと思います。
でも一番はヒロインのキャラですネ
それにしてもなんて素敵な作品なのでしょう
登場人物一人一人の、悲しい過去の回想シーンやさり気ない癖等
いかにも個性豊かな面々ではありますが、おそらくどこにでもいる・・・
あるいは過去に似たような経験を抱えてる・・・
そんな彼らがアメリの小さな魔法で、
忘れかけていた夢や希望を見出していくのです。
そして、その小さな秘密を知っているのはデュファイエル老人ただ一人。。
デュファイエル老人がアメリにくれたとっても素敵なプレゼントが
アメリ自身を大きな幸せに導いていく感動のシーンは
おそらくこの映画を観ている誰もが心から願ってたことですよネ