これまでのあらすじ
レニたち一行はクレヴァーたちの職員旅行で宿泊する予定の旅館の下見に連れて行ってもらえることとなった。
しかし、旅館は荒れ放題、現れた女将らしき人もまったく話を聞こうとしない。
部屋に案内されたものの、不信な場所が多々あり、まずクレヴァーとジーニアの二人が女将に話を聞きに部屋の外へと出て行ったが、二人はいくら待っても帰ってこなかった。
「・・・帰って・・・こない。」
アレスタがつぶやいた。
二人が出て行ってもう1時間が経とうとしている。
「どうしたんでしょうか・・・?」
エネリアも不安そうな表情を作っている。
僕は大きくため息をついた。
言いようのない不安がのしかかってくる。
みんながうつむき、チャップなんか涙ぐんでいた。
「おい、オメーら!」
すると不意に部屋の中に大声が響いた。
顔を上げると部屋の中心にフェイクの姿が。
「ったく、めそめそしてんじゃねーよ。」
そういえばこの部屋にはさっきまでフェイクの姿がなかった。
コイツは今まで一体どこにいたんだろう?
「よく聞け、お前ら。」
そしてフェイクはいつになく真剣な顔で話し始めた。
部屋にいる全員がフェイクの顔を見つめる。
「俺たちはここに・・・閉じ込められた。」
「・・・閉じ込められたぁ?!それってどういうことさ?!」
少し間を開け、フェイクの行った言葉をよく考えてみた上で僕はフェイクに食って掛かった。
「おいおい、俺に言われたって知らねぇよ!ただどういうわけか、宿の外に出られねぇんだ。外に出たと思ったら建物中に強制的に瞬間移動させられてる。きっとワープ装置かなんかを使ってるんだろうな。」
フェイクは僕を突き飛ばすと腕を組んでそう言った。
「じゃぁ、僕らはどうなるの・・・?」
チャップはすでに泣き出す寸前、震える声でフェイクに言った。
「知らねぇって。とにかく、ワープさせる機械かなんかをぶっ壊すほかねーわな。それと同時におっちゃんと兄貴の捜索もしなくちゃなんねぇ。」
フェイクはそう言うと僕らを見渡した。
「メイとエネリア、アレスタはともかく、おめぇら二人はどうしたもんか。」
そしてめんどくさそうな目で僕とチャップを見る。
「実はな、いまこの建物内にはどういうわけか、魔導人だらけだ。この部屋はどうやら安全地帯みたいだが、外に出て魔導人に見つかればどうなるか予測できねー。ここは慎重に行動しねーと。」
ここでフェイクは言葉を切りしばらく僕らの間に沈黙が下りた。
全員口をつぐんだままだ。
が、しばらくして再びフェイクが口を開いた。
「よし、まずは俺が先に建物内をもう一度捜索してくることにしよう。そんで10分経っても戻ってこねぇようなら、お前らが動くしかねぇ。」
フェイクはそう言うが早いか、僕らの話も聞かずに天井の隙間へと入って行ってしまった。
メイが立ち上がり、止めようと声を上げたが、もうその声は届かなかったようだ。
僕らは再び、何も言わず待つことになった。
:
「10分・・・経ちました。」
不意にエネリアがそう言ったので僕は顔を上げた。
どうやらエネリアはさっきフェイクが出て行ってから今まで時間を計り続けていたらしい。
「つまり・・・?」
「私たちが動かなければならないということです。」
僕が言うとエネリアは意を決したように立ち上がった。
「え、本当に僕らが行かないといけない?」
僕はできるだけこの場を動きたくなかった。
もしかしたらフェイクやおっちゃんたちが帰ってくるかもしれない。
そして何より危険な場に行くのがいやだった。
「皆さんが行かないというのなら私だけでも行きます。」
エネリアはそう言うと、部屋の出口のふすまへと向かっていく。
「待って!・・・私は、行く。」
するとそれまで黙っていたメイが声を上げた。
「それなら俺も行くよ!」
「じゃ、じゃぁ、僕も!」
するとアレスタや、さっきまでめそめそしていたチャップまでもそう言い立ち上がった。
「レニはどうするの?ここで、待つ?」
みんなふすまへ向かって行く中メイが僕の方を振り返る。
「も、もちろん、行くよ!」
危険な場に突っ込んでいくよりも、知らぬ場所に一人の方が僕はいやだった。
レニたち一行はクレヴァーたちの職員旅行で宿泊する予定の旅館の下見に連れて行ってもらえることとなった。
しかし、旅館は荒れ放題、現れた女将らしき人もまったく話を聞こうとしない。
部屋に案内されたものの、不信な場所が多々あり、まずクレヴァーとジーニアの二人が女将に話を聞きに部屋の外へと出て行ったが、二人はいくら待っても帰ってこなかった。
「・・・帰って・・・こない。」
アレスタがつぶやいた。
二人が出て行ってもう1時間が経とうとしている。
「どうしたんでしょうか・・・?」
エネリアも不安そうな表情を作っている。
僕は大きくため息をついた。
言いようのない不安がのしかかってくる。
みんながうつむき、チャップなんか涙ぐんでいた。
「おい、オメーら!」
すると不意に部屋の中に大声が響いた。
顔を上げると部屋の中心にフェイクの姿が。
「ったく、めそめそしてんじゃねーよ。」
そういえばこの部屋にはさっきまでフェイクの姿がなかった。
コイツは今まで一体どこにいたんだろう?
「よく聞け、お前ら。」
そしてフェイクはいつになく真剣な顔で話し始めた。
部屋にいる全員がフェイクの顔を見つめる。
「俺たちはここに・・・閉じ込められた。」
「・・・閉じ込められたぁ?!それってどういうことさ?!」
少し間を開け、フェイクの行った言葉をよく考えてみた上で僕はフェイクに食って掛かった。
「おいおい、俺に言われたって知らねぇよ!ただどういうわけか、宿の外に出られねぇんだ。外に出たと思ったら建物中に強制的に瞬間移動させられてる。きっとワープ装置かなんかを使ってるんだろうな。」
フェイクは僕を突き飛ばすと腕を組んでそう言った。
「じゃぁ、僕らはどうなるの・・・?」
チャップはすでに泣き出す寸前、震える声でフェイクに言った。
「知らねぇって。とにかく、ワープさせる機械かなんかをぶっ壊すほかねーわな。それと同時におっちゃんと兄貴の捜索もしなくちゃなんねぇ。」
フェイクはそう言うと僕らを見渡した。
「メイとエネリア、アレスタはともかく、おめぇら二人はどうしたもんか。」
そしてめんどくさそうな目で僕とチャップを見る。
「実はな、いまこの建物内にはどういうわけか、魔導人だらけだ。この部屋はどうやら安全地帯みたいだが、外に出て魔導人に見つかればどうなるか予測できねー。ここは慎重に行動しねーと。」
ここでフェイクは言葉を切りしばらく僕らの間に沈黙が下りた。
全員口をつぐんだままだ。
が、しばらくして再びフェイクが口を開いた。
「よし、まずは俺が先に建物内をもう一度捜索してくることにしよう。そんで10分経っても戻ってこねぇようなら、お前らが動くしかねぇ。」
フェイクはそう言うが早いか、僕らの話も聞かずに天井の隙間へと入って行ってしまった。
メイが立ち上がり、止めようと声を上げたが、もうその声は届かなかったようだ。
僕らは再び、何も言わず待つことになった。
:
「10分・・・経ちました。」
不意にエネリアがそう言ったので僕は顔を上げた。
どうやらエネリアはさっきフェイクが出て行ってから今まで時間を計り続けていたらしい。
「つまり・・・?」
「私たちが動かなければならないということです。」
僕が言うとエネリアは意を決したように立ち上がった。
「え、本当に僕らが行かないといけない?」
僕はできるだけこの場を動きたくなかった。
もしかしたらフェイクやおっちゃんたちが帰ってくるかもしれない。
そして何より危険な場に行くのがいやだった。
「皆さんが行かないというのなら私だけでも行きます。」
エネリアはそう言うと、部屋の出口のふすまへと向かっていく。
「待って!・・・私は、行く。」
するとそれまで黙っていたメイが声を上げた。
「それなら俺も行くよ!」
「じゃ、じゃぁ、僕も!」
するとアレスタや、さっきまでめそめそしていたチャップまでもそう言い立ち上がった。
「レニはどうするの?ここで、待つ?」
みんなふすまへ向かって行く中メイが僕の方を振り返る。
「も、もちろん、行くよ!」
危険な場に突っ込んでいくよりも、知らぬ場所に一人の方が僕はいやだった。
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