時は遡り、7月の中旬。
緑学校は夏休みに入ろうかとしているときだった。
「おっしゃ、ボス倒したっ!!勇者レニレベル40打倒魔王!」
ただいま人気ゲーム機“GF”に夢中になっているのは、緑高校1年生、レニアス・クレバット君だ。
みんなからはレニという愛称で呼ばれており、校内での認知度は意外と高い。
というのも、彼は商店街の一角にあるこの小さなビルで「便利屋サイコ」という多少胡散臭い店を経営しているからである。
これでも彼は、この店の自称社長(正しく言うと社長ではなく店長である)。
元はホームレスチルドレン、家無き子だったのだが、緑学校の理科教師、クレヴァー・アルステッドというおっさんに助けられ、この古ビルを住処として提供されたのだ。
そのクレヴァーの紹介は後々するとしよう。
「レェーニィー!!」
そしてレニがいすに座りなおしたときだった。
不意に店の玄関から、彼の名を呼ぶ声が。
どたどたという走る音がし、レニがうるさそうに目を向けた先に、なんともいえないような生き物が立っていた。
それは服を着て二足歩行をしている小学生サイズの猫といった見た目である。
頭に生えているであろう耳を隠すかのように被った、ふわふわのニット帽が特徴的だ。
ただ、今の季節それは大変に暑苦しいのだが。
「レニー!!」
そして猫的な彼はゲームへと視線を戻したレニの傍により、レニが陣取っている事務用デスク(拾い物)を思い切りたたいた。
べごんという音がし、たたいたところが思い切り凹む。
何たる怪力であろうか。
「うわっ!いきなり何すんだよチャップ!」
そう、その猫的な彼の名前はチャップという。
レニのパートナーであり、この店の従業員1号だ。
「ぎゃー!シーフ、アレスタレベル38が死んだじゃないか!!」
そして机の事を怒るかと思いきや、レニは机をまったく無視である。
ゲームに視線を戻した彼は、ひとりでぎゃーぎゃー言いながらボタンを連打。
チャップはと言うとレニの態度なんてお構いなしにしゃべる。
ちなみに彼も机に関してはまったく無視である。
机を作った人のことも考えてあげてほしいもんである。
「もー!レニ!普通仕事の報酬はお金でしょ?!マネーだよ!マニー!何で今度の報酬はゲームなの?!こないだは大量の古本だったし、いつだったかは置く場所がないくらいでかいソファーだったじゃないか!!」
「んだよ!ソファーはいい値で売れたじゃんか!いちいち過去のことを穿り返すんじゃない!」
この店に入ってくる仕事といえばたいてい胡散臭いもので、報酬もお金とは限らない。
店自体胡散臭いので、胡散臭い仕事しか入ってこないことについては若干致し方ないのだが。
しかし、お金が入ってこないとなると、彼らの生活は厳しい。
報酬が微妙なせいで彼らはかなりの貧乏であった。
「まったく!僕が暑い中必死にビラ配りしてきたっていうのに!!」
「んな帽子被ってるから暑いんでしょーが、脱げ脱げ。」
レニはゲームに目線を固定したまま、チャップのほうを見向きもしない。
しかし少し間を空けて言ったこの言葉だけは二人ともばっちりとシンクロした。
「あ~あ、なんかいい儲け話ないかなー!!」
やはり考えていることは同じである。
たいてい二人はいつも口癖のようにそう言っていた。
ただ、言ったところでどうにもならない。
しかしその日だけは違った。
緑学校は夏休みに入ろうかとしているときだった。
「おっしゃ、ボス倒したっ!!勇者レニレベル40打倒魔王!」
ただいま人気ゲーム機“GF”に夢中になっているのは、緑高校1年生、レニアス・クレバット君だ。
みんなからはレニという愛称で呼ばれており、校内での認知度は意外と高い。
というのも、彼は商店街の一角にあるこの小さなビルで「便利屋サイコ」という多少胡散臭い店を経営しているからである。
これでも彼は、この店の自称社長(正しく言うと社長ではなく店長である)。
元はホームレスチルドレン、家無き子だったのだが、緑学校の理科教師、クレヴァー・アルステッドというおっさんに助けられ、この古ビルを住処として提供されたのだ。
そのクレヴァーの紹介は後々するとしよう。
「レェーニィー!!」
そしてレニがいすに座りなおしたときだった。
不意に店の玄関から、彼の名を呼ぶ声が。
どたどたという走る音がし、レニがうるさそうに目を向けた先に、なんともいえないような生き物が立っていた。
それは服を着て二足歩行をしている小学生サイズの猫といった見た目である。
頭に生えているであろう耳を隠すかのように被った、ふわふわのニット帽が特徴的だ。
ただ、今の季節それは大変に暑苦しいのだが。
「レニー!!」
そして猫的な彼はゲームへと視線を戻したレニの傍により、レニが陣取っている事務用デスク(拾い物)を思い切りたたいた。
べごんという音がし、たたいたところが思い切り凹む。
何たる怪力であろうか。
「うわっ!いきなり何すんだよチャップ!」
そう、その猫的な彼の名前はチャップという。
レニのパートナーであり、この店の従業員1号だ。
「ぎゃー!シーフ、アレスタレベル38が死んだじゃないか!!」
そして机の事を怒るかと思いきや、レニは机をまったく無視である。
ゲームに視線を戻した彼は、ひとりでぎゃーぎゃー言いながらボタンを連打。
チャップはと言うとレニの態度なんてお構いなしにしゃべる。
ちなみに彼も机に関してはまったく無視である。
机を作った人のことも考えてあげてほしいもんである。
「もー!レニ!普通仕事の報酬はお金でしょ?!マネーだよ!マニー!何で今度の報酬はゲームなの?!こないだは大量の古本だったし、いつだったかは置く場所がないくらいでかいソファーだったじゃないか!!」
「んだよ!ソファーはいい値で売れたじゃんか!いちいち過去のことを穿り返すんじゃない!」
この店に入ってくる仕事といえばたいてい胡散臭いもので、報酬もお金とは限らない。
店自体胡散臭いので、胡散臭い仕事しか入ってこないことについては若干致し方ないのだが。
しかし、お金が入ってこないとなると、彼らの生活は厳しい。
報酬が微妙なせいで彼らはかなりの貧乏であった。
「まったく!僕が暑い中必死にビラ配りしてきたっていうのに!!」
「んな帽子被ってるから暑いんでしょーが、脱げ脱げ。」
レニはゲームに目線を固定したまま、チャップのほうを見向きもしない。
しかし少し間を空けて言ったこの言葉だけは二人ともばっちりとシンクロした。
「あ~あ、なんかいい儲け話ないかなー!!」
やはり考えていることは同じである。
たいてい二人はいつも口癖のようにそう言っていた。
ただ、言ったところでどうにもならない。
しかしその日だけは違った。
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