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No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

こんな温泉旅館もある

2020-12-14 | 温泉・宿







新型コロナの第三波が猛威を振るっている。GOTOトラベル継続にも批判が集中している。この状況下ではあるが、僕は山形県最上町の「赤倉温泉」に独りで泊まってきた。色々な意見があることは承知である。僕の行為が正しいと声高に主張する気もない。ただ地方の小さな温泉の現状を少しだけ書いてみようと思う。思いつくままに書く。

今回泊まったのは、山形県最上町の赤倉温泉の某旅館である。旅館といっても、建物は二階建てであり、総部屋数は10部屋である。この日の宿泊者は、僕を含めて3組6名だった。元々、団体客が泊まるような旅館ではないし、館内には自動販売機も存在しない素っ気なさである。保養温泉なのである。温泉に入って、素朴だけど美味しいものを食べて、ゆっくりと寛ぐ。そこだけに特化した温泉宿である。そういう規模の温泉旅館は、東北地方のあちこちにある。箱根とか熱海の温泉とは本質的に異なるのである。お風呂は決して大きくないけど、部屋ごとに貸切時間も設定されて、気兼ねなく入ることが出来る。食事は大広間で、間隔を開けて密を避けている。何より客層が少人数で来る温泉ファンであり、大騒ぎする輩もいない。そこに自家用車で出かけるわけだ。こう言うと叱られるかもしれないが、日常生活よりも「ソーシャルディスタンス」が確保されていて、安心なのである。

今いったような温泉旅館、そこで出てくる食事は、近所のお母さんが賄いとして作るご飯が多い。食材は地のものが多く使われ、地元の卸の店から配達される。それを近所のお母さんが調理して配膳するわけだ。もう食べきれないくらいの量を出してくれる。客がいない日は、お母さんたちの仕事も休みになる。温泉街のなかでも廃業する旅館が増えている。一度廃業した旅館が復活するケースは奇跡的な確率でしかない。出来る範囲で旅館に泊まり、少しだけでも力になりたいとの想いで、今回は一番高いプランを選んだ。それでも料金は1万円ちょっと。割引で7千円弱で泊まることができた。普段は持ち込むことの多い缶ビールも、温泉街の食料品ストアで購入した。ここ数日で初めてビール(発泡酒)が売れたと言っていた。「さっき写真撮っていましたよね?」と笑顔を見せる。コロナは心配だろうけど、客が来ることが嬉しいことが伝わってきた。もらった地域共通クーポンは近隣の農産物直売所で全て使い切った。クーポンがなければ買わないようなもの、ニンニクとか椎茸とか、ソーセージなんかを買った。歓楽街ではない、昔からの素朴な温泉街。ささやかな客が、ささやかな移動で楽しむ温泉文化。同じGOTOでも事情は様々だ。十波一絡げにせずに、何らかの対策があれば良いなと思う。

追伸:帰宅した翌日は、自治会の総会があった。こちらの方は「密」だった。温泉旅館の方が安全だった。


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温泉ワンダーランド喜至楼〜(終)とうとう最後の刻

2020-11-04 | 温泉・宿








沢山写真を撮ったつもりだったが、実はチェックイン直後、そして別部屋に食事に行った時にしか撮っていなかった。しかも食事中の写真は足りないか、失敗かのどちらかだ。食事内容もお見せしたかったけど、無理だった。これは、館内では写真を撮ることさえ忘れて寛いだことの証明でもある。過去の宿泊時には、食後に外に出て、夜の建物外観を撮影した。今回は、それさえもしなかった。写真撮りとしてはダメだけど、温泉ファンとしては正しい姿かもしれない。

ちなみに今回は大奮発した。「山形郷土料理コース+山形牛のすき焼き」で、一泊二食付き11,000円(税別)。10,000円オーバーは僕の温泉独り旅では滅多にないことだ。GOTO割引やら「じゃらん期間限定ポイント」やらで税込6000円代で泊まることができた(食事中のアルコール代は別途である)。しかも「地域共通クーポン2000円」も貰っている。ちなみに館内では「密」の状況は皆無で、広大な本館には宿泊者2名のみ、風呂はいつも一人。近所で買い物したりラーメンを食べたりする方が、よっぽど蜜だった。土曜日だけは混むらしいが、金曜日泊だったので、家にいるよりも安全なくらいだった。また来たいなあ。でも、次は花巻の鉛温泉か、宮城の東鳴子温泉だろう。さらば喜至楼。また来る日まで・・・。

X-PRO3 / XF14mm F2.8R , XF23mm FR WR
iPhone 8
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温泉ワンダーランド喜至楼〜③館内で過ごす時間

2020-11-03 | 温泉・宿









本館2階、101号室。これが僕の泊まった部屋だ。数え直したところ、今回が4回目の宿泊で、そのうち3回は同じ部屋(この部屋)に泊まったことになる。1階はお風呂なので、2階に101号室があるのが面白い。角部屋で温泉街を眺めたりするのも楽しい。ちなみに真冬の宿泊の際、寒冷前線の影響で無茶苦茶寒かった時があった。その際は、本館に泊まることは不可能と、別館に泊まったことが一度だけあった。

写真は沢山撮ったつもりだったが、思いっきり寛いだせいか、実際はそうでもなかった。痒いところの写真に手が届かず、もどかしい。次回、最終回です。

X-PRO3 (レンズ各種)
iPhone 8



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温泉ワンダーランド喜至楼〜②魅惑の玄関

2020-11-02 | 温泉・宿







喜至楼は本館と別館に分かれている。別館だって決して新しい建物ではないが、本館の方は文化財級の建物だ。当然、僕は本館に泊まる。建物自体が魅惑的で、料金も別館より安い。良いことづくめである。今回は広大な本館に泊まっているのは、僕を含めて2名だけ。もう一人の客とは、殆ど顔を合わせることもなかった。さて、本館での楽しみは、玄関の写真を撮ること。午後2時を過ぎると施錠され、宿泊者のみの空間になる。僕はここを独り占めして、写真を撮った。この玄関だけで、ご飯が3杯は食べられそうな美味しさなのである。

X-PRO3 / XF14mm F2.8R , XF23mm FR WR
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温泉ワンダーランド・瀬見温泉・喜至楼〜外観と風呂

2020-11-01 | 温泉・宿





予定は突然に決まる。僕は直前にならないと休みが決まらない。決まったとしても、トラブルがあれば戻らなければならない。1日か2日前に予約が可能な宿。トラブルがあっても、翌日の午前10時くらいまでには戻れる場所。そういう条件に当てはまる宿は少ない。今回は久しぶりの独り温泉を楽しんだ。その宿は瀬見温泉(山形県最上町)の喜至楼だ。時代が止まったかのような驚異の温泉旅館。館内でも沢山の写真を撮った。その内部は、まさにワンダーランド。数回に分けて掲載したい。その前に一応、外観と風呂の写真を掲載した。


X-PRO3 / XF23mm F2R WR
iPhone 8 (風呂の写真)
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それでも僕は温泉を目指す(予告編)

2020-08-12 | 温泉・宿





賛否両論あるだろうけど、夏休み恒例の温泉ツアー(自主ツアー)に行ってきた。今回も「日本秘湯を守る会」の宿である。コロナ禍の移動なので慎重を期したし、観光もコンパクトかつ最低限に済ませた。そもそも体温並みの気温になった猛暑であり、長時間歩くことは不可能に近かった。宿は標高900m近い地点にあり、夜は天然クーラーで快適に寝ることができた。

更に言い訳をさせて貰えば、今回の食事は部屋食であり、他の客との接触は最低限だった。お風呂も混雑しそうな時間を避けたこともあり、いつも1〜2人しかいなかった(それなりに客はいたはず)。これであれば、家の近くでラーメンを食べたり、公衆温泉に行く方が密で危険なくらいだった。これだけ言い訳を連呼してでも、「僕は温泉に行きたい」のである。写真だけで分かる人もいるだろうが、十年来行きたかった念願の温泉宿である。この状況でなければ、お盆休みに泊まることは難しかっただろう。次回に公開します。

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あの定宿へ

2020-06-22 | 温泉・宿



6月19日から県を跨いでの移動が解除になった。僕も久しぶりの温泉泊と、町歩きを楽しんだ。色々とプランはあったし、旅に飢えているので、思いっきり遠くへも行きたかった。そんな中で、やはり第一回目の宿泊は、慣れ親しんだ定宿に行くべきだと判断した。元々三密とは程遠い常宿は、とても空いていた。「もうお客さんが来なくて大変でした」と宿のフロントでは言っていた。僕の泊まる湯治部は本来は別玄関で、靴も自分で自室まで運ばないといけない。それが客の減少から入館場所は旅館部と一緒になった。危機的だ。万が一ここが失くなったら、一大事だ。やはりここから始めて良かった。

追伸:明日以降、町歩きの写真を掲載するが、町歩きの体力よりも、「長距離運転」の体力が衰えていた。時間を惜しんで休みも取らず移動するので、クタクタなうえに「脳みそ」が揺れているような感じが中々取れない。こっちの方が課題かもしれない。

X-PRO3 / XF35mm F1.4R

↓↓↓以下、iPhoneで撮ったおまけです。





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白布温泉西屋で過ごす

2020-02-24 | 温泉・宿












その前の週に「心と身体を解放する休日」と称して、花巻の鉛温泉に行ってきた。町歩きをする時は、一泊二食で7千円程度の湯治宿に泊まることが多い。一方、一応僕も家庭の人間として家族(二人だけだが)で温泉に行くこともある。その場合は、湯治宿ではなく、通常の温泉に泊まる。家人は家人で、お気に入りの温泉があるので、そこに付き合うのである。いつもより多少高級な温泉に泊まり(それでも一般的にはそんなに高級ともいえない)、諸般の用事に付き合っている。諸般の用事とは、主に何かを「買う」ことである。そんな時、僕はじっと耐えてサービスするのである。
写真は、白布温泉西屋さん。家人たっての願いで、三連休に行ってきた。ここの温泉は凄い。写真には撮れなかったけど、浴槽から源泉がダダ漏れ状態という凄まじさ。山奥にある茅葺の温泉宿である。もう6〜7回泊まっていると思うけど、その度に「すき焼き」を食べる。ご馳走さまでした。その翌日は、山のタマゴ屋さん、道の駅、コストコ、パン屋、焼き物屋(猫)さんなど、買い物に付き合わされた。要は「心と身体を解放する休日〜家人版」である。一人旅に行くためには、こういう試練も乗り越えなければならない。

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心と身体を解放する休日〜①その温泉で過ごす独りの時間

2020-02-16 | 温泉・宿












※お風呂画像は公式サイトから借りました。撮影は原則禁止です。

日常生活を営んでいると、身体の疲れだけでなく、むしろ心が知らず知らずと蝕まれていることに気づく。これをスターウォーズに喩えると、フォースの力が弱まり、自分の意思とは関係なく、ダークサイドに引き込まれていく状態といえる。そんな時、僕は休日にクタクタになるまで町を歩きまわり、毒抜きをする。通常はそれでなんとかなる。だが、それでは何ともならない状態になることも稀にある。職業上、ストレスを受けやすい環境にあり、その耐性も年々下がってきていることを痛感している。

では、そんな時はどうするのか。温泉に行くのである。普段も行くけど、心と身体の解放を求めて温泉に行くのである。いわば精神的な湯治である。今回行ったのは岩手県花巻市の「鉛泉・藤三旅館」だ。僕の定宿だし、通常は年に2〜3回、多い時は年に5回ほど行っている。それが2018年5月を最後に丸一年半足が遠のいていた。今回は家人も、ただならぬ僕の様子に珍しく配慮を示し、通常泊まる湯治部ではなく、旅館部の宿泊となった。僕は湯治部の方が好きなのだが・・・。ここで僕は湯に浸かり、独りで食事をして、考え事をする。夜の店にも行かないし、ゴルフもしないので、ここで約1万円(湯治部であれば7千円)を使うことを贅沢とは言うまい。金曜日の午後に出発し、土曜日の夕方に戻る。日曜日はまた仕事がある。ちなみに風呂の写真は宿の公式サイトから拝借したが、この風呂に浸かる瞬間が、ここ最近の人生で一番幸せな時間かもしれない。さて、休日は短い。初日はただ移動して宿に入っただけ。次の日は夕方までに戻らなければならない。明日は何をしよう?(続く)

追伸:宿の玄関は到着時には暗かったので、実際は翌日チェックアウト時に撮ったものです。

X-PRO3 / XF23mm F2.0R WR




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鳴子温泉の東西横綱

2020-02-15 | 温泉・宿







少し前の写真である。宮城県に鳴子温泉という温泉がある。昔から人気温泉だけど、最近は正直なところ少し廃れている。以前に「なんとか温泉番付」で横綱に選ばれて、それが陰謀説みたいな推測を呼び、いまでもプチ炎上しているそうだ。番付のことは知らないが、鳴子温泉が良い温泉であることは間違いない。周辺の中山平温泉、東鳴子温泉、川渡温泉などと合わせ、湯量、バリエーションとも豊富なお湯が自慢なのだ。バリエーション・・・。そうなのである。鳴子温泉は、一つの宿が泉質の全く異なる源泉を複数持っていたり、両隣の宿で凡そ似つかぬお湯が出たり、もう温泉ワンダーランドなのである。それでも温泉地は廃れるいくのだから、やりきれない話である。

さて、今回のネタは鳴子温泉のコア旅館二軒である。隣り合って建つ二軒の宿は、本館と別館でも疑問を感じない立地条件である。片方が「東多賀の湯」、もう一つが「西多賀旅館」である。僕は「東多賀の湯」にしか泊まったことがないけど、ここの女将さんは、優しい物腰にもかかわらず「温泉原理主義者」であり、温泉の維持管理に並々ならぬ情熱を注いでいる。例えば、源泉かけ流しは当然のことで、それに加えて「加水」や「加温」もしない。「源泉をストックするタンクの洗浄に水道水を使うと、そこで塩素が混入するから駄目なのよ。そういう意味で本当の源泉かけ流しは鳴子でも少なくなってきましたよ」なんて恐ろしいことを普通の顔をして言う。その東多賀の湯は、乳白色の湯。女将さんが夕食時に説明してくれるのだけど、いつも酒を呑んでいる僕は覚えられない。硫化水素型の硫黄泉であることは間違いないと思う。換気を適切にしないとガスでやられてしまうレベルの濃厚さだ。身体が芯から温まる湯は優しくもある。但し帰宅してTシャツや下着類から硫黄の匂いが抜けるまでに、3~4回は洗濯をしなければならない。これを鳴子の「東の横綱」と僕は呼ぶ。

一方、「鳴子の西の横綱」は、西多賀旅館である。こちらも硫化水素型の硫黄泉だけど、こちらはバスクリンを入れたのかと勘違いするほどの緑色の湯。湧き出した時は無色透明で、温度変化により色が着くという。切り傷などに効能高いとされるが、僕は独特の湯の香りに魅了される。「東多賀の湯」に泊まり、玄関を出て徒歩20mほど。こちらは立ち寄り湯をさせてもらう。温泉大好きな僕だけど、思いっきり文系人間なので、酸とか言われても何のことか分からない。単純に楽しみ、個人的な効果を温泉自体の効果であるかのように能書きを垂れるのみである。どちらに泊まっても、もう一方の湯にも入れてもらう。これで東西両横綱制覇となるのだ。

IPhone 8
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