資料保管庫・管理人のひとりごと

個人的な趣味のレベルで、欧米の競争法、メディアに関する法を中心に資料を集めた『資料保管庫』管理人のひとりごとです。

欧州メディア政策の今後(融合の地平)

2014-02-20 04:49:11 | メディア/ニューメディア
(プログラム等は下記)
European media policy - preparing for the converged landscape
Westminster Media Forum

(以下、各論のメモ)
(等しい情報アクセスの保障)
・技術面のチャレンジと規制面のチャレンジの双方があるが、視聴者の視点に立ち、そのタイプ別で検討をする必要がある。EUにおいて人々が等しく情報が入手できるか、等の問題が議論されるべき。
・ネット中立性は多義的な概念だが、トラフィックのコントロールの有無をどう考えるか。
・産業構造の変化は、視聴者の弱さ・もろさを明らかにした。YouTube世代の子どもの保護、気づかない広告等の問題も。

(オンデマンド領域の規制)
・10年ほど前、リニアなテレビはもう無くなると言われたが、厳然としてある。ただ、オンデマンドとのシームレスさは間違いなく無くなり、その規制をどうするかが問われている。
・今までは分析までだったが、非リニアのコンテンツ規制が次の課題。規制のある域内国でのフォーラムショッピング抑止のためにも、対応すべき。

(多元性の確保)
・リニア・非リニア全体の世界を包含した多元性確保もテーマになるべき。その際には、地域の声をどう考えるかも大事。
・多元性の確保と、競争政策とは異なる。英国上院委員会も同じ考え。またエンフォースメントを担う機関の独立性はどう担保できるのか。

(規制の範囲・執行の在り方)
・メディアについても、他の産業同様、各国の規制当局をまとめた組織の構築が決定され、3月には初会合が開かれる(このような横断組織がなかった最後のセクター)。経験の共有、執行の標準化が「見える化」のなか行われることに。
・規制範囲をどこまでとするか。媒介者か主体か等、難しい論点がある。むやみに拡大すべきではない。
・ネット産業は、門番(ゲートキーパー)・ボトルネックとなる存在を生み出す。オープンなインターネットを指向するならば、放送のようなかっちりした規制ではなく、自主規制型が望ましいのではないか。
・最終的にいかに規制が減るか、が政策目的であるべきではないか。より多様でより競争のある世界が望ましい。
・“融合”のなかで、ネット中立性等に責任を持つ支配的な事業者の規律が必要になる。
・2016年にはネットは動画トラフィックが中心になるなか、競争法の観点からの規制が浸透するテレコム産業の流儀でいいのか。
・いずれにしても、技術革新に合わせ、規制の不透明さをなくすべき。
・規制が技術革新についていけていない。ただし拡張するだけではなく、グラデーション(段階規制)を使ったこれまでのアプローチの経験を生かすべき。
・テレコムの規制レビューもかかっている。一足飛びに融合の議論に行かず、慌てずしっかり議論すべき。

(公共放送の存在)
・公共放送BBCは、20年前よりも財源を減らしつつ、イノベーションを増している。質の競争を通じた、公・民の二元体制の貢献は重要。「創造のリスク」を理解していれば、民間にとっても公的な支出は歓迎。
・公共放送の新しい義務、役割をどう考えるか。

(産業政策・文化政策として)
・英国コンテンツへの投資促進が大事。多チャンネル環境のなか、グローバルな制作のハブに育てていくべき。そのためには、柔軟な知財制度がカギ。包括で法定されるような仕組みはそぐわない。グローバルな舞台で競争力を持ち続ける必要がある。
・メディアは民主化され、粉々な少額産業の集まりになるとされたが、そうはならなかった。EUはあくまで国家の集合体であり、視聴覚産業の「文化性」を大事にすることが求められる。

(周波数帯)
・放送とモバイルで周波数を食い合いそうだが、BBCもiPlayerの90%はwifiでの利用。英国ではうまく共存できている。

(域外対応)
・カナダでは、米Netflixにケーブルテレビ同様のカナダコンテンツ投資義務をかけるところまで行った。どこまで国外・域外を視野に入れるか。
・Googleによる国境を超えた挑戦にどう向き合うか。どのように管轄に入れるか、入れないか。
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