いよいよネズミ野郎との戦いも佳境に入ってきました。
それにしてもいったいどうやって、この部屋に侵入してくるのでしょうか?
もう一度、キッチンまわりの侵入経路の可能性について、説明してみたいと思います。
1)まず、キッチン下の物入れの奥は、パイプシャフトとつながっている。ただしそのすき間は念入りに板でふさいである。壊れた形跡はない。
2)ミニ冷蔵庫置き場の奥には、キッチンの壁の裏から、上の換気ダクトを覆う部分につながっている。ただしその侵入経路の前には、ねずみ取り粘着シートがびっちりとセットされていて、それを飛び越えることは不可能と思われる。
3)物入れの扉はきちんと閉まっている。
4)冷蔵庫置き場と冷蔵庫の間には一センチくらいのすき間があるが、それはぜんぶふさいだ。破損した形跡なし。
5)物入れと、冷蔵庫置き場は上でつながっている。ここは自由に行き来できる。
つまり、物入れ、あるいは冷蔵庫置き場にまで来られれば、その両者は自由に行き来できますが、そこから外に出ることはできません。
しかも、屋根裏からそこまでくるには、粘着シートの罠を突破してこなければならないのです。
ネズミはどうやって、二重の城壁を打ち破ってきたか?
名探偵・南野海が打ち出した推理は、やつはどうにかして粘着シートを飛び越え、そのあと、物入れのドアを開けて出てきたのではないかと言うことです。
なんだ、そんなことか? 不可能でもなんでもないじゃないか。
そう思うかもしれません。
でもちょっと待ってください。たしかに粘着シートの罠さえどうにかして突破したなら、物入れのドアを開けるくらいのことはできるかもしれません。それほど固くはないですから。
ただしそれなら、どうして、朝点検したとき、ドアは閉まっていたのでしょう?
その推理が正しいとすると、こういうことになります。
ネズミはドアを開けて部屋の中に入ったあと、さんざん悪さをしたあげく、帰るときにはドアから入り、ドアを閉めて屋根裏に逃げた。
はたしてそんなことがありえるでしょうか?
開けるのは押せばいいから問題ありません。しかし中に入ってから閉めるにしてもドアノブがあるわけじゃありません。なにをつかんで引っぱったのでしょうか?
それ以前に、ネズミにそんなことをする動機がありません。
たとえば……。
人間に侵入経路を知られたくないから、ドアをきちんと閉めてやれ。
もしネズミがそんなことを考えたとすれば、まぎれもなくそいつは天才です。
けっきょく名探偵・南野海は、解決することもなくまた夜を迎えました。
また、夜中に異様な音でたたき起こされるわけですが、今回はにぎやかです。
ばさっ、がさがさっ、どさっ。
そんな音からはじまりましたが、そんなものでは終わりませんでした。
ばりばり。ぼりぼり。ばりっ、ぼりっ。
うわあああああ! こいつ、ぜったいなんか喰ってやがる!
そうです。もう、かりかりとかいう生やさしい音ではなかったのです。
板のバリケードを食い破ろうとしている?
だけどそれは変です。そうしなければ入れないのなら、どうしてきのうは入って来れたのでしょうか?
もう、なにがなんだかわかりません。
僕は下に行ってなんとかしようという気力さえ起きず、そのまま布団をかぶって寝ました。
次の日の朝、僕は恐る恐る現場を調べて、ついに真相にたどり着きました。
そうです。だてに横溝正史や島田荘司や、綾辻、有栖川、京極、はては密室の巨匠ジョン・ディクスン・カーなどミステリーを愛読していたわけじゃなかったのです。
しかも、南野は読むだけでなく書いてました。
メフィスト賞や、鮎川賞、乱歩賞、はては富士見ミステリーにまでみさかいなしに応募し、ことごとく玉砕したという輝かしい経歴を持っています。
そうです。南野はミステリー作家ワナビなのです。
ですから、ここまでデータがそろえば、こんな事件の解決はお茶の子さいさいです。
というわけで、次回はいよいよこのシリーズ最終回。解決編です。
つづく
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それにしてもいったいどうやって、この部屋に侵入してくるのでしょうか?
もう一度、キッチンまわりの侵入経路の可能性について、説明してみたいと思います。
1)まず、キッチン下の物入れの奥は、パイプシャフトとつながっている。ただしそのすき間は念入りに板でふさいである。壊れた形跡はない。
2)ミニ冷蔵庫置き場の奥には、キッチンの壁の裏から、上の換気ダクトを覆う部分につながっている。ただしその侵入経路の前には、ねずみ取り粘着シートがびっちりとセットされていて、それを飛び越えることは不可能と思われる。
3)物入れの扉はきちんと閉まっている。
4)冷蔵庫置き場と冷蔵庫の間には一センチくらいのすき間があるが、それはぜんぶふさいだ。破損した形跡なし。
5)物入れと、冷蔵庫置き場は上でつながっている。ここは自由に行き来できる。
つまり、物入れ、あるいは冷蔵庫置き場にまで来られれば、その両者は自由に行き来できますが、そこから外に出ることはできません。
しかも、屋根裏からそこまでくるには、粘着シートの罠を突破してこなければならないのです。
ネズミはどうやって、二重の城壁を打ち破ってきたか?
名探偵・南野海が打ち出した推理は、やつはどうにかして粘着シートを飛び越え、そのあと、物入れのドアを開けて出てきたのではないかと言うことです。
なんだ、そんなことか? 不可能でもなんでもないじゃないか。
そう思うかもしれません。
でもちょっと待ってください。たしかに粘着シートの罠さえどうにかして突破したなら、物入れのドアを開けるくらいのことはできるかもしれません。それほど固くはないですから。
ただしそれなら、どうして、朝点検したとき、ドアは閉まっていたのでしょう?
その推理が正しいとすると、こういうことになります。
ネズミはドアを開けて部屋の中に入ったあと、さんざん悪さをしたあげく、帰るときにはドアから入り、ドアを閉めて屋根裏に逃げた。
はたしてそんなことがありえるでしょうか?
開けるのは押せばいいから問題ありません。しかし中に入ってから閉めるにしてもドアノブがあるわけじゃありません。なにをつかんで引っぱったのでしょうか?
それ以前に、ネズミにそんなことをする動機がありません。
たとえば……。
人間に侵入経路を知られたくないから、ドアをきちんと閉めてやれ。
もしネズミがそんなことを考えたとすれば、まぎれもなくそいつは天才です。
けっきょく名探偵・南野海は、解決することもなくまた夜を迎えました。
また、夜中に異様な音でたたき起こされるわけですが、今回はにぎやかです。
ばさっ、がさがさっ、どさっ。
そんな音からはじまりましたが、そんなものでは終わりませんでした。
ばりばり。ぼりぼり。ばりっ、ぼりっ。
うわあああああ! こいつ、ぜったいなんか喰ってやがる!
そうです。もう、かりかりとかいう生やさしい音ではなかったのです。
板のバリケードを食い破ろうとしている?
だけどそれは変です。そうしなければ入れないのなら、どうしてきのうは入って来れたのでしょうか?
もう、なにがなんだかわかりません。
僕は下に行ってなんとかしようという気力さえ起きず、そのまま布団をかぶって寝ました。
次の日の朝、僕は恐る恐る現場を調べて、ついに真相にたどり着きました。
そうです。だてに横溝正史や島田荘司や、綾辻、有栖川、京極、はては密室の巨匠ジョン・ディクスン・カーなどミステリーを愛読していたわけじゃなかったのです。
しかも、南野は読むだけでなく書いてました。
メフィスト賞や、鮎川賞、乱歩賞、はては富士見ミステリーにまでみさかいなしに応募し、ことごとく玉砕したという輝かしい経歴を持っています。
そうです。南野はミステリー作家ワナビなのです。
ですから、ここまでデータがそろえば、こんな事件の解決はお茶の子さいさいです。
というわけで、次回はいよいよこのシリーズ最終回。解決編です。
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