先日、パソコンでネットサーフィンしていたときの事です。
何かにバナー広告に誘導されて、画像サイトを見たのでした。
閲覧終了したら、おすすめメニューアイコンが現れました。
その中に『時代遅れの……』がありました。
コンテンツの一つに加藤登紀子のテレビ映像歌がありました。
加藤さんの歌は好きなので、ひとしきり聞くとおすすめが増えます。
その中に映画挿入歌である、高倉健さんの映像もあったのです。
聞いて見て驚きました。
若い頃には気が付かなかった事柄です。
健さんは歌でなく、唄っていたのでした。
昔に私が通っていたボイストレーニングの先生が、言っていました。
本番で歌を歌う際の、本質的な注意点を指導されたのです。
『ピッチが狂っても、テンポは狂わせない』
『音程が狂っても、音符は無視しない』
人は本番で完璧に歌えないからこそ、優先すべき事柄だそうです。
昔のシャンソン歌手みたいな歌い方はしないように、釘を刺されました。
ベテラン演歌歌手や、ニューミュージック歌手もやりますね。
故意による、遅れ歌いや、早い歌い出し。
高倉健さんは、神髄を捉えて歌っていました。
だから心に滲みる歌になっていました。
これが役者歌の神髄なのかと、頭が下がったのです。
歌唱表現ででなく、登場人物を歌っていたからです。
昨年、今年と渡辺謙さんがブロードウェイ・ミュージカルの出演していました。
歌もダンスも出来ないからやらないと、何かで読んでいたのです。
それがトニー賞候補にまでなった。
NHKのドキュメントで、演出家に音が合っていないと言われても意に介していませんでした。
承知していると返事をしただけです。
企画プロデューサがキャスティングしたのでしょう。
無理難題を押し切って決めたと思います。
舞台の様子は少しだけ放送されただけです。
でも、何が起きていたのか想像できました。
高倉健さんと同じ現象が、舞台上で生じていたのだと想像出来ました。
一番大事な事です。
中途半端に他者に合しない。
正しいと思った事を、正々堂々と行う。
これだと思います。
技法に忠実にあるべき事。
観客に届く行為であること。
二つは相反することがあります。
上手に混ざり合い統一感を得る事もあります。
不確定で不確実なものです。
これを見事に融合させられたら、名人なのでしょう。
パソコンの画像サイトから歌声を聞いて確信したのです。
それを今日はブログに書いてみました。
基礎を固めて、基本に忠実であるべき。
感性に合わせて、心に従うべき。
どちらも重要なんだと。
芸術は奥が深くて広いですね。
得体が知れず、全容が見えません。
その道のプロは、他の道の本質を捉えられる。
凄い事です。