生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

バブルの崩壊とその後の生活形態

2015年07月30日 11時03分24秒 | 政治経済社会学
2015年7月30日-1
バブルの崩壊とその後の生活形態
[2015年7月28日-1 金融バブル崩壊の機構と機会因、
http://blog.goo.ne.jp/1trinity7/e/086c9e2b45f480509d9403ce0d25acff
に追加]


野口悠紀雄.1992/11/25.バブルの経済学 日本経済に何が起こったのか.258pp.日本経済新聞社.[定価(本体1,533円)][b332.10]


オランダでのチューリップ バブル
  「価格の上昇に伴って、チューリップ栽培には直接関係しない人々も投機に参入するようになり、そして、多くの人たちが突然金持ちになった。これが、すでに投機へ参加している人の希望を正当化し、彼らはさらに買い進んだ。かくして、際限ない価格上昇が続いたのである。また、現物渡しの習慣が崩れ、球根が実際に引き渡されるまで対価を支払わないでも済む先物取引が導入されたため、投機性がいっそう強まった。」
(野口悠紀雄 1992/11: 71頁)。


急な値上がりは買いを呼ぶ(急な値下がりは売りを呼ぶ)
  「市民にとっても浮かれるような話がありました。きっかけは1987年のNTT株の新規上場でした。NTT株が上場すると買い注文が殺到し、初日からどんどん値上がりしました。最初の売り出し価格は1株119万円でしたが、わずか2カ月で318万円まで値上がりました。この時売れば1株で約200万円儲かるわけです。そんなに儲かるならと、これまで株取引をやったことがない人たちまでが次々と株を買うようになりました。空前の株ブームに火がついたのです。みんなが株を買うとどうなるか。需要と供給の関係でいえば、多くの需要があるわけですから株の値段は上がりますよね。こうして株の値段はどんどん上がっていきました。」
(池上彰.2012/6.池上彰のやさしい経済学
 第9回 なぜバブルは生まれ、そしてはじけたのか?
~1985年のプラザ合意によるドル高是正がバブルの始まりだった~
http://bizacademy.nikkei.co.jp/culture/b-keizai/article.aspx?id=MMACzm000020062012&page=3(受信:2015年7月28日。))


加速的機会因と時期予想、バブル崩壊のメカニズム
  「なぜ大暴落が起こったのかを納得的に説明することができない。「バブルで膨れた株価が実体とあまりに乖離しすぎた」というほかはないが、これは、何も説明していないに等しい。我々が知りたいのは、大暴落がなぜ〔1929年〕7月や12月でなく、10月に起こったかということなのだが、これについて、歴史書は沈黙している。
 もっとも、何らかの説明がなされたとしても、それがバブル崩壊のメカニズムを解明するわけではあるまい。実際、南海バブルが泡沫禁止法で壊れたとか、ローのシステムが皇太子の硬貨引き出しで崩壊したとか、あるいはフロリダ土地ブームに終焉をもたらしたのかハリケーンだといっても、それは、おそらくほかにも多数あったきっかけの一つを記しているに過ぎない。歴史に残らなかったものも含めれば、同じようなきっかけがその前にも数多くあったに違いない。そしてそれらはバブルの膨張を食い止めることができなかった。〔略〕現在の経済理論では、バブルの崩壊を確率的な事象としてしか説明ができないのである。」
(野口悠紀雄 1992/11: 87-88頁)。


バブル崩壊への動機(機会因を用意する)
 ・→暴落を仕掛けて、大儲けしてやろう(結果として大損するかもしれない)とする人がいるだろう。→機会と仕掛ける時期を狙っている。


バブル崩壊に備えよう
 日本の(大きく数値的な)貨幣経済とりわけ金融投機的な経済は、再度のバブルであるとすれば、あるいはむしろ日経平均株価(という指標)で見て1989年12月29日の3万8915円という(後に判明する)頂点からの下落過程と捉えれば、(政府と日銀による虚勢相場的支えのおかげで)まだバブルは完全には破裂していないとすると、まもなく破裂するだろう。
 なぜなら、投機筋が株価暴落を仕掛けてくる条件がすでに整っているからである。それがいつかは、かれらの売り崩し成功の見込みの賭けをいつやるかという個人的決断に大きく依存する。
 その決断実行への外部的または客観的環境諸条件を整えたのは、日銀による金融緩和や労働条件改悪などである。
 バブル(泡)はいずれ弾けるに違いないし、破裂しなければならない。
 国民は、バブル崩壊による生活困難に備えよう。
 政治経済社会を新たに担おうと志す者たちは、一部の者たちの貪欲の結果の被害を少なくする対処策とともに、これからのあるべき姿を設計し、移行計画を策定しよう。

株価暴落の実際
  「25主要工業株の平均株価は、9月3日の高値469.49ドルから11月13日の安値220.95ドルにまで暴落した。
 これが、その後世界経済大混乱に陥れ、ひいては第二次世界大戦の遠因ともなった大恐慌の幕開けであった。ダウ工業株30種平均は、1929年9月の月平均362ドルから、〔19〕32年7月の47ドルまで、8分の1になった。銀行倒産は9000件に及び、実質DNP(国民総生産)も工業生産も4年間に半分に縮小し、失業率は25%に達した。」
(野口悠紀雄 1992/11: 87-88頁)。

ニュートンはなぜ投機したのか→株価予想が当たれば儲かるから
  「ニュートンは〔略〕、暴落以前に一度南海会社への投資を手仕舞っている。 それにもかかわらず再び投資したのは、大衆の投機熱が収まらなかったからである。〔略〕 投機熱が続いている限り、投資は利益を生む。〔略〕南海会社の実態がどうであるかは、そこでは問題にならない。重要なのは、「将来の価格がどうなるか」なのである。少なくとも短期的にはそうである。」
(野口悠紀雄 1992/11: 90頁)。


  「ニュートンやマーティンは、ケインズの200年前に、「美人投票理論」に従う投資を実践していたのである。」
(野口悠紀雄 1992/11: 90頁)。

 →Les yeux clos 2011年1月28日 ケインズの「美人投票」理論(岩井克人) 
  「労働市場にはヒトの移動を妨げるさまざまな慣習や規範があり、資本市場にはカネの移動を妨げる多くの規制や法律がある。これらの不純物さえ取り除けば、資本主義は効率的にも安定的にもなるというわけである。このような新古典派的な資本主義論の20世紀におけるチャンピオンは、2006年に亡くなったシカゴ大学のミルトン・フリードマンであった。」
(岩井克人 2009/6.グローバル経済危機と二つの資本主義論.学術の動向 2009.6[金融危機特集]: 88-97.(https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits/14/6/14_6_6_88/_pdf)よりの抜粋)
http://yokato41.blogspot.jp/2011/01/blog-post_28.html[受信:2015年7月30日。]


  「ニュートンやマーティンは、ケインズの200年前に、「美人投票理論」に従う投資を実践していたのである。
 ここにバブルの本質があるとすれば、今後もバブルは繰り返し生じるだろうと考えざるをえない。われわれがバブルの歴史から学べるところがあるとすれば、それは「歴史に学ぶのは極めて難しい」という皮肉なことではあるまいか。少なくとも、個人の行動が歴史を学ぶことで変わるとは思われない。歴史の教訓は、経済政策や社会制度の設計にこそ活かしていくものなのなのだろう。」
(野口悠紀雄 1992/11: 90-91頁)。





 ・株価暴落→市場機能?喪失。→金融機能の喪失。→政府の財政破綻。→国債償還または利払い不能や未達。→大きく円安。→輸入激減。→生活必要品の不足。→大インフレ。

 ・幾つかの貨幣経済破綻への進行図解を収集して比較検討せよ。
 ・機構図と過程図。
 ・共有地の悲劇。

機構図
 機会因

市場の力と政府
  「サッチャー首相が市場フォースに基づいたヨーロッパ連合を支持した時、彼女はもっと富をつくることにのみ関心を持っていた。しかし彼女はこれらの市場フォースの暗い側面には注意を払わなかった。この暗い側面のために、国家がそのアイデンティティー(独自性)と主権を失う結果となるのである。〔略〕(1990年5月)
(『いのちの法則』p.178-179)」
http://sharejapan.org/sinews/magazines/lutefl/fkmww5/sui4zj[受信:2015年7月30日。]

人々の生活と商業主義 commercialism
  「どうやって家賃を払おうか、月謝を払おうか、医者の費用を払おうか」と。人々は心配と不安でいっぱいです。商業至上主義が本当に人生を支配してしまったのです。
(ベンジャミン・クレーム『人類の目覚め』p.47)」
http://sharejapan.org/sinews/magazines/lutefl/fkmww5/sui4zj[受信:2015年7月30日。]

投機、貪欲、分離と恐怖、経済崩壊、相互依存性
  「人類は長い間投機という病気を病んできた。この病気の徴侯は貧困、犯罪、麻薬濫用、暴力、戦争である。基本的な原因は分離と恐怖に基づく人類の昔ながらの貪欲である。〔略〕
 人類が相互依存の感覚を得るとき、恐怖心をなくし、かくして貪欲をなくすだろう。当然ながら、これは一夜にして起こらないし、またあまり長く遅らせることはできないだろう。経済崩壊とそれに引き続いて起こる変容は強力な教師となるだろう。
(ベンジャミン・クレーム『マイトレーヤの使命第巻』p.197-198)」
http://sharejapan.org/sinews/magazines/lutefl/fkmww5/sui4zj[受信:2015年7月30日。]


引用文献
[い]
池上彰.2012/6/22.【著者が解説】池上彰のやさしい経済学 第9回 なぜバブルは生まれ、そしてはじけたのか? ~1985年のプラザ合意によるドル高是正がバブルの始まりだった~.http://bizacademy.nikkei.co.jp/culture/b-keizai/article.aspx?id=MMACzm000020062012
http://bizacademy.nikkei.co.jp/culture/b-keizai/article.aspx?id=MMACzm000020062012&page=2
(受信:2015年7月28日。)

岩井克人.2009/6.グローバル経済危機と二つの資本主義論.学術の動向 2009.6[金融危機特集]: 88-97.(https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits/14/6/14_6_6_88/_pdf[受信:2015年7月30日。])

[く]
クレーム,ベンジャミン.(石川道子 〔編・〕訳 1997/5/1).マイトレーヤの使命 第三巻.xii+13-698pp.シェア・ジャパン出版.[本体¥3,000(税別)][B19971020]

クレーム,ベンジャミン.(石川道子 〔編?・〕訳 2008/5).人類の目覚め.247pp.シェア・ジャパン出版.[1,300円+税][Rh20081010].

[の]
*野口悠紀雄.1992/11/25.バブルの経済学 日本経済に何が起こったのか.258pp.日本経済新聞社.[定価(本体1,533円)][b332.10]