生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

マリオ ブーンゲのシステム主義

2015年07月30日 00時27分03秒 | システム学の基礎
2015年7月30日-1
マリオ ブーンゲのシステム主義

Bunge, Mario. 2013/5/30. Medical Philosophy: Conceptual Issues in Medicine. Paperback. World Scientific Publishing. [B20150717, paperback 6016円+0=6016円amz]

 上記のMario Bunge (2013)の本、『医学の哲学 医学における概念的論争点』で、システムまたはシステム主義について述べている箇所を、下記に訳出することにする。なお、_で挟まれた語は原文では斜体である。

  「 具体的システムの概念的または経験的分析は、原子から身体から社会まで、そのシステムの構成 composition、環境 environment、構造 structure、そして機構 mechanism を同定することにある。これらの構成要素は、図式的に次のように定義されよう:

 _構成_ =或る水準(分子の、細胞の、などの)での構成要素の集合 set of constituents
 _環境_ =直接の周囲(家族、職場、など)
 _構造_ =構成要素 components 間の諸結合の集合(靭帯、ホルモン的信号、など)
 _機構_ =システムをそういうものとして維持する〔支える〕(諸)過程(細胞分裂、代謝、血液の循環、など)

 この分析は、六つの群の存在論的(形而上学的)教義を引き起こす。そのうちのいくつかは、古い由来を持っている。六つの教義とは:
 環境主義 environmentalism 環境は絶大な力を有する。例:行動主義、そして、すべての病気は『瘴気〔不健全な雰囲気〕』かあるいは社会的諸条件かのどちらかによって引き起こされるという仮説。
 構造主義 structuralism 一つの全体は網状組織 network、その諸部分間の繋がりの集合、である。例:コネクショニスト心理学、そして交信の網状組織〔コミュニケーション ネットワーク〕だけが重要なのだという、まるで節点〔ノード〕無しのグラフがあり得るような、社会学的テーゼ〔定立〕。
 過程主義 processualism 一つの具体物は一束の過程である。例:アルフレッド ノース ホワイトヘッド Alfred North Whitehead の形而上学。
 全体論 holism 全体はその諸部分に先立ち支配する。例:アリストテレスの形而上学とアジアの伝統的医学。
 個体主義 individualism 全体はその諸部分の集合 set である。例:古代の原子論、健康はもっぱら個体の習性に依存する(それゆえ衛生的方策は役に立たず、したがって無駄である)というテーゼ。
 システム主義 systemism 宇宙はすべてのシステムのシステムである。例:ドルバック d'Holbach (1770)、ベルタランフィ Bertalanffy (1950)、そしてブーンゲ Bunge (1979)。

 最初の五つの教義は、

[続く]

===
 ところで、索引では vitalism 生気論の頁は、p.33とp.125となっている。