生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

絵が、人へ出てくる、人を包み込む、人を吸い込む

2010年03月26日 00時51分57秒 | 美術/絵画
2010年3月26日-1
絵が、人へ出てくる、人を包み込む、人を吸い込む

 堂本尚郎は、
  「モンドリアンにしても厳しい抽象表現の中に逆に人間的な情感のようなものが感じられますね」(堂本尚郎・乾由明 1996: 2頁)。
と述べている。
 また、サム・フランシスが言ったこととして、
  「ヨーロッパの絵画は、見る人を説得しようとして、向こうからこっちへ出てくる。人に押しつけてくる。東洋の絵は人が絵の中へ吸い込まれる」
と、紹介している(堂本尚郎・乾由明 1996: 4頁)。
 さらに、堂本は、
  「彼は墨絵のように、すーっと中に吸い込まれていくような、それが大切だと言っています。サムの絵を見ると、確かにそういう部分があると思う。絵の中に空間が残されている。」(堂本尚郎・乾由明 1996: 4-5頁)。
と述べた。
 このような対比的効果は、描き方として何が対応するのだろうか?
 また、アメリカ現代絵画について、乾は、
  「遠近法じゃない。吸い込むのではなくて、包み込むというのかな。」(堂本尚郎・乾由明 1996: 4頁)
と、述べた。
 この三つの区分は興味深い。
  1. ヨーロッパ絵画: 絵の外の人のほうへ、出てくる
  2. アメリカ現代絵画: 絵が、人を包み込む
  3. 東洋絵画: 絵の中に、人が吸い込まれる
 はたしてどうだろう? 河北倫明があげた日本画の5つの特徴とどう対応するか?

[D]
*堂本尚郎・乾由明.1996.5.20世紀と抽象美術.『世界美術大全集28 キュビズムと抽象美術』、月報: 2-5. 小学館.[ISBN10 4096010286 / 19,417円+税].