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システム的接近、システム主義(4)

2016年06月25日 00時51分02秒 | システム学の基礎
2016年6月25日-1
システム的接近、システム主義(4)

 システム的接近、システム主義(3)の続きで、Bunge 2003: 36-37の試訳である。

  「第五に、環境項目〔事項〕との直接関係を維持するシステムの属員〔成員 members〕だけを含む、外的構造の部分集合は、システム_境界 boundary_と呼ばれてもよい。注意されたいことは、(a)この概念は、形状 shapeまたは幾何的形態という概念よりも広いこと、(b)量子力学的〔量子機構的 quantum-mechanical〕システムや有限の領域に限定された連続的媒体の場合のように、境界または縁 edge についての明示的言及が、それに依存するシステム機構がなんであれ、必要とされること、そして(c)宇宙は境界を持たないこと、である。
 入力─出力モデルまたは黒箱モデルは、CESMモデルの特別な場合であることに注意されたい。実際、入力と出力の端子を持つ箱は、構成は単集合 singleton で、環境は概略だけで、構造は入力と出力の集合であり、そして内部機構は純粋に機能的(行動的)用語で指定されるようなCESMモデルなのである。これが、行動主義がときおり「空虚な有機体モデル」と呼ばれる理由である。サイバネティクスは、構成を犠牲にして構造を強調する別の例である。作られている「材料 stuff」に関係なく制御システムに焦点を当てる(たとえば、Wiener 1948、Ashby 1963を見よ)からである。
 見えとしては単純なので、CESMモデルは実践上は扱いにくい。というのは、システムのすべての部分についてとそれらのすべての相互作用についての知識だけでなく、残りの世界との連結も必要とされるからである。実践では、 _或る水準での_構成、環境、構造、そして機構という概念を使う。たとえば、分子の原子的構成、器官の細胞的構成、あるいは、社会の個人的構成について語るのである。〔素〕粒子物理学を除いて、なんらかの物の究極的構成要素を扱うことは決して無い。そして、〔素〕粒子物理学でさえも、数多くの(とりわけ環境事項との)相互作用を、ふつう無視するのである。
 より精確には、sのすべての部分の集合 C(s)を取るかわりに、実践では、類 aの部分の集合 Ca(s)だけを取るのである。すなわち、 C(s) ∩ a = Ca(s)という共通部分または論理積を形成するのである。四つ組 ミュウ(s)の他の三つの軸についても同様に進めるのである。すなわち、Eb(s)つまり水準bでのsの環境、Sc(s)つまり水準cでのsの構造、そしてMd(s)つまり水準dでのsの機構を取るのである。要するに、_減少された〔還元された〕CESMモデル_と呼ばれ得るものを形成するのである。すなわち、

  ミュウabcd(s)=〈Ca(s), Eb(s), Sc(s), Md(s)〉。

 たとえば、社会システム(または集団)のモデルを形成するとき、全個人から構成されると取るのが普通である。したがって、システムの内部構造を個人間の諸関係に制限することになる。しかしながら、「a」、「b」、「c」、そして「d」の意味を変化させれば、同じ社会についての完全な束のモデルを構築することを妨げるものは何も無い。所与の社会システムの一定の下位システムを、たとえば家族や公的組織を、分析の単位と取るとき、これを行なっているのである。もちろん、すべての知識分野で、同様な束のモデルが構築され得る。
 システムについての上記のモデルは、創発 emergence と潜没 submergence 、すなわち、生成と崩壊のシステム
のモデルで補足されるべきである。或る類のシステムの量的および質的変化をモデル化することへの最も一般的な接近〔アプローチ〕は、状態空間的接近である。これは、量子物理学から遺伝学から個体数統計学〔人口学 demography〕まで、どの専門分野でも、使われるか使用可能である。その概略を述べることに取りかかろう(詳細については、たとえばBunge 1977aを見よ)。」[20160625試訳]。
(Bunge 2003: 36-37)。