2010年8月26日-4
ホメオパシー、叩いて埃はどれだけか
日本学術会議は、(たぶん)2010年8月24日、「「ホメオパシー」についての会長談話」を公表した。
http://www.scj.go.jp/
この文書は、科学哲学、科学史、科学政治社会技術論、科学交達論、など、様々な観点からの分析とその総合または統合のためのきっかけとすることができる、絶好の文書であろう。
本質的な論点としては、たとえば、
西洋医学の理論体系
個々の病気の分類と同定(診断)
それらへの対処法の体系(西洋医学理論体系からの処方箋)
理論的帰結と実際の対処との差異
など、理論と実践との間の様々な段階で、人がやることによる誤りがある。
たとえば、火傷への対処法としての秘伝があったとする。その秘伝の有効性を守るためには、秘伝を体得し、その理論体系による対処の変異についても熟知し、かつ、実際のやり方も習熟していなければならない。そうすると難しくて、継ぐ人がいなくなるかもしれない。かくて、秘伝の(一部の範囲の人の間で)名声は守られ、秘伝(体得者)は絶滅する。
明治期以後の東洋医学や民間療法の排撃。保険制度の問題。
「こうした過去の歴史を知ってか知らずか、最近の日本ではこれまでほとんど表に出ることがなかったホメオパシーが医療関係者の間で急速に広がり、ホメオパシー施療者養成学校までができています。このことに対しては強い戸惑いを感じざるを得ません。その理由は「科学の無視」です。」
或る仮定のもとにであるが、暗黒物質が存在することが妥当と考えられるようになり、その正体あるいは性質がわかっていないことがわかったのに、
「「水が、かつて物質が存在したという記憶を持っているため」と説明しています。当然ながらこの主張には科学的な根拠がなく、荒唐無稽としか言いようがありません。」
とか、「科学的」という形容詞を使って可能性を否定することは、できるのか? 「物質が存在しないのに」と言えるのか?
むろん、水に「記憶が伝達される」?という事態は、(ホメオパシーの本を読んでいないので)どういうことかわからないが、医療ということなら、それで治ればよい。(理論の展開としては、作用メカニズムが解明されるのがよいが。)
また、或る病気での対象方法では効き目が薄いが、他の病気では西洋医学では対象外ならば、治らなくてもともと、という段階では採用するもあり、だろう。
偽薬効果で治るならば、かつ副作用が無いならば、それは理想の薬である。
一個人からは、西洋医学は一つの(しかし税金による資金援助の大きい)選択肢である。医者不足のなか、医者だって過労になるかもしれない。他人の助けを必要としないことが、時間の節約にもなり、よろしい。
20数年くらい前か、ホメオパシー薬を売ったのだったか、札幌で薬事法違反で一人の男が捕まった。数年前までは、ホメオパシー薬はたとえばイギリスから輸入するしかなかったのだが、今ではあちこちに店もある。薬事法関係ではうまくやったようだ。
ホメオパシー叩きに賛成だが、公平に同様の叩きを西洋医学にもやるべきである。犯罪的な医者がいても、西洋医学体系そのものとは関係が無い。処方ミスをしても、処方体系とは関係が無い(だから誤りが無いように実践的な工夫がなされる。それでも、ボンベを付け間違ったり、投与対象を間違ったりと、ミスは起こる。これには、理論体系の改訂ではなく、処方の実際運営体系の改訂が防止の一つとなるだろう)。
などなど、論点は超大盛りである。なにせ、現実が関わるので。
→二重盲検法 double blind testと偽薬効果(プラセボ効果)。帰無仮説の取り方。
→事例研究。笑いで、なにかの病気は治るのか?
→事例研究。丸山ワクチン。
→信じる人は救われる、ならば、どうする?
ホメオパシー、叩いて埃はどれだけか
日本学術会議は、(たぶん)2010年8月24日、「「ホメオパシー」についての会長談話」を公表した。
http://www.scj.go.jp/
この文書は、科学哲学、科学史、科学政治社会技術論、科学交達論、など、様々な観点からの分析とその総合または統合のためのきっかけとすることができる、絶好の文書であろう。
本質的な論点としては、たとえば、
西洋医学の理論体系
個々の病気の分類と同定(診断)
それらへの対処法の体系(西洋医学理論体系からの処方箋)
理論的帰結と実際の対処との差異
など、理論と実践との間の様々な段階で、人がやることによる誤りがある。
たとえば、火傷への対処法としての秘伝があったとする。その秘伝の有効性を守るためには、秘伝を体得し、その理論体系による対処の変異についても熟知し、かつ、実際のやり方も習熟していなければならない。そうすると難しくて、継ぐ人がいなくなるかもしれない。かくて、秘伝の(一部の範囲の人の間で)名声は守られ、秘伝(体得者)は絶滅する。
明治期以後の東洋医学や民間療法の排撃。保険制度の問題。
「こうした過去の歴史を知ってか知らずか、最近の日本ではこれまでほとんど表に出ることがなかったホメオパシーが医療関係者の間で急速に広がり、ホメオパシー施療者養成学校までができています。このことに対しては強い戸惑いを感じざるを得ません。その理由は「科学の無視」です。」
或る仮定のもとにであるが、暗黒物質が存在することが妥当と考えられるようになり、その正体あるいは性質がわかっていないことがわかったのに、
「「水が、かつて物質が存在したという記憶を持っているため」と説明しています。当然ながらこの主張には科学的な根拠がなく、荒唐無稽としか言いようがありません。」
とか、「科学的」という形容詞を使って可能性を否定することは、できるのか? 「物質が存在しないのに」と言えるのか?
むろん、水に「記憶が伝達される」?という事態は、(ホメオパシーの本を読んでいないので)どういうことかわからないが、医療ということなら、それで治ればよい。(理論の展開としては、作用メカニズムが解明されるのがよいが。)
また、或る病気での対象方法では効き目が薄いが、他の病気では西洋医学では対象外ならば、治らなくてもともと、という段階では採用するもあり、だろう。
偽薬効果で治るならば、かつ副作用が無いならば、それは理想の薬である。
一個人からは、西洋医学は一つの(しかし税金による資金援助の大きい)選択肢である。医者不足のなか、医者だって過労になるかもしれない。他人の助けを必要としないことが、時間の節約にもなり、よろしい。
20数年くらい前か、ホメオパシー薬を売ったのだったか、札幌で薬事法違反で一人の男が捕まった。数年前までは、ホメオパシー薬はたとえばイギリスから輸入するしかなかったのだが、今ではあちこちに店もある。薬事法関係ではうまくやったようだ。
ホメオパシー叩きに賛成だが、公平に同様の叩きを西洋医学にもやるべきである。犯罪的な医者がいても、西洋医学体系そのものとは関係が無い。処方ミスをしても、処方体系とは関係が無い(だから誤りが無いように実践的な工夫がなされる。それでも、ボンベを付け間違ったり、投与対象を間違ったりと、ミスは起こる。これには、理論体系の改訂ではなく、処方の実際運営体系の改訂が防止の一つとなるだろう)。
などなど、論点は超大盛りである。なにせ、現実が関わるので。
→二重盲検法 double blind testと偽薬効果(プラセボ効果)。帰無仮説の取り方。
→事例研究。笑いで、なにかの病気は治るのか?
→事例研究。丸山ワクチン。
→信じる人は救われる、ならば、どうする?