生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

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ニッチ、生息場所、環境、生物体、種。1

2010年05月29日 01時38分47秒 | 生命生物生活哲学
2010年5月29日-1
ニッチ、生息場所、環境、生物体、種。1

1. タクソン

 「あの木の枝に、コウノトリがいる」という文があるとする。
 その鳥は_Ciconia boyciana_というタクソンに属する。コウノトリはその和名であり、_Ciconia boyciana_という種タクソン名の代わりをする場合がある。つまり、学名scientific nameと同一視する場合がある。鵠の鳥という表現だと、個別の鳥を指す意味合いが強いように思う。「それは、コウノトリに属します」とは言えても、「それは、鵠の鳥に属します」というのは、少し言いにくいように思う。

 生物体を指差すことができる。しかし、或る種タクソンを指差すことはできない。われわれの脳によって作ったものだからである(脳の中の神経細胞を指差すことができても、種タクソンを指差すことはできないだろう)。たとえば、Ciconia boycianaというタクソン名は、同定のためのカテゴリーを示すためのものである。同定とその前の分類のためのカテゴリーは、われわれの構築体であり、物体ではない。
 種ということで、その種に属するすべての生物体を指すと思う人がいるかもしれない。確かに、生物学的調査では、あたかもそのようにしている場合がある。たとえば、或る時点に生存している、或る種に属するすべての生物体を統計学での母集団とし、そのなかから機会的randomに抽出した生物体を調べて、統計的な推測をするといったことである。しかし、或る時点での話である。
 親生物体から産出された子生物体の両方とは、同一種に属する(ほとんど公準。雑種の場合はこの限りではない)。