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金融バブル崩壊の機構と機会因

2015年07月28日 09時47分31秒 | 政治経済社会学
2015年7月28日-1
金融バブル崩壊の機構と機会因


野口悠紀雄.1992/11/25.バブルの経済学 日本経済に何が起こったのか.258pp.日本経済新聞社.[定価(本体1,533円)][332.10]


オランダでのチューリップ バブル
  「価格の上昇に伴って、チューリップ栽培には直接関係しない人々も投機に参入するようになり、そして、多くの人たちが突然金持ちになった。これが、すでに投機へ参加している人の希望を正当化し、彼らはさらに買い進んだ。かくして、際限ない価格上昇が続いたのである。また、現物渡しの習慣が崩れ、球根が実際に引き渡されるまで対価を支払わないでも済む先物取引が導入されたため、投機性がいっそう強まった。」
(野口悠紀雄 1992/11: 71頁)。


急な値上がりは買いを呼ぶ(急な値下がりは売りを呼ぶ)
  「市民にとっても浮かれるような話がありました。きっかけは1987年のNTT株の新規上場でした。NTT株が上場すると買い注文が殺到し、初日からどんどん値上がりしました。最初の売り出し価格は1株119万円でしたが、わずか2カ月で318万円まで値上がりました。この時売れば1株で約200万円儲かるわけです。そんなに儲かるならと、これまで株取引をやったことがない人たちまでが次々と株を買うようになりました。空前の株ブームに火がついたのです。みんなが株を買うとどうなるか。需要と供給の関係でいえば、多くの需要があるわけですから株の値段は上がりますよね。こうして株の値段はどんどん上がっていきました。」
(池上彰.2012/6.池上彰のやさしい経済学
 第9回 なぜバブルは生まれ、そしてはじけたのか?
~1985年のプラザ合意によるドル高是正がバブルの始まりだった~
http://bizacademy.nikkei.co.jp/culture/b-keizai/article.aspx?id=MMACzm000020062012&page=3(受信:2015年7月28日。))


加速的機会因と時期予想
  「なぜ大暴落が起こったのかを納得的に説明することができない。「バブルで膨れた株価が実体とあまりに乖離しすぎた」というほかはないが、これは、何も説明していないに等しい。我々が知りたいのは、大暴落がなぜ〔1929年〕7月や12月でなく、10月に起こったかということなのだが、これについて、歴史書は沈黙している。
 もっとも、何らかの説明がなされたとしても、それがバブル崩壊のメカニズムを解明するわけではあるまい。実際、南海バブルが泡沫禁止法で壊れたとか、ローのシステムが皇太子の硬貨引き出しで崩壊したとか、あるいはフロリダ土地ブームに終焉をもたらしたのかハリケーンだといっても、それは、おそらくほかにも多数あったきっかけの一つを記しているに過ぎない。歴史に残らなかったものも含めれば、同じようなきっかけがその前にも数多くあったに違いない。そしてそれらはバブルの膨張を食い止めることができなかった。〔略〕現在の経済理論では、バブルの崩壊を確率的な事象としてしか説明ができないのである。」
(野口悠紀雄 1992/11: 87-88頁)。


バブル崩壊への動機(機会因を用意する)
 ・→暴落を仕掛けて、大儲けしてやろう(結果として大損するかもしれない)とする人がいるだろう。→機会と仕掛ける時期を狙っている。


バブル崩壊に備えよう
 日本の(大きく数値的な)貨幣経済とりわけ金融投機的な経済は、再度のバブルであるとすれば、あるいはむしろ日経平均株価(という指標)で見て1989年12月29日の3万8915円という(後に判明する)頂点からの下落過程と捉えれば、(政府と日銀による虚勢相場的支えのおかげで)まだバブルは完全には破裂していないとすると、まもなく破裂するだろう。
 なぜなら、投機筋が株価暴落を仕掛けてくる条件がすでに整っているからである。それがいつかは、かれらの売り崩し成功の見込みの賭けをいつやるかという個人的決断に大きく依存する。
 その決断実行への外部的または客観的環境諸条件を整えたのは、日銀による金融緩和や歴代政府による労働条件改悪などである。
 バブル(泡)はいずれ弾けるに違いないし、破裂しなければならない。
 国民は、バブル崩壊による生活困難に備えよう。
 政治経済社会を新たに担おうと志す者たちは、一部の者たちの貪欲の結果の被害を少なくする対処策とともに、これからのあるべき姿を設計し、移行計画を策定しよう。



 ・株価暴落→市場機能?喪失。→金融機能の喪失。→政府の財政破綻。→国債償還または利払い不能や未達。→大きく円安。→輸入激減。→生活必要品の不足。→大インフレ。

 ・幾つかの貨幣経済破綻への進行図解を収集して比較検討せよ。
 ・機構図と過程図。
 ・共有地の悲劇。

機構図
 機会因


引用文献
[い]
池上彰.2012/6/22.【著者が解説】池上彰のやさしい経済学 第9回 なぜバブルは生まれ、そしてはじけたのか? ~1985年のプラザ合意によるドル高是正がバブルの始まりだった~.http://bizacademy.nikkei.co.jp/culture/b-keizai/article.aspx?id=MMACzm000020062012
http://bizacademy.nikkei.co.jp/culture/b-keizai/article.aspx?id=MMACzm000020062012&page=2
(受信:2015年7月28日。)

[の]
野口悠紀雄.1992/11/25.バブルの経済学 日本経済に何が起こったのか.258pp.日本経済新聞社.[定価(本体1,533円)][332.10]