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絵画題名、聖別 consecration、無題、抽象絵画

2013年09月01日 14時48分04秒 | 美術/絵画原論、絵画理論、絵画技法
2013年9月1日-1
絵画題名、聖別 consecration、無題、抽象絵画

 
  「装飾は何らかの個物にたいする「聖別」であり、印づけなのである〔略〕。広くデザインが個物の基本形を造ることになったのちは、装飾はそれにたいする過剰と逸脱、デザインを飾る付け足しとして現れるほかはなかった。これにたいしてデザインは想像力の計画、造形の準備として成立するものであるから、その後の制作の過程を欠いては意味をなさない。だが機械による純粋な工業生産をの場合を除いて、人は制作の過程では個物に注意を私有中するほかはなく、その集中はおのずから意識のうえで個物を「聖別」することに導く。現に職人仕事においても近代の芸術においても、造形家は世界に一つしかない作品を造り、それと心の密約を結ぼうと意識している場合が多い。」(山崎正和 2007.6『装飾とデザイン』、113頁)。

 
 何者かが製作した、境界 border または接面 interface が(環境相対的に)明瞭で個物的な物体 individualistic material body は、名づけられるかもしれない。では、個物的物体ないし個物 individual に名称 name を与えることは、種類名を与えることとはどう異なるのか? 洗礼名 a baptismal name とは、エネルギー的観点からは、何だろうか? 聖別するとは、いかなる行為なのか? 印づけ marking とは異なることではないのか? →注目または注意と集中の問題。

 その名称は、その外囲(circumstance。情況といったものを含まない、物理的構成として定義しておこう)またはむしろ環境 environment から独立的であることを宣言している。その上で、名称はその物体を指すという(人々間での約束事によって)機能を持つ。
 また、たとえば「或る女 a woman」とか「空 うつほ 空虚〕emptiness」といった、言語的記号の名称であるならば、たとえば絵画の題名としても使用されており、その「描かれた」対象について言っている、またはその対象の種類またはそのような種類に属する個体 individual(または個物 individual)であると述べているのかもしれない。
 芸術を創造的に捉える立場からは、
  1. そもそも題をつけない。
   (つまり、なんらの表示もしない。説明文 caption をつけない。)
  2. (無題 untitled)という表示を行なう。
   (この場合、『題名はつけないこととした』を意味するのか、「無題」という題であるのか、解釈が一意には決まらない。)
  3. 無題という題をつける。
   (なんらかの対象を描いていると考えられる場合は、うまく題名を決定できなかったのか、面倒でやめにしたのか。あるいは、抽象絵画の場合には、具体的対象ではないことを意味しているのか。)
  4. 短い題をつける。
  5. 説明文か詩か小説か、とも受け取れる長い題をつける。

 →像 image、心像 mental image、絵具の配置と錯視像 illusionary image の類同定 kind identification。

 
 2010年4月19日-1 design=de+signという考え方/デザインとコンセプト
http://pub.ne.jp/1trinity7/?entry_id=2867799
 
[や]
山崎正和.2007.6.装飾とデザイン.299pp.中央公論新社.[2,200円+税]